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言わない事と、不器用な愛

前回の続きです。


触れなかったこと。

言わなかったこと。

それでも、確かにそこにあったもの。


少しだけ、踏み込むお話です。


これ以上は読んでみてください!!

ーー夜。


なおきがお風呂に入っている間…


2人は廊下を歩いていた。


「ねえお姉ちゃん!?」


「ん?」


少し扉が開いた部屋…


その部屋の棚の上に古いアルバムがあった。


ミニエルが開く。


「……あ」


小さななおきが写っている


「あはは!可愛い!!」


運動会


遠足


学芸会


入学式


マラソン大会


…どの写真も、少し遠くから撮られている。


ミニエルがページをめくる…


通知表


賞状


それから、


通帳…


「これ…」


なおきの名前。


何年も。


少しずつ。


積み立てられているお金…


ミニエルの声が震える。


「…ずっと貯めてるんだ」


エルは静かに言う。



その時!


後ろから声がした。


「……見たの?」



振り向くと、おばさんが立っていた。


そのおばさんは2人を優しい目で見つめている…


ミニエルは慌てて頭を下げる。


エルもキョロキョロと目が泳ぐ…



「ごめんなさい」


ミニエルもエルも深く頭を下げた



おばさんは棚を見て小さく息を吐いた。


「あの子のお友達なんだね?ごめんね、びっくりさせたかな…」


「コロッケもたくさん食べてくれてたしね!ありがとう」


「コロッケすごく美味しかったです」


「ごちそうさまでした」


2人は言った



「あ、あの子には言わないでくれたら助かるよ」


「あなた達の存在が見える事も含めて…」


おばさんがぽつりと言う。



そして静かに話し出した…



「…あなた達と一緒よね、きっと…」


「あの子の母親も知ってるのよ私達…」


「あの日、なおきの母親が光になって消えた日、なおきをうちで預かる事になった…」


「あの子のお母さんは本当に立派な子だった…最後まで…消える瞬間まで、なおきをよろしくって」


遠くを眺めるおばさんの目は愛するものを見る目だ…


「子供のいなかった私達にとって、なおきを託されたあの日は本当に本当に天使からの贈り物だねって思ったもんだよ…」


「そしてその思いは今でも変わらない…」


「なおきのお母さんの分もこの子をきちんと育てようねってあの人と話したもんだわ」



「おばさん…だから捨てられた子ってなおきや近所に言ったんですね…」とエルが言った


「お姉ちゃん?どういう事!?」



…おばさんが静かに話し出した


「田舎なんてね、有る事無い事、いい事も悪い事も広がるもんなのよ…」


「なおきには悪いとは思ったけど最悪な事を言っておけばそれ以下にはならないし、それ以上周りに詮索されないでしょ…」


「今でもそれが正しかったかは分からないけれど…」


おばさんは、遠くをみながら話してくれた


……。


「甘やかしたら、あの子はここに残るから…」


「だからなおきをお母さんから預かった事も私から言わないほうがいいと思ってるの?」


静かな声だった。


「あの子は……こんなところにいちゃダメだからね」


「だから私たち夫婦はなおきを結構厳しく育てたのよ…」



ミニエルの目に涙が浮かぶ。


「おばさん…」



エルは静かに言った。


「不器用な愛ですね…」



「本当にいいんですか?」


「今更そんな事いいんだよ!!」


「なおきを育てれただけで私達は幸せだったよ」



「もうあの子には可愛い天使さんがいるしね!!」


「はいはい、もうすぐなおきがお風呂上がってくるから解散ね」


おばさんはそう言うと台所へ戻って行った



ーー


翌朝、なおきは他愛もない学校の話や家の近くの街の話をしたりひと通りおじさん、おばさんに話した


ミニエルとエルもたくさん喋った!!


なおきにはバレないようにおばさんやおじさんと目配せしながら


ミニエルとエルにとって、とても楽しい時間だった!



「困ったことがあったらいつでもすぐ言いなよ」とおばさんは付け加えた(こっそりミニエルとエルに)」



帰る準備をしていると、おばさんが紙袋を渡してきた。


「持っていきなさい」


「何?」


「コロッケ」


なおきは笑った。


「こんなにたくさん」


「なおきの大好物だろ!?」


「……腹減ったらいつでも帰っといで」


なおきは少し驚いた顔をして。


「……うん」


と答えた。


「あ!あと、思いは口で言わないと届かないからね。ちゃんと口で伝えるんだよ」


「分かったよ」


それを聞いていたミニエルとエルは、おばさんは不器用で優しい人だなぁと思った



「あ、おばさん、今度帰ってきたらまたコロッケ作ってよ」となおきが言う


「まあ、気が向いたらね!」とおばさんは言った



家を出て昨日来た道を歩き出す。


ミニエルが言う。


「なおき」


「ん?」


「愛されてたね」


なおきは少し笑う。


「そう?」


エルが静かに言う。


「少なくとも」


風が吹く。


「なおきを守っていた人達だったね」


なおきは少しだけ空を見上げた。




その頃、家の前…


おばさんがぽつりと言った。



「……ちゃんと大きくなったね」


おじさんがうなずく。


少しの沈黙。


それから、小さく言った。


「……ああ」


「あんなに小さかったのにな」


おばさんが小さく笑う。


「ほんとだね」


「…次はいつ帰ってくるんだろうねぇ」










ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


今回のお話は、

言葉にしなかった想いと、不器用な優しさのお話でした。


優しさって、まっすぐ伝わるものばかりじゃなくて、

時には遠回りだったり、誤解されたままだったりすることもありますよね。


それでも――

確かにそこにあったものは、消えない。


そう感じてもらえていたら嬉しいです。


もし「この回好きだな」「ちょっと心に残った」と思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります!


これからも、見えない想いや、言えなかった気持ちの部分を大切に描いていきますので二章もあと少しですが引き続きよろしくお願いします!

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