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【私見えてます?】〜異世界から来た堕天使と同居することになりました〜  作者: あさちゃん
スピンオフ:天界編 ー原初の光と闇、分かたれたものー
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天界の宴と、混ざった魂…ほんの少しズレた世界

20時10分に続き、20分にもきていただきありがとうございます。


完璧に整えられた世界。

誰も疑わず、誰も間違えない場所。


――それが、天界。


でももし、その完璧な世界に

「ほんの少しのズレ」が混ざったら?


気づける人は、きっといません。


だってそれは、あまりにも自然に

そこに《あるもの》だから。


今回は、そんな《ズレ》の話です。


そしてロキが登場します!!


ーー


そして天界の宴の日がやってきた


遥かに広い神殿の周りを無数の精霊達の光の粒達が幾重にも侵入者を阻む


感知に引っかかると、途端に天使達に確保される


指揮を執るのは、ラファエルとミカエル。


とりわけラファエル――通称ラファリンは、こういう時に誰より目ざとい。



ーー


白一色だった天界の空が、わずかに色を変えた。


金。蒼。紅。


異なる光が混ざり合い、

空そのものがゆっくりと表情を変えていく



神々が、降りてくる


一柱ごとに、空気が変わる。


光を纏う者が歩けば空間が澄み、

嵐を連れてくる者が笑えば遠くで雷が揺れる。


杯が満たされる。


触れた瞬間、光が波紋のように広がる酒。


笑い声が重なり、

言葉が交わるたびに、世界がわずかに歪む。


ここはもう、ただの天界じゃない。


神話そのものが、集まっている。




その中に――


ひとつだけ。


《合わないもの》があった。


光の流れと、わずかにズレている存在。


誰も気づかないほど小さい違和感。


けれど確かに、

この世界に馴染んでいない《何か!?》



気づくはずもない…なぜならばこちら側だから…



そして天界は完璧に整った世界…だからこそ…


《ほんの少しのズレ》は、誰にも気づかれない。




――その裏で。


静かに運ばれてくるものがあった…


魂。


白に満ちた空間の中を、

それだけが異質な重さを引きずるように、ゆっくりと近づいてきた。


光の粒が、触れる寸前でわずかに逸れる。


まるで――


「近づきたくない」とでも言うように…


「……レミエル」


呼ばれて振り返る。


そこにあったのは――


見たことのない魂だった。


輪郭が、曖昧だ。


形を保っているはずなのに、

どこか滲んでいる。


脈打つたびに、色が変わる。


淡い光が浮かんだかと思えば、

次の瞬間には、底の見えない闇がにじむ。


矛盾している。


愛しているのに、憎んでいる。

救いたいのに、壊したい。

生きたいのに、終わりたがっている。

温かいのに、冷たい。


触れていないのに、伝わってくる。


感情が――混ざりすぎている。


「……これは」


思わず、声が漏れる。


ほんのわずかに、空気が重くなる。


「重いでしょー?」


背後からの声。


キャワだった。


いつもの軽い調子。


――のはずなのに。


その声は、ほんの少しだけ。


《近すぎる場所》から聞こえた気がした。


「……凄いね」


レミエルは小さく息を吐く。


「でも、やるしかないでしょ」


「救ってあげなきゃ」


キャワは、すぐ隣に立っている。


――はずなのに。


影の位置が、ほんの少しだけ合っていない気がする。


光は上から差しているのに、

影は横に流れている。


「ねえ、エル?」


その呼びかけは、いつも通り。


けれど。


ほんの一瞬だけ、

その声が二重に聞こえた気がした。


「本当に、それ、《一つの魂》に見える?」


空気が、わずかに軋む。


けれどレミエルは、気づかない。


ただ――


目の前の魂に、手を伸ばした。




レミエルは、その魂に触れる


――瞬間


流れ込んでくる!



ひとつどころではない…


10…いや、100



感情。記憶。叫び。


ひとつひとつでも耐え難いそれらが、

重なり、混ざり、境界を失っていく…


(……あれ?)


違和感?!


登っているのに落ちている。

上へ引かれるのに、底へ沈む。


どちらが自分の感情なのかも、もう分からない。


ズレている。


でも――止めない


『全部、受け止めるんだろ?』


どこかで、そんな声がした気がした…


その瞬間。


何かが、完全に《混ざった》


喜びと絶望が同時に流れ込む。

愛と憎しみがぶつかり合う。


「っ……!」


レミエルの中で、何かが軋む。



「ねえ、レミエル?!」


すぐ近くで、声。


「それ、本当に君の感情かい?」


振り返る。


そこにいたキャワは…


どこか、違って見えた。


「……誰?」


にやり、と笑った



「きゃははは!………やっと気づいた?」



その声は、もうキャワのものじゃない。



輪郭が、崩れる。


光が歪む。


存在そのものが、ズレていく。



「いやー、楽しかったよ」



くるり、と軽く回る。


まるで舞台の上の役者みたいに。



「優しい大天使ごっこ」



その姿は、完全に別のものへと変わる。



ロキ!!

(招かれざる神の中の1人)



「思ったより簡単だったなぁ」


「天界も、君も…」


肩をすくめる。



「ちょっとズラしただけだよ?」



指先で、空間をなぞる。


「境界とか」


「感情とか」


「時間とか」



ひとつずつ、楽しそうに数える。



「ぜーんぶ、ほんの少しだけ」



ぱちん、と指を鳴らす。



「ズラして、混ぜただけ」



空気が、歪む。



「ほら、面白いでしょ?」



レミエルの中で、感情が暴走する。



「本当はさ」


ロキは、少しだけ目を細めた。



「壊れたかったんじゃないの?」



一歩、近づく。



「全部受け止めるなんてさ」


「最初から無理なんだよ」



囁くように。



「でも君は、やめなかった」



口元が、ゆっくり歪む。




「だから――壊れるところ、見たくなっちゃってさ」


「健気で可愛いからさ」



沈黙。



その一言は、あまりにも軽くて。


あまりにも残酷だった。



「ねえ、レミエル」



「優しさってさ」



楽しそうに、笑う。



「どこまでが《正解》なんだろうね?」




ここまで読んでくれてありがとうございます!


今回の《天界の宴》

一見すると華やかで、完璧に見える世界でした。


でも――


ほんの少しのズレは、誰にも気づかれない。


それが天界の《弱さ》でもあります。


そしてレミエルは、そのズレに触れてしまいました。


あの魂は本当に一つだったのか。

ロキはどこまで仕込んでいたのか。


そして――


この先、もう一人。

《あの存在》が動き出します。


優しさを、誰より知っている大天使。

けれど同時に――


その優しさが、何を壊すのかも知っている存在。


その名は…


ここから物語は、少しずつ

「光」だけではいられなくなっていきます。


続きもぜひ読んでいただけたら嬉しいです。


全四話、あと二話になります。明日も20時10分に投稿しますのでお楽しみに!!


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