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はじめての初詣(神様に会いました)


今回は三人にとって、はじめての「初詣」です。


なおきにとっても人生初の初詣ですが、どうやら神様に会える確率は――普通よりだいぶ高いようです。


着物姿の二人と、ちょっと不思議なお正月。


どうぞゆるくお楽しみください。


空気が、すんと冷たい。


けれど今日は休みだからか、それとも特別な日だからか

珍しく早くから目が覚めてしまった。


……いや、違う。


なおきはゆっくり視線を下に落とす。


自分の腹の上で、ミニエルの頭がぐりぐり動いている。


「うぅ……むにゃ……」



「……これだな僕がうなされた理由は」


今日は1月1日


なおきは小さく笑うと、二人を起こしにかかった。


「みんな起きてよー」


鼻をつまんで、脇をこちょこちょする。


「んん……」


「ん……」



「みんな、明けましておめでとう!」


「なになに?」


ミニエルがむくりと起き上がる。


エルもあくびをしながら起きた


「そんなに特別な日なの?」


「そうだよ」


なおきは少し胸を張った。


「初詣行こうよ!」


…とは言ったものの。


実はなおき自身、行こうと思って行ったことはない。

だから今日が、人生初の初詣だ。


「もしよければ着物着てみたら?!」


ミニエルがぴょこんと跳ねる。


「着てみたい!」


なおきはスマホを取り出して着物を調べ始めた。


「ミニエルはこれとか?」


「かわいい!」


「エルは……こっちかな」


「似合う?」


「似合うよ、絶対これ」


わちゃわちゃ。


そうして準備を終えて並んだ二人を見て、なおきは改めて思う。


――やっぱり。


「どう?」


「……やばい」


思わず口から出た。


「横を歩きたいです僕」


「歩いてあげるわよ」


エルがくすっと笑う。


「私はー?」


ミニエルが腕をぶんぶん振る。


「尊い!」


「意味わかんない!」


「じゃあ私は手を繋いであげるね!」


「なおきはどうするの?」


「僕は普通でいいよ」


すると。


「ダメだよー」


ミニエルがぷくっと頬を膨らませる。


「こちらこそちょっと待って」


エルが人差し指をくるんと回した。


その瞬間。


ふわり、と光が舞う。


「え?」


なおきは目を丸くした。


「袴……?」


自分の服が、いつの間にか袴姿になっていた。


「え?!僕も?!」


「そうだよ!」


ミニエルがにこにこする。


「せっかくじゃん!」


「やばい、急に緊張してきた…」


「大丈夫!」


ミニエルが腕を組む。


「私達がいるから」


「……それが一番怖いんだけど」



ーー


鳥居をくぐった瞬間、空気が少しだけ変わった。


神社の参道。


玉砂利がざく、ざく、と鳴る。


歩きにくい。


けれど、それが逆に新鮮だった。


着物のおかげで自然と背筋が伸びて、歩き方までお行儀よくなる。


そのとき。


「……あれ?」


ミニエルが空を見上げた。


「なんか今日、木漏れ日が遊んでるね?」となおきが言った


「あ、なおきも分かる?」


エルが微笑む。


「精霊たちにとっても今日は特別な日なのかもね」


三人で手をかざす。


光の粒が、きらきらと揺れる。


昔なら。


きっと変だと思っていた。


光に手を伸ばしたり、

大きな木に触れたり、

石に手をかざしたり、


そういう行動が…


でも今は――


(変じゃない)


この子達といるとその行動すら尊く思う


そう思える。


木漏れ日の中で揺れる、着物姿の二人を見ながら。


(この二人のおかげかな)


ーーー


神前。


鈴の音。


静かな空気。


三人で手を合わせて、お参りをする。



お参りを終えて顔を上げる。


……あれ?


