うちに来る?
いつも読んでくださってありがとうございます!
今回は、エルの「はじめて」がたくさん詰まった回です。
人間とちゃんと話すのも、家に誘われるのも、カフェに行こうと悩むのも、全部はじめて。
天使……ではなく「堕天使」の彼女が、少しずつ人間らしい感情を見せていきます。
なおきの何気ない優しさが、エルにとってどれだけ大きなものなのか。
そんな距離が一歩近づく瞬間を、楽しんでいただけたら嬉しいです。
「ちょい待てい!」
振り返ると、エルは少し困ったような、寂しそうな顔で立っていた。スカートの裾をもぞもぞと握っている。
「それだけ? 私が見えるんだよ? もっと……怖かったりしないの?」
声が、わずかに震えている。
「あ、そういうこと?」
少し考えて、口が勝手に動いた。
「じゃあ、行くところなかったらうち来る? 一人暮らしで広くはないけど」
何を言ってるんだ僕は…
「……へ? 家に……来る?」
エルは何度も瞬きをした!
「い、いいの……? 人間が寝る場所だよね……入ったことないし……」
戸惑いと期待が入り混じった声。
頭の輪が、かすかにきらりと光る。
「……行く。行きたい!」
「じゃおいで。……ってか、僕これからカフェ行くところだったんだけど…カフェ行くか、うち帰るか、どっちがいい?」
「カフェ」
ぴくり。
目が輝く。
そして、
ぶんぶんぶん…
「ううん、おうちがいい! カフェってお店なんでしょ? 私が入っても、誰にも見えないし…」
視線が足元へ落ちた。
「それに……なおきの家、見てみたい。どんなところか、知りたい!」
「…そっか」
余計に放っておけないと思った
「僕が注文すればいいじゃんね。一緒に食べられるよ?」
もう一度、提案してみる。
エルの視線がショーウィンドウに吸い寄せられる。
色とりどりのケーキやパフェを前に、指先がそわそわと揺れる。
「た、食べたい……けど……」
ちら、とこちらを見る。
「いいの?」
瞳がきらりと輝いた。
「もちろん大歓迎だよ!もともとそのために来たし!好きなの言ってよ」
「僕も天使様と食べたいしさ」
「天使じゃなくて――」
ふっと笑う。
「堕天使ね!」
読んでいただきありがとうございました!
「天使じゃなくて、堕天使ね!」
ここ、個人的にとても好きなセリフです。
エルのプライドと、少し拗ねた可愛さが出せたかなと思っています。
そして次回はいよいよエル、初めてのカフェ体験(?)
なおきは本当に一緒に食べられるのか。
堕天使はパフェを味わえるのか。
少し甘くて、少し不思議な日常はまだまだ続きます。
よろしければぜひ応援よろしくお願いします。
それではまた次話で!




