8・久遠の約束
「霧島さまが人喰いを倒して戻られた」
「しかも花嫁を連れてお帰りになった。祝いじゃ」
霧島の国は水と神々の伝説の国だった。
村人は此花を喜んで迎えてくれて
此花の治癒能力は村人を癒し、遠方からも人が訪れた。
此花に付いていた傷は全て消え、綺麗な肌が戻った。
「*隠疹といって、不幸な事や悲しい事がたくさんあると、
身体に形となって出ることがあるそうですよ」と、
村のお年寄りが教えてくれた。
此花の身体にはもうそんな傷は出ない。
*
何十年も経って、此花が最期の時を迎えようとした時、
霧島は彼女を抱いて高い木の上に登った。
山のふもとの村々が緑に覆われ、青い空に映えていた。
「此花、わたしの子を遺してくれてありがとう」
「わたしの方こそ、たくさん幸せをありがとう。霧島と生きて嬉しかったわ」
「もしも再び会うことができたなら、たとえ何百年先でも会うことができたなら、
わたしとまた生きてくれ」
「嬉しい。もちろん…です」
ゆっくりと息を吸ってはいて、此花は霧島の腕の中で旅立った。
*
「この地にて、我は霧島なる西の国の鬼と共に人喰い鬼と戦えり。
鬼は人の皮をかぶり、太陽を避ける。柊の葉を避け、日の光で消滅す。
再びこの世に現れる時、同じようにすべし」
「それにしても、我も早く想い人を…いや、これは残さんでいい」
万三郎が子孫に読ませるために、書を残していた。
いつの日か、これを読む者がいるかもしれないと思うと胸が躍った。
最期まで読んでくださって、ありがとうございました。
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◇解説
*隠疹…じんましんのこと
アレルギーやストレスで出ることがあります。




