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【私見えてます?】〜異世界から来た堕天使と同居することになりました〜  作者: あさちゃん
スピンオフ:天界編 ー原初の光と闇、分かたれたものー
89/123

完璧な天界に、ズレが生まれた日

天界編始まりました!全4話


すべてが整い、何一つ狂わないはずの世界。

優しさが正しく、光が満ちている場所。


……でも、そんな《完璧な場所》ほど、

ほんの小さなズレに弱いのかもしれません。


これは、


一人の大天使が《堕ちる》までの話…

そして、もう一人の大天使が、そのすべてを《背負う》までの物語。


※本日20:10に第1話、20:20に第2話を連続投稿します!


少しずつではなく、流れで読んでほしい物語です。

ぜひ、このまま続けて読んでみてください。



【登場人物】

レミエル

ミカエル/キャワ

ラファエル/ラファリン

ルシファー/サタン





やあ、はじめまして!


…なんて、真面目に名乗る柄でもないか!


僕はロキ

神々の国アースガルズに住んでるけど、血筋はちょっとだけ《そっち側》…巨人ってやつだ。


まあ安心してよ。

今のところは、君の味方…かもしれない


僕はね、考えるのが好きなんだ。

どうすれば面白くなるか!

どうすれば、みんなが困った顔をするか!


例えばさ、、

髪を切られた女神の顔とか、最高に傑作だったよ。


怒る?

そりゃそうだ。

でもその後、もっと面白いことが起きるだろ?


僕は壊すのが好きなんじゃない。

《崩した後にどうなるか》が見たいだけさ。


姿?

そんなのいくらでも変えられるよ

男でも、女でも、獣でも魚でもなんでもね!

君の隣にいたとしても、僕と気づかないかもね。


ああ、でも一つだけ覚えておくといい。


僕は神だけど、そのとき一番《愉快な側》にいるだけだ。


だからさ―


もし君が退屈してるなら、

僕に近づくといい!


人生、めちゃくちゃになるけど。


……その方が、面白いだろ?



完璧な場所ほど、ズレに弱いんだ


そう言いながら目を細めて笑うと、手のひらが柔らかく光るとそこに《苺》が現れた



ーー


見渡す限り、白い光が広がっている。


――けれどそれは、ただ満ちているだけの光じゃない。


やわらかな輝きの奥に、すべてを包み込むような闇が、静かに息づいている。



雲の上に築かれた宮殿。


どこまでも白く、どこまでも静かで――

その柱の合間を、金色の光がゆっくりと流れていた。


まるで、この世界そのものが呼吸しているみたいに。


音がするのに遠く

風吹いているのに感じない…



なぜか、軽い重さだけが確かに存在していた。


静かすぎる世界。

冷たくて、とても優しい場所。


ーー


光が、動いている。


精霊たち――そう呼ばれるそれは、

小さな粒となって集まり、楽しそうにほどけ、賑やかにまた結び直されていく


まるで意思を持つ光。


その中心で、天使たちは魂に触れていた。


温かく優しい魂。

泣いている魂。

壊れかけた魂。

何も感じなくなった魂。


触れるたびに、

凍りついた感情が、ゆっくりとほどけていく。


色を失っていた魂が、少しずつ光を取り戻していく。


ここは――


そういう場所…


《天界》



これは、


一人の大天使が堕ちるまでの話。


同時に、


もう一人の大天使が、静かにすべてを背負った話でもある。




名前は、レミエル


背格好は人間で言うと十四、五歳ぐらい


肩の下まで伸びた金色の髪に、純白の翼。

白く透き通るような肌と、浅葱色の澄んだ瞳をしている。


その表情はいつも柔らかく、どこか人懐っこい笑みを浮かべていた!


歌が大好きで精霊や魂によく聞かせている


暇さえあれば下界を覗いては人や動物を見たり、太陽が反射する海を見たりした。


そして、天界でのレミエルの役目は、魂の再生だ


体を離れ、弱りきった魂を、

精霊の光で温め、癒し、そして――静かに話を聞く。



それからまた、下界へと送り出す。


簡単に言えば、それだけ。



もちろん、そんな簡単な話ではない。


魂というのは、その人の全てだから…


楽しかったことも。

苦しかったことも。

どうしようもなかった後悔も、誰にも言えなかった想いも…


全部まとめて、ここに来る。


それを受け取るっていうのは…


まあ…そういうことだ!





