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アップデート…

今日も遠足回の続きです!


サービスエリア、UNO、フィールドアスレチック、そしてお弁当。


高校生の「わちゃわちゃした空気感」を、今回はかなり意識して書いてみました。


みんなとの会話の中で、少しだけ見えるあめが感じる空気も、楽しんでもらえたら嬉しいです。


フィールドアスレチック。


「うわ、高っ!!」


最初のアスレチックを見た瞬間、神谷が叫んだ。


山の斜面に沿って作られた丸太コース。


下を見ると、思ったより高さがある。


「これ絶対落ちるやつじゃん!」


「落ちたら死ぬなぁーこれ」

凪が冷静に返す。


「なおき君こういうの得意そう」


あめが言うと、なおきは少し困ったように笑った。


「どうかなぁー?」


「その顔、絶対いけるやつ」


「いや本当に普通だって」


そのときーー


山の奥から、ふわりと風が吹いた。


木々が揺れる。


葉の擦れる音。


その中に、

ほんの一瞬だけ。


誰かの気配みたいなものを、あめは感じた気がした。


「……あれ?」


「どうした?」


「んーん。なんでもない」


その直後。


「うわぁぁぁぁ!!」


神谷が丸太の上で盛大にバランスを崩した。


「あははは!!」


一気に笑い声が広がる。



ーーそして。


なぜか、

なおき君は焦り顔で猛ダッシュでどこかへ走って行った!!


「お腹でも壊したかあいつ?!」

神谷が言う。


「有り得るそれ!!」

凪が即答する。


「その意見、有力候補だわ!!」

あめも頷く。


「帰って来なかったら様子見に行こうか!!」


「あはは、ウケる」


ーー数分後。


「うわ、高っ!」


神谷が再び叫んだ。


「ほら、あそこネットのところ、なおき君いるよ!」

あめが指をさす。


「……ネットの人達……三メートルぐらい飛んでない?」

凪がきょとん顔で言う。


「飛んでるね……」

神谷が呆然とした顔をした。


「人間の能力を越えて見えるんだが、私には……」


なおきは、

ネット遊具を軽々と飛び越えながら進んでいく。


しかも速い。


やたら速い。


「なおき君、絶対普通じゃないって!!」


「だから言ったじゃん!」


笑い声が、山の空気へ広がっていく。



そして、


軽く?!体を動かしたところでーー


昼休憩。


レジャーシートの上に、それぞれのお弁当が並んだ。


「うわ、凪ちゃんの彩りすご!」


「ママが気合い入れてたから!!」


「やばい高画質、眩しい!!」


「あはは、あめ、なにその感想」


凪が笑う。


「ねえ交換しよ!」


「いいよ!」


卵焼き。


唐揚げ。


ウインナー。


小さなおかずが、あちこち飛び交う。


その時。


「……え?」


神谷が固まった。


なおきのお弁当を見ている。


「なおき、お前これ……何?」


「お弁当だけど?」


「うむ、それは分かる…ってか、量がスポーツ選手だよ?!」


二段。


いや、

実質三段。


ぎっしり詰まったご飯。


唐揚げの数……四人家族分?


卵焼きも分厚くて、やたら美味しそうだ。


「いや、美味しそうすぎるだろ!?」

神谷が言う。


「いやいや、感覚ぶっ壊れてるよ?」

あめも思ったことが、そのまま口から出た。


「交換する?」


なおきが普通に聞く。


「する!!」


神谷とあめが、ほぼ同時に即答した。


「あ!神谷のコロッケ美味しい!!」


「お母さん、コロッケ得意なんだよね!」


「うちのひと口ハンバーグも食べて?!ママの得意料理なの」あめが言うと


「美味しい!!ケチャップが絶妙に合うねー」


「俺も唐揚げいただきます!!」


「うっっっんま!?!?」


「声でか」


「あ、本当だ。唐揚げ美味しい!!」


「でしょ!?」


なおきが、少しだけ誇らしそうに笑った。


「ってか、ネット見て作ったんだけどね!」


「え?」


みんな、顔を見合わせる。


「僕、親いないからね。小さい頃から」


空気が、ほんの少しだけ静かになる。


でもなおきは、いつも通りの顔で続けた。


「でも全然気にしなくていいよ!アプデしてバージョンアップしてるから」


「なんだよそれー!」


「あはは!!」


その軽さが、逆に優しかった。


なんか落ち着いて見えるのは、そういうことなのかも!と、あめは思った。


……ってか。


話してる間に、なおきのお弁当が半分以上なくなってる!!


思わず二度見した。


こんなに食べられる人、本当にいるんだなぁーって、単純に思った。


「ねえねえ、私の唐揚げも食べてよ!」


「え?いいの?」


「ってか僕、女子とおかず交換したの初めてなんだよね!!」


「記念日じゃん!!ってか、私もだ!お互い初めてだねっ」


「うん!グフッッ」


「エル痛い!!」


「エル?!どうした?!なおき!!」

神谷が慌てる。


「なおき君、大丈夫?」

あめも心配そうに覗き込む。


「……あ、はい。大丈夫です……」


なおきは少し顔を押さえながら言った。


「たった今天罰がくだりました」


何それ!?とみんなで笑った。


あめは思う。


こんなふうに、駆け引きもなく笑えて、一緒にいるだけで楽しいって思える仲間。


それって、すごく特別なんじゃないかなって。


アップデートかぁ…


そんなことを、ぼんやり考えていた。

今回も読んでいただいてありがとうございました。


「遠足の青春感」を全力で書いてみました!


その中で今回は、なおきの「普通じゃない身体能力」と、

少しだけ見える過去も混ぜてみました。


でも、ちゃんと笑える空気感にしたかったので、みんなの会話テンポをかなり大事にしています。


個人的には、「アプデしてバージョンアップしてるから」

って言うなおきが結構好きです。


あめの過去にも繋がりますもんね!!


よければ感想やブックマークなど、応援いただけると嬉しいです。



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