てっぺんの約束…
三人の遊園地、後編です!
行列に並んで、はしゃいで、ちょっと失敗して。
笑っているだけの、ありふれた一日。
――のはずだったのに。
少しだけ不思議で、
ほんの少しだけ、心が近づく日。
これは、そんな遊園地での出来事。
行列必至のクレープ屋。
ようやく手に入れたそれを――
ミニエル、うっかり傾ける。
ぱき。
ぽた。
「……え?」
「……うぅ」
なおきは迷わず言った。
「半分こね」
「なおきぃぃ……」
「ごめんよー、ありがとよー」
「あはは、誰よそれ!その上のいちごの美味しいところはやめてね」
「うう、ううっ」
横からエル
「私はあげないけどね」
口元が笑いながら意地悪を言う
なおきはミニエルの頭を撫でた。
ミニエルはうっとりしている!
「私もして?」
エルが少しだけ首を傾ける。
この子はと思いながらも
撫でた
なんだかんだ、3人こうして制服で遊んでると普通の学生に見えるね…
「あ、もう一度写真撮ろうよ!」
「いいねー!私達写んないけど」
ーーー
そして、お化け屋敷。
「余裕、私!」
三分後。
「どうしよう…怖いんだけど!!」
「まあ、エルはこうなるよね…」
「お姉ちゃんはこうだよなぁー!」
その瞬間。
闇のスキル、発動。
「エル何やってんの!?」
空間がきしむ。
壁がミシミシと音を立てる。
(明らかに演出じゃない音がする…)
「やばいやばい、空間を闇が圧縮しだした!!」
「なおき、お姉ちゃん抱きしめて!」
ミニエルが慌てて修復術を展開!!
スタッフの悲鳴。
「エルやめてーー!!」
ぎゅううう。
「なおき……ここはどこ?」
「知らんわー!!」
遊園地で起きたホラー…
その後何年も語り継がれたらしい。
ーー
騒ぎ疲れた三人。
最後は観覧車。
ゴンドラに乗り込む。
「……これだよね」
ミニエルが小さく言う。
「コレだね!」
エルが頷く。
事前に調べていたのだ。
てっぺんでキスすると幸せになれると言うジンクス
ーー
ゴンドラが、ゆっくりと上がっていく。
きし、と小さく鳴る音。
外の景色が、少しずつ遠ざかっていく。
――静かだった。
「……これだよね」
ミニエルが、小さく呟く。
その声は、さっきまでより少しだけ弱い。
「うん……」
エルも、視線を外したまま頷いた。
(てっぺんでキスすると、幸せになれる)
誰が言い出したのかも分からない噂。
でも――
二人はちゃんと、覚えていた。
ゴンドラは、まだ上がる。
なおきは、少しだけ視線を落とした。
「……気を使わせちゃったかな」
「え?」
「その……こういうの」
「僕のために、いっぱい準備してくれたんでしょ」
沈黙。
ミニエルの指先が、ぎゅっとスカートを握る。
エルも、何も言わない。
ただ――逃げなかった。
なおきは、そっと手を伸ばす。
二人の頬に、指先が触れる。
「ありがと」
そのまま、ほんの少しだけ近づいて――
軽く、キスをした。
「……っ」
「ば、ばか!」
「ばかぁ!」
二人同時に顔を真っ赤にする。
なおきも、少しだけ照れている。
「……え?違った?!」
「ち、違わないけど!」
「そうだけどさ!!」
声が揃う。
一瞬だけ、目が合って――
どちらからともなく、笑った。
「……ありがとう」
「こちらこそ……」
素直すぎる言葉が、重なる。
ゴンドラは、てっぺんに差しかかる。
世界が、少しだけ遠くなったみたいに…
三人の影が重なった
その時間だけ、
ゆっくり流れていた。
ーー
「そういえばさ」
なおきがポケットから取り出したのは――
三つのキーホルダー。
絶妙にキモい、ここの遊園地のキャラクター。
「なんでこれ!?」
「他になかった?」
好き放題言う二人。
「三人っぽくない?」
「どこがよ!」
「果てしなくキモい」
「要らないなら返しなさい」
そう言いながら、なおきは一つを持ち上げた。
夕焼けに、かざす。
その瞬間。
光が
――ほんの少しだけ、揺れた。
夕日の色とは違う、
透き通った、やわらかい光。
それが、すっとキーホルダーの中に溶け込む。
「……え?」
エルが目を細める。
「今の、なに……」
なおきは首を傾げて、軽く笑った。
「んー?気のせいじゃない?」
でも、
――
キーホルダーは、ほんのりと温かい。
ミニエルは、それをじっと見ていた。
そして、ふっと小さく笑う。
「……そっか」
「ミニエル?」
「ううん、なんでもないよ」
いつもの明るい声に戻る。
でもその指は、自分のキーホルダーを、少しだけ大事そうに握っていた。
「最近ね、夕焼け凄く仲良しなんだよね!」
冗談みたいになおきは笑った
三人分のキーホルダー…
特別な光を宿した、お揃いの三つ。
三人並んで、沈む夕日を見る。
ドタバタで、ぐちゃぐちゃで、
でも、
たしかに、幸せな一日だった
「また来ようね!」
「来よう来よう!!」
「賛成ー!」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
クレープのハプニングから始まって、
なぜかお化け屋敷で事件が起きて、
それでもちゃんと青春に戻ってくる三人。
このバランスが、この子達らしさかなと思っています。
そして――
さりげなく登場した「光」。
ほんの小さな違和感ですが、
これが今後どう繋がっていくのかも、ぜひ楽しみにしてもらえたら嬉しいです。
また三人で、笑える日常を。




