高校生と、どうでもいい話
こんばんは♪
放課後のファミレスって、なんであんなに楽しいんでしょうね。
勉強するはずだったのに、気づけばどうでもいい話ばかりしてしまう…
でもなんとなく私もあとから思い返すと、こういう時間が一番記憶に残っていたりしますねっ!!
そんな高校生達の日常回です!
放課後。
テスト週間のホームルームが終わったあとも、教室にはまだ何人か残っていた。
窓の外は少しだけオレンジ色で、友達同士楽しそうに下校する声とか、机を引く音とか、そんな《学校の終わりの音》がゆっくり流れていた。
あめは、友達と話しながらふと視線を向けた。
――なおき君。
自分の席で、教科書を開いて固まっていた。
「……無理だこれ」
ぼそっと聞こえてきて、思わず吹き出しそうになる。
しかもその隣で、誰もいない空間に向かって少し視線を動かして喋っている
……やっぱり不思議な人。
でも、遠足の時からなんとなく気になっていた。
最初は静かな人だと思った。
けど話してみると、ちゃんと笑うし、変にカッコつけないし、なんか、一緒にいてラクだった…
しかも神谷のボケにも普通に乗る。
そこ、ちょっとポイント高い。
「ねえ」
サッと教室に戻ってきた凪が小声で言った。
「なおき君も誘おっか?」
あめは立ち上がった。
「なおき君!」
声をかけると、
なおきが顔を上げる。
「あ、あめさん」
「さんいらないって」
「あめ様」
「さんでいいわ!!」
あめは笑う。
「今日さ、勉強会するんだけど」
「勉強会?」
「うん。凪ちゃんと神谷と」
「なおき君も来る?」
なおきは一瞬だけ迷った顔をした。
その顔がなんか、
《本当に行っていいのかな》って顔に見えて。
だからあめは、少しだけ身を乗り出した。
「むしろなおき君来た方が楽しいし」
言ってから、ちょっとだけ恥ずかしくなった。
…なんか今、変な言い方だったかも。
すると、なおきが少し笑った。
「……じゃあお願いしようかな」
「やった!」
思わず声が弾む。
その瞬間、
凪が後ろからニヤニヤしている。
「嬉しそうだねーあめさん」
「うるさいなー!」
――
こうしてみんなで下校するのも、なんか楽しかった。
神谷はずっと喋ってるし、
凪はそれにツッコミ入れてるし、
なおき君は笑ってる。
なんか、
ちゃんと《友達》
遠足の班決めなんて、最初は正直ちょっと面倒だと思ってたのに。
あの時同じ班になってなかったら、こうして歩いてなかったのかなって思うと、少し不思議だったりする
ーー
ファミレスに着いた4人…
「うわ、学生多っ!」
「テスト前だからじゃない?」
「絶対みんな勉強してないよね」
「お前が言うな神谷」
相変わらずな凪ちゃん
ガチャガチャと席につく。
ドリンクバーに行くだけで騒がしい。
「なおき君なに飲むの?」
「カルピス」
「子ども」
「うるさいな!」
「じゃあ神谷は?」
「メロンソーダ」
「神谷も子どもじゃん」
「俺は許される」
「なんで?」
「あ、でもわかる」
と、なおきが真顔で言うからみんなが吹き出した。
ファミレスって不思議だ。
別に特別なことしてないのに、なんかずっと楽しい。
ポテトつまんだり、ドリンク混ぜて失敗したり、「一口ちょうだい」が始まったり。
しかも勉強会なのに、全然勉強が始まらない。
「あ、そうだ」
凪が突然言った。
「私それ気になってた!」
「あめのペンケースのそれ!」
羽のキーホルダー。
小さな木彫りの翼。
「え、可愛くない?」
あめはちょっと得意げに揺らした。
「でしょ?」
「これお気に入りなんだよねー」
シャープペンの後ろで、つん、と羽を突く。
なおきがそれを見て、
少しだけ目を細めた気がした。
「なんかあめっぽい」
「え、なにそれ」
「いや、なんとなく」
「ふわっとしてる!」
「褒めてる?」
「多分」
「そこ褒めてるって言え!」
また笑いが起きる。
本当に、
どうでもいい話ばっかり
高校生って、こういう時間で仲良くなるのかもしれない。
――
ようやく教科書が開かれた頃には、もうかなり時間が経っていた。
「ここさ」
あめがノートに式を書く。
「この公式使うと一気に楽になるよ」
「え、どれ」
なおきが覗き込む。
距離が近くなって、あめは少しだけドキッとした。
けどなおきは全然気づいてない顔で、
「あ、本当だ」って素直に感心していた。
「あめ先生すご」
凪が笑う。
「えへへ」
ちょっと嬉しい。
なおきは、
わからない時に変に強がらない。
「わからないものはわからない」
普通にそう言う。
「なおき君って意外と素直だよね」
そう言うと、
「え?」
って本気で不思議そうな顔をする。
その顔が面白くて、またみんなで笑った。
神谷がすかさず言う。
「俺のこと好きになるなよ?」
「お前じゃねえよ!!」
凪とあめの声が綺麗に重なる。
「あはははっ!」
なおきまで笑ってる。
その空気が、
なんかすごく心地よかった。
勉強して、
笑って、
どうでもいいことで盛り上がって。
でも、
その《どうでもいい》が、案外すごく大事だったり…
帰る頃には、外はもう夜になりかけていた。
駅前で手を振る。
「また明日ねー!」
「テスト勉強ちゃんとやれよ神谷!」
「無理!」
「即答すんな!」
笑いながら別れる。
あめは少しだけ振り返った。
なおき君は、
どこか嬉しそうに笑っていた。
その顔を見て、
なんだかこっちまで嬉しくなる。
お互いにみんな、特別なことをしたわけじゃない。
一緒に笑って、くだらないことでツッコんで、ドリンクバーで騒いで、少しだけ勉強しただけ。
でもーー
人って案外、こういう小さな時間に救われたりする。
「またね」とか、
「それわかる」とか。
そんな数秒のやり取りが、気づかないうちに、孤独を少しずつ削ってくれるのかもしれない。
――ああ、
なんか、いい仲間できたかも。
あめはそんなことを思いながら、夜の駅前を凪と並んで歩いた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
今回はかなり日常寄りのお話でした。
勉強会なのに全然勉強しない高校生達です。
でも、「また明日」とか、「それわかる」とか、
そんな何気ない時間って、案外大事だったりしますよね。
少しでもこの空気感を楽しんでいただけたら嬉しいです!
青春って、大事件じゃなくて、ファミレスや、フードコートのドリンクバーや山盛りポテトから始まるのかもしれませんよね!
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