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写らないはずの隣に…

写真って、不思議ですね


当たり前なんだけど、その瞬間を切り取って、あとから何度でも思い出せるんですもん


楽しかったことも、

笑ったことも、


全部、そこに残っているはずなのに――


写らないものも、ある


でも、それでも…


確かに「一緒にいた」と思えるのなら、それはちゃんと、そこにあるのかもしれない…


たまに、なおきはスマホをのぞいて、にやにやしている。


「……何見てるの?」


そう聞くと、


「これ」と見せてくるのは、パフェだったり、ご飯だったり、一緒に歩いた商店街の風景だったりする。


海の写真の時なんて、

後ろにビキニの女の人が写っていて、それを見て妙に嬉しそうにしていた。


「いやそれ関係ないでしょ!」


「男ってそういう生き物なんだよ」


「最低」


「否定はしないんだ……」


――そんな、いつも通りのやり取り。




「私コロッケ!」


「私はハムカツー!」


買い物の帰り道、

商店街の紙袋を揺らしながら、二人は楽しそうに笑う。


丘の上にある、いつもの公園。


夕焼けに染まる空。

風に揺れる、二つのブランコ。


なおきはまた、スマホを取り出した。


カシャ、と小さな音


そして――少しだけ、優しく笑う。



「……また撮ってる」


「ほんと好きだよね、写真」


ミニエルがのぞき込む。


その画面に映っていたのは、


夕焼けと、ブランコと――

何もない空間。


でも。


「……あ」


エルが、小さく声を漏らした。



スクロールされていく写真たち。


商店街、

ご飯、

海、、


そして――


なおきが撮った、自撮り。


そこには、なおき一人だけが写っている。


でも、その角度は、どう見ても誰かと一緒に撮った構図…


少し横にスペースがあって、そこに、誰かがいるみたいに。



「……これ」


ミニエルの声が、少しだけ震える。


「……うん」


エルも、気づいていた。


これは――


二人を撮った写真だ。


映っていないだけで…



見えないはずの自分たちを、ちゃんとそこにいるみたいに残してる。


思い出として。


当たり前みたいに。



胸の奥が、きゅっとなる


嬉しい


すごく、嬉しい


でも――


少しだけ、苦しい。



「……写真って、不思議だね」

エルは、そっとつぶやいた。



…そして思った。


残したいから、撮るんだよね


その瞬間が、大事だから


あとで見返して、《楽しかった》って振り返るため…



でも、


そこにいたはずの私たちは、写らない…



「……ねえ、なおき」


「ん?」


「それ、どんな気持ちで撮ってるの?」


ミニエルが聞く…


なおきは、少しだけ驚いた顔をして――


それから、当たり前みたいに笑った。



「うん。めっちゃ楽しいよ」


「だってさ」


スマホの画面を、もう一度見ながら言う。



「ちゃんと写ってる…かな」



「え?」


「……どこが」



なおきは、空いたスペースを指差した。



「ミニエルと、エル」



「……!」



「まぁ、実際一緒に行ったし一緒に撮ったじゃんね!」


「だから、写ってるんだよ」



少しだけ照

でも、ちゃんと前を向いたまま――


なおきは続ける。



「その時が全力三人で楽しかったし…」


「これからも、きっと変わらないよ」



「それにさ」


「もしかしたら、」


「いつか、普通に写っちゃうかもよ?」



夕焼けの中で、


二人は顔を見合わせて――


小さく、笑った。


「なんか、なおきが言うと写れる気がしてきたわ」


と言いながらエルは両手を組んで背伸びをした


ミニエルはもう一回ブランコって言って立ち漕ぎをしている


「そのままねー」


いつものようになおきは言った


「はいチーズ!!」


カチャ


「ミニエル、ナイスアングル」



「やっぱり写ってなかったわー!!」


…でも忘れない


この景色




ここまで読んでくださってありがとうございます。


今回は、少しだけ切なくて、でもちゃんと温かい話を書いてみました。


「写らない」という事実と、「確かにそこにいる」という想い。


この三人の関係だからこそ成立する、ちょっと不思議で、優しい距離感が伝わっていたら嬉しいです。


写真には残らなくても、

心の中には、ちゃんと残っている。


そんな瞬間を、これからも大事にしていけたらいいなと思います。


また次のお話でお会いできたら嬉しいです。


よろしければブックマークと感想もお待ちしてます♪

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