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連れ戻しに行こうか!!

いつも読んでいただいてありがとうございます。


穏やかだった日常が、少しずつ音を立てて崩れ始めます。


大切な人がいなくなった日。


泣きながら助けを求めたあめと、その手を取る仲間達。


そして、動き出す天界の因縁。


ここから物語はクライマックスへ向かいます。


どうぞお楽しみください。


あめ達がタコパをして、あめとなおきが話をしたその夜の事…


急に時間は加速する。



サンタの前に、《神》が現れたのだ


百年以上。


天界から接触などなかった。



それなのに…よりにもよって今……


雫とあめと、静かに暮らしているこの時に。



『離れろ』


神は静かに言った。


『サタン、魔王のお前が側にいる限り、その家族は幸せにはなれない』



雫と、あめが幸せになれない…



サンタは目を閉じた。


……確かに。


自分のような存在が、人間の側にいていいのかは分からない。


魔王サタン。


堕天した存在。


人を愛してはいけない側なのかもしれない。


《お前がいなくても、二人は生きていける》


その言葉が、妙に胸に刺さる。



ーーー


天界。


静かな白の空間。


「神様……」


ミカエルが小さく声を漏らす。


「どうしますか?」



神は目を閉じたまま、静かに答えた。


「…ふふっ!このままでいいでしょう!?」


「……はい」


ミカエルは頷いた。


けれどその表情は、どこか不安そうだった。



ーー


翌日。


「あめちゃん、今日休みって…」


凪が不思議そうに言う。


「先生、風邪って言ってたけど…」


「LINEしても帰ってこないんだよね」

凪も神谷も心配そう。


昨日帰って風邪をひいたとも思えないし、何かあったかなおきも心配しながら放課後を迎えた…




学校帰りの路地の影から「なおき君!」と呼ぶ声


昨日の帰り、明るかったあめとは別人のような…私服のあめが、ぐしゃぐしゃに泣いた顔で立っていた。


きっと、ずっと待っていたんだろう…こちらから疑問を投げかけるまもなく、

「サンタさんが……」


震える声。


「出ていっちゃった……」


「え?」



ーー


一旦落ち着いて考えようと、


なおきの家へあめは行くことになった。



部屋に入って、なおきはミニエルとエルに事情を説明した!


ミニエルがぱっと顔を上げる。


「なおき! 精霊の粉、私たちにかけて!?」


「え?あ、うん!」


なおきは、光の精霊の粉をそっと振りかけた。


ふわり、と光が舞う。


その瞬間。


あめの視界に、

二人の女性が現れた。


見た目、年下に見えるミニエル。


そして、同い年ぐらいのエル。


現れた!というより、今まで見えなかった存在が見えるようになった。


二人とも、あめが思わず見惚れてしまうほど綺麗だった。


あめは涙で言葉を詰まらせながらも、小さく頭を下げる。


「……はじめまして」


その姿に、ミニエルが少し困ったように笑った。


「でも、おかしいよね」


真面目な声でミニエルが言う…


「大切な家族を捨ててまで、サンタさんが出ていくわけないでしょ?」



「あめちゃん?」

エルも静かに続ける。


「サンタさんは、私達の恩人なの」


「誰かのために堕天した人が、人を悲しませるために消えないよ」



「……でも」

あめの声は震えていた


「自分がいると不幸になるからって……」


「私とママなら大丈夫だからって……」


泣き腫らした瞳…


ずっと一人で抱え込んでいたのだろう。


普段のあめなら、どんな時でも何かしら解決策を探そうとする。


でも今は違う…


今にも壊れてしまいそうなくらい、弱々しかった。



ミニエルが、ふと真顔になる。


「……出ていくほどの理由って、なんだろ?」


「だってサンタさんって、自分が死んでも守る側の人だよ?」


言いながらミニエルは心の奥に入ってくるこの忌々しい感覚…



……この感覚。


知っている!!


人の心に入り込み。


ほんの少しだけ、幸せを歪ませてその穴をほじくるような。


嫌な予感しかしない…




「ちょっと待って!!」


ミニエルが、ぱっとエルの手を掴む。


「お姉ちゃん、力貸して?」


エルが小さく頷く。


「なおき、左手」


「僕も?!」


「うん!」


ミニエルがにっと笑う「ご褒美的な」

ミニエルが少しふざけた


「おい、真面目にやりなさい!!」

なおきが即ツッコミを入れる!でも、それがミニエルなりの優しさなのだろう。


「あはは、うそうそ」


ミニエルは笑いながら、少しだけ真剣な顔になった。


「なおきの精霊も、ちゃんと力になるんだよ」


そして。


ミニエルが詠唱する。


《福音の反響 フクインノハンキョウ》


光の精霊達が、粒子のように部屋へ広がる。


淡い光が、街へ溶けるように飛んでいく。


隠された気配…


途切れた繋がり…


その全てを探すように。



「サンタさん、すっかり力弱いからなぁー」

とミニエル


「だからこそ見つけられるうちに見つけないと」エルが言った


「どこだどこだー?」

ミニエルがきょろきょろしながら言う。


「……絶対いるはず」

あめが小さく呟いた。

「サンタさん、行くところないもん……」


その声が、

胸に刺さる。


そして。


「……いた!!」


ミニエルが顔を上げた。


エルも静かに目を細める。


「もう繋がったから、大丈夫」


「見失わないよ」


その言葉を聞いた瞬間。


あめが、

両手で顔を覆った。


「……よかった……」


張り詰めていたものが、

少しだけ崩れる。


けれど。


エルは静かに続けた。


「安心するのは、まだ早いからね、あめちゃん!」


「出ていった理由も気になるし…」


重い沈黙。


その時。


あめが小さく言った。

「……今、ママも呼びました。帰ってくるかもって家で待機してたから!」


なおきが頷く。


ミニエルが立ち上がった。

「よし!」


ぱん、と手を叩く。


「じゃあ、連れ戻しに行こうか!」


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。


ついにサンタが姿を消しました。


しかし、ミニエルの言う通りです。


誰かのために堕天した男が、大切な家族を悲しませるために消えるでしょうか?


違和感の正体。


神の思惑。


そして、あめ達が辿り着く答え。


いよいよクライマックスです。


次回――みんなでサンタを迎えに行きます。


あと3話で最終回です。


明日は続けて読んで欲しいので、20時10分、20分に連投します!!


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