表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/123

秘密だった同じ風


不思議なことって、案外すぐ近くにある。


見えない誰か。

聞こえない声。

説明できない優しさ。


気づいていなかっただけで、ずっと隣にあったのかもしれない。


今回は、二人が少しだけ秘密を打ち明けるお話です。


ドサッ!!


「ミニエル?! エル!!しっかりして」


なおき君が、慌てた声を上げる。


見えない。


でも。


何かを抱きかかえるような仕草だけは見えた。


まるで、本当にそこに誰かいるみたいに。


なおき君は、完全に私のことを忘れているみたいだった。


「しっかりして……!」


その声が、苦しいくらい真剣で。


私は、その時ようやく理解した。


ああ。


この家には、本当にいるんだ。


しかも、二人。


なおき君の腕の動き。


視線。


呼んだ名前。


全部が、そう言っていた。


私は小さく唇を噛む。


「……ごめん」


なおき君が振り返る。


「え?」


「私、なんか悪いこと言ったよね…」


《サタン》


その名前を出した瞬間から、空気が変わった。


だからきっと、何か深い理由がある。


そう思った。


でも。


なおき君は、困ったみたいに笑った。


「何で?」


「え?」


「気にしないで」


優しい声だった。


「多分……この子たちにも、深い繋がりがあるんだと思う!この2人が堕天した理由じゃないかなぁ…」


そう言いながら、なおき君はゆっくりベッドに視線を落とした。


まるで、大切な物を見るみたいに。


「……本当にその名前か聞いてって言ったのはミニエルなんだよ」


「え?」


「サタンって聞いた瞬間、安心したのか少し笑ってたような顔で泣き出して…」



「遠足の日ね…」


「足を怪我した時に吹いた風と同じだったの…」


痛みを包むみたいな。


不安を撫でるみたいな。


どこか懐かしい風。


「多分ミニエルさんか、エルさんがしてくれたんだよね」


「サンタさんも何かあるとしてくれるから、優しい風」


なおき君が、小さく頷きながら笑った


「あの時は多分エルの力だよ」


「……」


胸の奥が、じんわり熱くなった。


やっぱり似てる。


サンタさんと。


力じゃなくて。


空気が。


優しさが。


「……ねえ、なおき君」


「ん?」


「私、その風好きだよ」


なおき君は少し驚いた顔をして。


それから、安心したみたいに笑った。


「そっか」


「僕と同じだね」


静かな時間だった。


見えない誰かがいる部屋。


でも、不思議と怖くない。


むしろ。


すごく温かかった。


私は、床に座り込んだまま、小さく息を吐く。


「……どこから話そうかな」


ぽつり、と呟く。


なおき君も、静かに座った。


「じゃあ、僕も隠さず話すよ」


そう言って。


私たちは、

少しずつ秘密を話し始めた…


ここまで読んでくださってありがとうございます!


今回は、あめとなおきが初めてお互いの秘密に触れる回でした。


これまで別々に進んできた物語ですが、少しずつ同じ場所へ向かい始めています。


ただ、今回の話で一番書きたかったのは天使や堕天使の話ではありません。


あめが感じた優しい風。


なおきが知っていた優しい風。


見えなくても、正体を知らなくても、人は誰かの優しさを覚えているのかもしれません。


そして、その風を起こした人たちもまた、誰かを大切に思っていました。


第三章も終盤です。


ここから先は、それぞれが抱えていた秘密や過去が少しずつ繋がっていきます。


どうか最後まで見届けていただけたら嬉しいです!


気に入っていただけたらブックマーク、評価お願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