風の訪問者 (後編 前日)
ここは、クライマックスの少し手前
大きな出来事が起こる前には、
必ず《理由》がある。
どうしてやるのか。
なぜ今なのか。
誰のためなのか。
それを知ったとき、
ただの出来事は、意味を持ち始める!
――これは、風の名前を持つ少年が、
「忘れられる前に」動き出す前日の話。
昼休みの時間、
三郎に、僕のことや堕天使の2人のことを説明して屋上へ呼んだ
強い風の中、三郎がぽつりと呟く。
「昔はさ」
風に紛れるような声。
「柿、落としてたんだよ」
「え?」
なおきが振り向く。
「胡桃も。熟したやつだけ、ちゃんと選んで」
三郎は少し笑う。
「そしたらさ、大人が追いかけてくるんだ」
「怒られるじゃん」
「うん。怒られた」
あっさり言う。
でも――どこか懐かしそうだった。
「でもさ」
風が少しだけ強くなる。
「その後、笑ってた」
「こらー!って、怒りながら。でも、笑ってた」
「そしてみんなで逃げたなぁ」
「ごめんなさーいって!」
ミニエルとエルが、黙って聞いている。
「今はさ」
少しだけ、声が変わる…
「怒る前に関わらないでしょ」
「……」
「なおきはちゃんと謝るよ!」
ミニエルが割って入った
「この前、キャワのカレーパンを踏んで謝ってた」
「うんうん!」
と三郎が言った。
そして、ふっと視線を細める。
「だから、来たんだ」
風が、強くなる。
「忘れられる前にさ」
「又三郎が来ると豊作になるとか」
「又三郎が台風を連れて来たとか」
「又三郎、来年も来る?とか」
「昔はよく言われたんだよな」
…三郎の目が赤く潤んでいた
「時代が変わっちゃったんだよ…」
「柿も、胡桃も軒先に置いてやったって喜んでくれる人なんていやしない…」
「怖いんだよ、忘れ去られるのが…」
反対を向いた三郎が泣いているのがわかった…
それを聞いた瞬間なおきも胸が締め付けられた…
存在するのに見えないこと…
それは自分達三人にも当てはまる事でもあったから…
あった事が無かったことになる不安、不確定な事だからこそ余計に怖いのだ
「三郎君!!やろうか!!」
「又三郎?なおきがやるって言ったら面白いこと起こすよ」
「あはは、今から楽しみだね」
三郎はキョトンとしていたがこの三人を見て心強くなった
「うん、やる!!」
「三郎君がやる気になったら最強だよね」
なおき、ミニエル、エルは悪そうに笑った
「じゃ、明日の休み、やるよ!!」
ここまで読んでいただきありがとうございます!
今回は【風の又三郎編】クライマックス直前、ネジを巻く回でした。
三郎の「怖さ」は、特別なものじゃなくて、私達誰もが少しずつ抱えているものだと思います
忘れられること。
無かったことになること。
ちゃんと《そこにいたはずなのに》消えていくこと。
だからこそ―
なおき達は、動きます。
ここから先は、いよいよ本番!又三郎の風が吹きます。
次回、後編。
全部、持っていきます!なろうに嵐吹かせます!!
そして初出の神聖スキル、暗黒スキル、精霊最上級スキル、出ます!!お楽しみにww
ぜひ見届けてくださいねっ。




