私はその風を知っている…
今回も春の遠足回です!
わちゃわちゃした青春の空気の中で、
少しだけ《あめ》にとって特別な瞬間が混ざっています。
なおきの優しさと、
あめが感じた“あの風”。
春の遠足回です!
わちゃわちゃした青春の空気の中で、
少しだけ「あめ」にとって特別な瞬間が混ざっています。
なおきの優しさと、あめが感じたあの風
楽しんでもらえたら嬉しいです!
伏線回収回です。二章をもう一度読み返しても楽しいかもですよww
お弁当を食べ終わったあとも、フィールドアスレチックは賑やかだった。
ターザンロープで叫ぶ男子。
ジップラインで森の上を滑空する子。
遠くから聞こえる笑い声と、木々のざわめき。
春の山の空気は少し湿っていて、土と若葉の匂いがした。
「ねえ?! あのターザンロープ見て」
凪ちゃんに言われて視線を向ける。
「……なんか勝手に行って勝手に戻ってきてるね…」
目が点になる。
透明人間!?
なのにロープだけが勢いよく飛んでいって、また戻ってきている。
「なおき君、爆笑してるし」
「疲れてるのかなー私」
「普段から疲れることしてないんだけどなぁ…」
二人でそんな話をしているとーー
「おーい!!」
上から声がした。
見上げると、ジップラインで神谷が飛んでいる。
「おーい!!」
めちゃくちゃ楽しそうに手を振っていた。
「俺への声援ありがとうー!!」
「誰もしてないって……!」
凪ちゃんが笑う。
そのまま神谷くんは森の奥へ消えていった。
元気すぎる。
――そのあとだった。
次のアスレチック。
丸太を渡るコース。
慎重に進んでいたつもりだった。
けれど。
「きゃっ!」
足が滑る。
次の瞬間、そんなに高さはないのだが足を踏み外して地面に手をついていた。
膝に熱い痛み。
擦れた感覚。
「っ……」
痛い。
思ったより、ずっと。
でも泣くのは嫌だった。
みんなの前だし、凪ちゃんもいる…
必死にこらえる。
するとーー
「大丈夫?!」
すぐ近くで声がした。
なおき君だった。
本当に、反射みたいに駆け寄ってきてくれた!
「いた、い……」
声が漏れる。
「うん!だよね…」
なおき君はしゃがみ込み、タオルで手のひらの砂を優しく払ってくれた。
「無理に立たなくていいよ…ちょっと見せてみ?」
その声が、不思議なくらい落ち着いていた。
不安にならないようになのか、安心させるようになのか…
自然…。
なんだろう。この人凄いって思った…
そしてなおき君の手はとても温かかった。
優しくて。
真剣。
その時、
ふわっーと。
風が吹いた。
春の風みたいに、
包み込むように柔らかい。
でも、
少しだけ温かい空気。
その風が、擦りむいた膝と、捻った足に触れる。
「あれ……」
痛みが、少しだけ引いた。
「……ちょっと楽になった……」
そして。
気づけば、言葉がこぼれていた。
「……いるの?」
「え?」
なおき君が首を傾げる。
「あ、えっと……なんでもない」
違う。
なおき君に言ったわけじゃない。
今の風。
あれ、サンタさんが時々してくれる、あの優しい風だったからーー
その瞬間、見えない誰かが、すぐ近くで笑った気がした。
少し坂やゴツゴツした地面の時は凪ちゃんとなおき君が、手を握ってくれたり肩を貸してくれて救護室へ…
後から何となく大事には至らないと聞いたからか神谷も少しふざけて
「大丈夫か!!」
と変顔で入ってきてくれた時はみんなで笑った!!
まあ、今日は安静にする事と帰ったら一応病院へ行く事を救護室の先生に言われてその場を後にする
「なおき君、ありがとう、ごめんね!」
「なんで謝るの?誰でも転ぶし、気にしないで!!」
「でもこんな事に付き合わせちゃって…」
「お互い社会勉強と思って!」
「まあ、次僕が転んだ時は、助けてよ」
「転ぶ前提!?」
凪ちゃんがすかさず言った!
「あはは!面白い」笑ってしまった
それだけ言うと、神谷といっしょに走って行った!!
「あいつらいい奴だね」
凪ちゃんがポツリと言った。
「…うん」
自然と笑っていた。
春の山の空気は、
まだ少しだけ湿っていて。
遠くでは、誰かの笑い声が響いていた。
「本当そう思うよ…」
フィールドアスレチック回でした!
ターザンロープやジップライン楽しいですよねー
神谷はたぶん、こういう場所だと永遠に元気です。
そして今回は、二章の話の裏、あめ目線の話です!
あと、あめが感じた風。
気づいた方もいるかもしれませんが、あれは、昔から彼女を包んできた優しい風です。でもその風はエルが使いましたよねw
私もあめの三章、なおき、ミニエル、エルの話をなぞりながら書いててすごく楽しいです!
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