この3人の傘
雨の日の音は、少しだけ世界をやわらかくしてくれる気がします。
今回は、今では誰とでも仲良くクラスでも明るいあめが、小さい頃に感じていた、学校の空気と、帰り道のお話です。
二章のアンブレラと似せて書きました!
読んでもらえたら嬉しいです。
もう少し小さかった時、いつも学校で思っていた…
もう1人の自分…
まあ、学校の静けさが嫌い…
その静けさは、優しさじゃないから
「はい、ここまでやって」
先生の一言で、鉛筆の音が止まる。
ページをめくる音。
椅子を引く音。
終わった人たちの空気。
「はいお終い!片付けしてください!!」
その中で、私はまだ手を動かしていた。
少し遅いから…
ちゃんとやりたくて…
「先生、あめちゃんまだやってます」
そういう声は、どこかいつも軽い…
ただ、正しいことを言うクラスメート
「雨宮さんあとでやりなさい」
先生も、いつも通りの声で言う。
あとっていつ?…
そして《見られている感じ》だけが残る…
遅れている自分。
できていない自分。
いや、まだやりたい自分もか…
できるわけがない時間に詰め込まれた内容…
それが、すごく嫌だった。
「ねえ、早くしなよ」
「また最後まで残るよ?」
そんな言葉が、少しずつ増えていく。
気づけばーー
見えない線が、教室の中に引かれていた。
誰もそんなこと言ってないのに、
ちゃんとある。
先生も、言われた事をやる子の方の評価が高い…
それが、クラスの空気、学校の空気だった。
そうでなければいけないという感覚がない世界になったらいいのに…とよく思った。
雨の日、
帰り道、空は灰色で、ぽつぽつと雨が落ちてくる。
私は少しだけ、ほっとする。
雨の音は、周りの声をぼかしてくれるから。
「おかえり」
家の前で、サンタさんが待っていた。
開いた傘の下に、すっと入る。
その傘はーー
水色で、しずく柄で、少し色褪せた、小さな傘。
「それ、まだ使ってるの?」
思わず、また言ってしまう。
何度も言った言葉。
「新しいの、買おうよ」
サンタさんは、少しだけ笑った。
「いいんだよ、これが一番いい…」
「なんで?」
「ダメかな?」
当たり前みたいに言う。
「あはは、でも小さいじゃん!」
ーー
ママが、玄関からこっちを見ている。
その目は、いつも優しい。
「サンタさんその傘、大切にしてるよね」
「あめからもらったやつだからね」
サンタさんが、さらっと言う。
ママは、くすっと笑った。
「ほんと、そういうとこ似てるよね」
思わず笑ってしまう!
ママも、そうだ。
オシャレなのに、心のこもったものは手放さない人。
私とガチャでゲットした変なキーホルダーカバンにつけてたり…
雨の中を、三人で歩く。
大きな背中と、小さな傘。
周りの人の視線が、少しだけ気になる。
似合ってない、とか。
大きいとか小さいとか。
変だ、とか。
きっと、そう思われてる。
私が小さい時に無理やりあげた傘…
でも、それ以上に。
胸の奥が、あたたかい。
そんな矛盾の中で私はいた…
ーー
雨の日は、好きだ。
全部、少しだけやわらかくなるから。
学校のことも、
嫌だった気持ちも、
全部、少しだけ遠くなる。
ーー
気づいた。
私にとっての《傘》はーー
ママと、サンタさん。
この二人が、私の傘なんだ。
ルールも。
差別も。
見えないカーストも。
視線も。
全部ーー
この三人の傘の前では、無力だ。
なぜならば最強だから!!
そして高校生の今、それぞれ傘の色はカラフルだけど、気の合う友達が何人かできた!
やっぱり私、雨の日が好きだなぁ
《あめ…生命を潤し、静かな時間を思わせる優しい名前だな》
昔サンタさんが、そうやって言ってくれたってママが教えてくれた!
最後まで読んでいただきありがとうございます!
今回は、あめ視点の少し静かなお話でした。
「誰も悪くないのに苦しい空気」って、たぶん学校だけじゃなく、色んな場所にあるのかなと思っています。
それでも、帰れる場所や、自分をそのまま受け入れてくれる人がいるだけで、少しだけ世界は違って見えるのかもしれません。
そして、サンタさんは今日も小さい傘を使っていますww
可愛いですよね♪
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