空気が、少しだけ違った。


神社の奥。

木漏れ日の中に――


木漏れ日の中に誰かが立っている…


なおきは、固まった。


そこに立っていたのは。


天女。


いや。


女神。


言葉で表せないほど神々しく美しい女性だった。


「レミエルさん?」


「え?」


ミニエルが首をかしげる。


「アマテラさん?」


「えー?!二千年ぶりじゃない?!」


「もうそんなに経つの?」


なおきは心の中で突っ込む。


(どんだけサバ読んでるんだ)


でも顔はニコニコのままだ。


すると。


美しい女神が不思議そうにこちらを見た。


「……あら?」


「こちらの方、私が見えるの?」


「あ!」


エルが言う。


「なおき、この方――」


「天照大御神さん」


「……え?」


「えーーーーー?!」


腰が抜けた。


いや、抜ける。


そりゃ抜ける。


「は、はじめまし……!」


「はじめました!」


噛んだ。


「……はじめまして!」


「なおきどうしたの?」


ミニエルが笑っている。


「アマテラさん、こちら」


エルがさらっと言った。


「私の夫になるなおきです」


「えーーー?!」


正月早々、ヘトヘトである。


ーーー


「人間で私たちが見えるなんて珍しいわね」


アマテラが言う。


「今までいなかったよね?」


「イエス君でさえ見えなかったでしょ?」


「そうそう」


ミニエルが笑う。


「あの子、集会とか好きだったよね」


「演説うまかったもんね」


「懐かしい」


神話と歴史が雑に混ざっている…


なおきは黙って聞いていた。


するとアマテラが、なおきの周りをふわっと見る。


「……なるほどねー」


「この子、光の粒を纏ってる」


「光?」


「直接の光じゃないわ」


アマテラは微笑む。


「夕焼けの精霊の力かぁ」


そして言った。


「日本に住む人はね」


「水、火、木、土、石、動物、あと場所もね……」


「色んなものに心を移してきた種族なの」


「だから私と相性がいいの」


ふわり。


光が遊ぶ。


「ほら」


「私の光と、あなたの光」


「楽しそうに遊んでるでしょ?」


その瞬間。


エルが一瞬だけ、ムッとした。


…ほんの一瞬だけ。


なおきは気づいて、そっと視線を下げた。


ーーー


目のやり場に困るほどの美しい三人だったが、交わされる会話は拍子抜けするほど普通だった。


神様、天使様なのに、びっくりするほど普通…


2000年ぶりとは思えないほどサラッと…


正月の三が日は特に忙しいらしくて会えて嬉しかった!と早々に別れた



帰り道。


「たこ焼き食べたい!」


ミニエルが言い出した。


「あ!私もー」エルも賛成した



結果。


ソースを盛大にこぼした。


「ミニエル!!」


「えへ」


「まあいつもの事だよね」


天使の力で消すのかと思いきや。


ミニエルはさらっと言った。


「エル、着物交換しよ?」


次の瞬間。指をクルクル!


着物ごと交換…


「わざわざなんで着せ替えるの!それ意地悪っていうのよ!!」


「こらミニエル!!!!」


いつもの光景だった。



「正月からアマテラさんも大変なんだね」


帰り道、なおきが言う。


「神様って忙しいんだよ」


「幸せって感謝の心から生まれるんだけど、どうしてもみんな神様に願ってしまうんだよね…」


「それを聞くのも神様の仕事…」


「それも含めて人の魂って未熟で美しい」


ミニエルが言った…


エルも頷く。




本当楽しかったね、なんて話ながら家に帰った


みかんを食べて三人でのんびりしていると――


ピンポーン


チャイムが鳴った。


「はーい」


なおきがドアを開ける。


「こんばんは」


「え?」


なおきは固まった。


そこに立っていたのは


「アマテラさん?!」


「えーー?!なんで!!」



ここまで読んでいただきありがとうございます。


まさかの初詣での神様遭遇回でした。


しかも相手はまさかのアマテラさん。二千年ぶりの再会とは思えないほど、ゆるい会話でしたが……神様たちの世界は意外とそんなものかもしれません。


そしてラスト……。


次回、まさかのアマテラさんが――?


実は…


明日もいつも通り20時10分に投稿します。

お楽しみに!!

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