「――あ、エルだ!」


静寂を軽く裂く声。


振り返ると、そこにいたのはキャワ――通称そう呼ばれているが、その真名はミカエル。


「久しぶり」


「やっぱここにいたか!絶対、下界見てると思ったよ」


「なんで天界の人達って下界が好きな人が多いんだろうね!…まあ、いいや」



「まあね。見てて飽きないし」

レミエルは肩をすくめる


ーー


「ねえねえ、下界に《猫》っているの知ってる?」


「ああ、いるね。気まぐれで――でも妙に懐くやつ」


「そうそれ!尻尾ぴーんってなるやつ!」


「機嫌いいときね」


「へぇ〜」


少しだけ間が空く。


「……なんで分かるの?」


「ん?」


「機嫌、とかさ」


レミエルは、あっさりと言った。


「魂見れば分かるよ」


「……便利だね」


「まあね」




…その時、


ほんのわずかに。


この世界の《何か》が、ズレていた。


けれど誰も、気づかない。


ーー


「そういえばさ」


キャワが言う。


「天界の宴、またあるらしいよ」


「ああ、そんな時期か」


「神様いっぱい来るやつ!」


「賑やかになるね」


「キャワは警備大変じゃんか!」


「まあ、この時期はね、精霊ちゃんや天使ちゃん達と頑張るよ」




――その少し前。


天界は、いつも通り静かだった。


光は満ち、闇は穏やかで、

すべてが正しく回っている。


何も問題なんて起きるはずがない世界。


その中心で―


ルシファーは、下界を眺めていた。


白に満ちた空間の中で、ただ一人。


浮いているのか、立っているのかも分からないまま、その存在だけが、はっきりとそこにあった。


目が隠れる程度に短く整った金色の髪が、光を受けて揺れる。

透明感すら帯びた顔立ちに宿るのは―

抑えきれないほどの感情。


静かに見えて、その奥では何かが燃えている。


強い意志。

怒りにも似た熱。

そして、それでもなお目を逸らさない覚悟。


その瞳は、ただ見ているだけじゃない。


――背負おうとしている目だった。


背中に広がる大きな翼は、レミエルと同じく純白。


けれどその羽ばたきには、どこか荒さがあった。

まるで、この場所に収まりきらない力を抱えているように。


完璧な天界の中で、


ただ一人だけ――


揺れている存在


「また見てるの?」


軽い声が横から入る。


振り向かなくても分かる。


「……キャワか」


「当たり〜」


隣に並ぶ気配。


ルシファーは、ほんのわずかに目を細めた。



「何見てんの?」


「下界」


短い答え。



雲の隙間に映る世界。


泣いている子ども。

笑っている誰か。

怒って、壊して、後悔して。


ぐちゃぐちゃで、でも――確かに生きている。

 


ーー


「……忙しいな、あそこ」


「本当だ〜」


キャワは気楽に笑う。



「でもさ、あれ全部――最終的にはここに来るんでしょ?」


「そうだね…」


「エル大変じゃん」



少しだけ間があった…


ルシファーは、目を細めた。



「……あいつは、抱えすぎるから」



レミエル…


魂の再生を担う大天使。


誰よりも優しくて、

誰よりも《受け取ってしまう》存在



「壊れると思う?」


キャワが聞く。



「……そのうちね」



ルシファーは、あっさり答えた。



「止めないの?」


「止めても無駄だろ…」


少しだけ笑う。


「そういうやつだから」



しばらく、沈黙。



「ねえ」


キャワが、ぽつりと言う。



「もしさ」


「救えないものがあったら、どうする?」



ルシファーは、少しだけ考えてから答えた。



「捨てる」



即答だった。



「……え、冷た」



「全部救うなんて無理だ」


視線は下界のまま。



「限界超えたら、意味がない」


「壊れたら終わり」


キャワは、少しだけ黙る。



「でもさ」


ルシファーは続けた。



「誰かが捨てる役をやらないと」


「全体が壊れる。かもしれない…」



その言葉は、やけに静かだった。



「……じゃあ、それ誰やるの?」



少しだけ間。



ルシファーは、肩をすくめた。


「さあね」




「…なんだかんだ優しいんだね、ルシファーは!!」



その時だった。



世界が、ズレた。



ほんのわずか。


けれど確実に。



「ん?!…あれ?」


キャワが眉をひそめる。



空気の流れ。

光の揺れ。

時間の感覚。


すべてが、ほんの少しだけ噛み合っていない。



ルシファーは、目を細めた。



(……誰か、いるな)



だが、その違和感はすぐに消えた。



「気のせい…」


「だね〜」



けれど、


この《わずかなズレ》がすべての始まりだった。




ここまで読んでくれてありがとうございます!


天界編、ついにスタートしました。

この1話で出てきた《ズレ》

ここから一気に物語が動き出します。


レミエルの優しさ。

ルシファーの選択。

そして、この違和感の正体。


全部、繋がっていきます。


続きはこのあと、20:20に投稿される第2話へ!


少しでも「続き気になる」と思ってもらえたら、

ブックマーク・評価めちゃくちゃ励みになります!!


ここから一気に落ちていく物語…ぜひ見届けてください。


・実は天界編、エピソード0ゼロでもあります!天界編を読んで一章から読みなおしても新たな驚きと隠れた伏線があると思いますよ!!

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