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壊された場所と守ったもの

いつも読んでいただきありがとうございます!


今回は物語の空気が一気に変わる回です。


天界からの来訪者。

そして、初めて描かれる《本気の衝突》


ただ――

この話で一番見てほしいのは「強さ」じゃありません。


守る理由です。


伏線も回収されますし、最終回間近なのにまた伏線がww


実は一章から回収されていない伏線…いつ回収されるんでしょうか…


それも含めてお楽しみに!!


ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです!


天界の門が閉じる音は、誰にも聞こえない。


キャワが一時的に天界に帰った直後――

空間に、ほんのわずかな歪みが残った。


そこから現れたのは、ひとりの天使。



短く整えられた髪と、背に宿す羽根は白銀。

光を受けるたび、冷たい輝きを静かに放っている。


顔立ちは、非の打ちどころがないほど整っていた。

無駄な感情を削ぎ落としたようなその表情は、近寄りがたいほどだ…

それでいて、目を逸らすことを許さない。


背格好はミニエルと同じくらい。

だが、その小さな体に宿る気配は、明らかに異質だった。


――美しいでは足りない。思わず言葉を失うほどの、完成された美。


ただそこに立っているだけで、空気すら支配していた



その日は、何も変わらないはずの休日だった…


ただひとつ、この部屋だけを除いて。


「…ここが、エルさんの選んだ場所?」


七大天使の一人、ラファエル。


天界ではラファリンと呼ばれている存在だった。


視線の先には、笑い声の残滓。

机の上に置かれた、三つ並んだマグカップ。


その中心に、ひとりの人間。


「東雲直希……」


軽く指を鳴らす。


次の瞬間、壁が軋んだ。



「っ……!」


衝撃に吹き飛ばされながらも、なおきは立ち上がる。


「なんだよ……誰?」


「ただの確認だよ」


ラファエルは冷ややかに笑う。


「エルさんがわざわざ守る価値があるのか」


軽い一撃。


それだけで人間には致命傷になりかねない力。


なおきは床を転がり、血を吐く。


それでも――立つ。


「帰れよ」


「は?」


「ここは……僕たちの家だ」


再び衝撃。


棚が崩れ、写真立てが割れる。


三人で撮った写真が、床に散った。


一瞬、なおきの目が変わる。


怒りではない。


悲しみでもない。


ただ、守れなかったことへの悔しさ。


ラファエルが足を踏み出した瞬間――


なおきは、その足に縋りついた。


「離せ」


蹴られる。


骨が軋む。


それでも離さない。


「……何だよこいつ」


ラファエルが苛立つ。


「力もないモノが」


なおきは笑った。


血を流しながら。


「力とか…関係ないんだよこういうのは」


「ここは、うちらの家なんだよ!壊すなよ!」



その時、慌てて玄関のドアが開く。


「ただいま!何があったの!!」


空間にラファエルの結界が貼られてはいたが、普段とは違う気配に二人は気づいていたようだ!


次の瞬間、ミニエルの動きが止まった。


部屋は崩れ、空気は歪み、

奥で倒れているなおき。


そして、その足を掴んだままの姿。


「……なおき?」


エルの視線が、ゆっくりとラファエルへ向く。


その瞳が、初めて感情を失った。


「……あなたがやったの?!」


空気が変わる。


闇が、静かに広がる。




「待って、違うんだよ」


ラファエルが一歩下がる。


だがもう遅い。


エルの背後に、深い闇が立ち上がる。


「私の……」


床が軋む。


『なおきに!!』


闇が牙を剥く。



『『触れるな』』


ミニエルとエルの声が重なる


次の瞬間、ラファリンは闇の牢獄に閉じ込められていた。


ミニエルも光を纏っている


怒りで震えている。


『お姉ちゃん、コイツ私がやるから!!』



そこへ、空間が裂ける。


「やめなさい!」


キャワが慌てて戻ってきた。


キャワもこのマンションの周りに影響を与えないように結界を張るので精一杯。


このままでは、人間界が壊れる。


「ミニエル、落ち着きなさい!」


キャワの悲鳴のような声で、ミニエルはハッと我に返る。


だがエルは止まらない。


倒れているなおきを見た瞬間、完全に我を失っていた。


闇が圧縮し、消滅の力が高まる。


牢獄の中の者は意識が朦朧としている…それ程の圧倒だった!


「お姉ちゃんダメだよ…戻ってきて」


ミニエルが叫ぶ。


「このままだと、なおきと一緒にいられなくなっちゃう!!」

「ごめんね、もう一人のエル…。私があなたに《背負わせた》せいで……」

とミニエルが大粒の涙を流す…



「まずい!」

ミニエルの光の力も押し返されはじめた!


その時だった――


シャラシャラララ……と、


細かいガラスのような、光のプリズムのような高い音が響いた


エルの胸元。


3人が肌身離さず持っていた、

なおきが二人にプレゼントした三人お揃いの気持ちの悪いキーホルダー…


そこから、ふわりと光が溢れた。


…弱い光


《精霊の祝福》?


いや違う…


でも――温かい。


闇を打ち消す力ではないが…


ただ、包む。


怒りも、歪みも、空間も。


すべてを、そっと抱きしめるような光。


ラファリンが朦朧としながら呟く…


「……この光は」


神聖でも神器でも…


奇跡でもない。


人間の想い?!


「いや…《この力は!?…》」




闇の牢獄が、じわりと溶けていく。




エルの膝が崩れ落ちた。


糸が切れた人形のように、静かに。


ストン。


ーー


ーー


ーー


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


どうでしたか…この回。


正直に言うと、

この話は「力の差」を描きたかったわけじゃなくて、


それでも立つ理由を書きました。


なおきは強くないです。

戦えるわけでもないです。


でも――

それでも離さなかった。


それが、この物語で一番大事な部分かなぁ…


そしてエルとミニエル。

ここで初めて《何かあった関係》と《本当の危うさ》が見えました。


このままだと、守るために全部壊してしまう。


そしてあの観覧車で渡したセンスの無いキーホルダーの意味が出てきます。


あれはただのプレゼントじゃなくて、三人の関係そのものでしたね!


次回は、この出来事の余波。

そしてラファエルの本音にも少し触れていきます。


気に入っていただけたら、

ブクマ・評価・感想めちゃくちゃ励みになります!!


あと数話で最終回です。



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