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3人のクリスマス 2

クリスマスの夜、第二話目です。


きらきらした街の中で、なおきとミニエル、エルの三人にも小さなクリスマスが訪れます。


歌があって、プレゼントがあって、そして――少しだけ特別な時間。


ゆっくり楽しんでもらえたら嬉しいです。


――クリスマスの夜。


窓の外は今にも雪が降りそう

街の灯りが淡く滲んで、世界がやさしく包まれているみたいだった。


リビングには、小さなツリー。

ミニエルが飾りつけを頑張ったそれは、少しだけバランスが悪くて、でも――とびきり愛おしい。


「なおき、見て! きらきら!」


「……うん。すごいね」


枝にぶら下がった星は少し斜めで、リボンはぐしゃっと結ばれている。

それなのに、不思議と完璧に見えた。


たぶん。

そこに、二人の楽しそうが詰まっているからだ。


ミニエルはツリーの前でくるくる回り、

エルは少し離れた場所から、優しくその様子を見守っている。


「人間界のクリスマスって、本当に特別なんだね」


静かに呟くエルの声は、どこか柔らかくて。

以前よりずっと、ここに馴染んでいた。


「天界にも似たような祝福の日はあったけど……こんなにあたたかい感じじゃなかった」


「……あったかい?」


なおきが聞き返すと、エルはこくりと頷く。


「うん。胸の奥が、じんわりする感じ」


その言葉に、なおきは少しだけ視線を逸らしてから、

照れ隠しのように咳払いをした。


「……まぁ、寒いしね。暖房つけてるし」


「なおき、それは物理ね」


ぴしっと即答されて、ミニエルがくすくす笑う。


「なおき、顔ちょっと赤いよ?」


「赤くない」


「赤い」


「赤くない」


「赤い〜!」


わちゃわちゃとしたやり取りのあと。

ふと、部屋に静かな空気が降りた。


エルが、ツリーの前に立つ。

ミニエルも、その隣にちょこんと並んだ。


「なおき」


「ん?」


「……私たち、歌ってもいい?」


「歌?」


「うん。クリスマスだし!祝福の日、だから」


そう言って、エルはそっと目を閉じた。

ミニエルも真似するように目を閉じて、胸の前で手を組む。


そして――


透き通るような声が、部屋に響いた。


最初は、エルの静かな旋律。

澄んでいて、まっすぐで、夜の空気に溶けていくような歌声。


そこに重なる、ミニエルの少し高くて無邪気な声。


二つの声は、不思議なくらい自然に重なって、

まるで光がふわりと降り積もるみたいに、やさしく部屋を満たしていく。


窓の外に雪がちらつき始めた

ツリーのきらめき。

そして、二人の歌。


全部が混ざり合って、

この瞬間だけ、世界が少しだけ特別になった気がした。


(……なんだよ、これ、やばいね…)


胸の奥が、じんわりと熱くなる。


嬉しいのか、幸せなのか、

それとも――ただ、満たされているのか。


自分でもよく分からない感情が、静かに溢れていく。


やがて、歌はゆっくりと終わった。


最後の音が消えると、

部屋には、やさしい余韻だけが残る。


「……どう、だった?」


少し不安そうに尋ねるエル。

ミニエルも、期待に満ちた目で見上げてくる。


なおきは一度、息を吐いてから。


「……最高でした!」


短く、それだけ言った。


でも、その一言に、

二人の顔がぱぁっと明るくなる。


「ほんと!?」


「ほんとだよ」


「えへへ〜! やったぁ!」


ミニエルは嬉しそうにぴょんぴょん跳ねて、

エルはほっとしたように小さく微笑んだ。


その光景を見て、

なおきはテーブルの上に置いてあった小さな袋を手に取る。


「……あー、その」


「?」


「プレゼント」


二人が同時に固まった。


「ぷ、ぷれぜんと……?」


「なおきから……私たちに?」


「……クリスマスだから。別に、深い意味はないけど」


そう言いながら差し出したのは、

小さな箱が二つ。


ミニエルは震える手で一つを受け取り、

エルもゆっくりともう一つを開けた。


中には――

小さな星のネックレスと、

淡い浅葱色の石がついたブレスレット。


「……わぁ……」


ミニエルの目が、きらきらと輝く。

「お星さまの首飾り!!」


「可愛いのがミニエルっぽくない?」



エルは、しばらく言葉を失ったまま、

そっとブレスレットを指先で撫でた。


「なおき……これ」


「エルと同じ瞳の色だったから似合うと思って」


不器用な一言。

だけど、それで十分だった。


次の瞬間。


「なおき!!」


ミニエルが勢いよく抱きついてきて、

続いてエルも、少しだけ控えめに…でも確かに、そっと肩に寄り添う。


「……ありがとう」


「こちらこそありがとう」


耳元で聞こえた、小さな声。


その声は、

どんな祝福の言葉よりも、

ずっとあたたかかった。


「……大げさだなぁ」


「大げさじゃないよ!」


「うん。これは、特別な日だから」


ツリーの灯りが、三人を優しく照らす。


歌があって、

笑顔があって、

ぬくもりがあって。


そして――

ここに「居場所」がある。


なおきはふと、二人を見下ろす。


無邪気な堕天使…


でも。


(……見えてるの、僕だけなんだよな)


それなのに、

この時間は確かに存在していて

ミニエルとエルは本物で

この幸せは、ちゃんとここにあって


静かに、胸の奥で思う。


――ああ。


きっと、これが。


「家族」というものだとなおきは思った


外では、雪が静かに降り続いている。

世界は寒いはずなのに、

この部屋だけは、驚くほどあたたかかった。



そしてなおきはあることを思いついた…




ここまで読んでくださってありがとうございます。


クリスマスは、大きな奇跡が起きる日ではないかもしれません。


でも、誰かと笑ったり、小さなプレゼントを渡したり、同じ時間を過ごしたり。


そういう「小さなあたたかさ」が、きっと一番の奇跡なのかもしれませんね。


明日はクリスマス三話目です!なんかずっしりして3人の問題に寄り添ったウルッと来る回にしました!!

お楽しみにー。


ちなみに皆さんはどんなクリスマスの思い出がありますか?




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