奇跡と日常の間の温泉旅行
いつもの商店街、いつもの昼下がり。
――のはずだった。
ちょっとした運試しの福引き。
どうせ当たらない、いつものやつ…
…なのに。
信じてなかった奇跡が、少しだけ、日常を変えていく。
そんな、ありふれたようで、
ちょっとだけ特別な話になっていきます…
そして物語はラストへ進んでいきます
よく晴れたある休みの昼下がり。
商店街はいつもより少しだけ賑やかで、
威勢のいい声と、揚げ物のいい匂いが通りに広がっていた。
「いらっしゃい!今日は福引やってるよー!」
「福引?」
なおきが足を止める。
商店街の中央に、簡易テントとガラガラの抽選機が置かれていた。
「買い物をした人、福引き1回引けるよー!」
「……いつもポケットティッシュなんだよなぁー」
そう言いながらも、なんとなく列に並ぶ。
ミニエルはすでに目を輝かせていた。
「回したい!!」
「こういうの当たる気しかしない!」
エルは腕を組んで静かに見ている。
「こういうのはあたりが入っていないんじゃないの?」
「夢がないなぁ!」
順番が回ってくる。
なおきがハンドルに手をかけた。
「いくよ!」
ガラガラガラ…
ころん、と一つ玉が出る。
店員が一瞬止まる…
「……え?」
「え?」
周りもざわつく。
店員が慌てて鐘を鳴らした。
カランカランカラン!!
「特賞でましたーーー!!!」
「えぇ!?」
なおきが固まる。
店員が紙を掲げた。
「京都の旅館、宿泊券!4人分です!!」
「……は?」
ミニエルが飛び跳ねた。
「やったぁぁぁぁ!!!」
「すごい!!なおき!!」
エルも少しだけ目を見開く
「本当に当たるんだ…」
「エル!?謝ろうか…」
「当たりが入ってないと言ってすみませんでした」
そして翌日、嬉しさで胸を躍らせ、学校の屋上、ランチの時にキャワにも聞いてみた
「キャワ?!」
「京都旅行行く?」
キャワは少しだけ首をかしげた。
「一緒に?」
「うん。4人分って書いてあるし」
ミニエルがぐいっと近づく。
「行こ行こ!!絶対楽しい!!」
エルも小さく頷いた。
「賛成ー」
キャワは、ほんの少しだけ間を置いてから
「え?いいの?!じゃあ、行く!」
その言葉に、ミニエルがまた跳ねた。
「旅行だー!!」
キャワの分の小物をドラッグストアに買いに行くのも四人にとって新鮮で楽しいものだった
こうして買い物をしているのを見るとただの学生達にしか見えない
一人は大きな羽根が生えてるし、3人は頭の上に輪っかはついてるのだけれど…
数日後の連休
四人は新幹線のホームに立っていた。
特にキャワは電車が初めてで無言で直立している…
白い車体が、静かに入ってくる
「速そう……」
「先っぽ長!!」
「っていうか速いんだよこれ」
ドアが開く。
席に座って、それぞれのテーブルにおやつやジュースをセッティングしながら発車のアナウンスを聞いた
――新幹線が滑るように走り出した
「……はやっ!?」
景色が一気に流れ始める。
ミニエルが窓に張り付いた。
「なにこれなにこれなにこれ!!」
「地面が流れてる!!」
「いや電車だからね!?」
なおきがツッコむ。
エルも窓の外を見ていた。
「……思っていたより速いわね」
その声は少しだけ楽しそう
キャワは静かに外を見ている。
流れる景色。
遠ざかる街。
その瞳は、どこか遠くを見ていた…
ここまで読んでいただきありがとうございます!
福引きって、つい回しちゃいますよね。
「どうせ当たらない」って思いながらも、ちょっとだけ期待してしまうあの感じ。
今回のお話は、そんな小さな期待と、見えない存在たちが混ざったらどうなるか…を書いてみました。
京都編、何話かあるので読み終わった時、思いが変わります!!
もし少しでも「いいな」と思っていただけたら、
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次回も20時10分に投稿します。




