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パン争奪レース

いつも読んでいただきありがとうございます!


ついに学校購買編も大詰め!早速、購買パン争奪戦が開幕しました。


なおき本人は普通にお昼を買いに行っているだけなのに、両膝の堕天使たちが完全に戦場モードです。


風・光・スリープ・ドレインタッチ……能力の無駄遣いがすごい回になりました。


見えているのはなおきだけなので、周りから見ると「ちょっと必死に走ってる男子」なのも個人的に好きなポイントです。


そしてさりげなく、エルが苗字を気にし始めています。ここも今後の小さな積み重ねになっていきます。


ドタバタだけど、三人の“分け合う温かさ”も感じてもらえたら嬉しいです。


翌日・昼休み。


チャイムが鳴る5秒前。


なおきの両膝に、見えない重み。


「来るわね」


「来るね」


「うん、くるよ!」


「作戦確認」


「ハムカツ、ピザ、チョコクロ」


「風は任せてねっ」


「光は私」


「スリープとドレインタッチは最終手段よ」


物騒すぎる……。


キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴った瞬間


ダンッ!


一斉に椅子が引かれる音が響く


床が揺れる。

廊下が地鳴りのように震え、そして空気が一気に前に流れた


「うおおおおおお!!」


購買へ向かう人の波、まるで解き放たれた群れ


体育会系、スタートダッシュ!

速い!!


バカみたいに速い。


「陸上部、本気出してる!?」


「風、いくよ!」


ミニエルが指をくるん、と回す。


ひゅっ。


一瞬、向かい風と小さなつむじ風。


「え? 今日、向かい風強くね!? うわっ!」


陸上部、転がって三秒のロス。


「今よ!」


なおき、抜いた!!


――しかし。


前方に立ちはだかる大男たち。


柔道部か!

壁のように分厚い。


「ごめん、道を空けて!」


「本気でぶつかってこい!!」


圧がすごい!!


くそ、完全にブロックされる……!


「少しだけドレインタッチ」


エルが背中を、とん、と軽く触れる。


柔道部員。

「……あれ? なんか力が……今日、疲れてるかも」


スー……ズズッ。


柔道部員の間に、わずかな隙間。


チャンス!!


「ごめんね。命までは削ってないから」


「怖い怖い、やめてエル」


購買目前


――だが、


「東雲直希くん?」


振り向く。


色っぽい上級生女子。

距離、近い。


「直希くん、そんなに急がなくても、私と半分こしよ?」


甘い声。

いい匂い。


そして、色気がすごい!!

大きな胸がなおきの肘にさりげなく当たって当たって…


「なおきのアホ!」


鼻の下が伸びてる……魔法なの!?


なおき、足が止まりかける。


次の瞬間――

パチン!!


ミニエル?エル?の理不尽ビンタが、なおきのほっぺに炸裂。


「痛っ!?」


そしてエルの眉がぴくりと動く。


「……しののめって何?」


「僕の苗字で、す」


「私、知らない……」


エル、少しだけ膨れる。


「光」


きらっ。


上級生。

「まぶっ!? 前が見えない!」


一瞬、目を押さえる。


ミニエルが小声でささやく。


「危なかったねー」


「いや、僕一発くらったんだけど!?」


ようやく購買に到達。


しかし。


「ハムカツあと三個!」

「ピザパン残り二個!」

「チョコクロ五個!」


「数がリアル!!」


後ろから体育会系の圧。

横から伸びる腕。


「スリープ、三秒」


エルが間一髪、魔法を発動。


周囲三人。


コテン。


寝た!!


その隙に――

なおきが体を滑り込ませる。


「ハムカツ確保!」

「ピザパンいけた!」

「チョコクロも!!」


勝利。


……のはずだった。


「お一人様、一種類二個までねー」


購買のおばちゃん、無慈悲。


ハムカツ2。

ピザ2。

チョコクロ2。


計六個。


「全員フルコンプは無理か……」


三人で屋上へ向かう。



戦いの余韻。

青い空に風が気持ちよく抜けていく


「……もう少し強く風出せたけど」

とミニエル。


「学校吹き飛ぶからやめてね」


「私はあの女を消してもよかったのよ?」


「やめて! エルは本当にやりそうだから!」


昨日みたいに、三人で丸くなって座る。


そして戦利品のパンを並べる。


六個。

三人。


一瞬、静かになる


3人、顔を見渡して爆笑!!


「楽しかったぁー」


「こんな楽しいこと初めてした私」


「僕もだよー」


「まあ、マックス買えたわけだしさ」


「……半分こ、する?」


ミニエルがぽつりと言う。


エルが少しだけ目を細めた。


「合理的ね。三等分すれば全部味わえるわ」


なおきが笑う。


「じゃあ作戦変更。分配作業開始」


ハムカツを三等分。

ピザも三等分。

チョコクロも三等分。


「ちっちゃくなった」


「でも、全部食べられる」


「それに――」


エルが小さく微笑んで言う。


「奪い合うより、分け合うほうがあたたかいわ」


ミニエル、ぱく。


「……おいしい」


なおきも、ぱく。

エルも、ぱく。


風がふわっと吹く。


購買パン争奪戦の熱が、少しずつほどけていく。


「ねえ、なおき」


「うん?」


「明日はもっと作戦練る」


「いや、もう平和にいこう?」


「やだ」


即答。


三人で笑う。


パンは少し小さかったけれど、

笑い声は、昨日より大きかった。


「明日はミックスサンド狙うか! カレーパンもおすすめだよ」


「おー!!」


「苗字……しののめっていうのね」


……なんかエル、気にしてるなぁ。




ここまで読んでいただきありがとうございました!


購買パン争奪戦からの屋上ランチ、三人らしいドタバタで楽しいひとときになりました。


全力で奪いに行ったのに、最後はきっちり三等分して分け合う。そんなところも、少しずつ“家族”になってきた証なのかなと思っています。


なおきの平凡な日常に、見えない二人が加わるだけで、お昼休みさえ小さな大冒険になるのがこの作品らしさかもしれません。


そして、このにぎやかな時間のあと、物語は少しだけ静かな優しさへと進んでいきます。


笑って、騒いで、でもその裏で積み重なっていく感情や絆も、丁寧に描いていけたらと思っています。


これからも、なおきとエル、ミニエルの温かい日常を見守っていただけたら嬉しいです。


いつも読んでくださり、本当にありがとうございます!

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