表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/123

バスの一番後ろの青春

遠足って、

目的地に着く前の時間が、実は一番楽しかったりしますよね。


私はその時間が終わりたくなくて、それだけで帰りたくなるタイプでしたww


サービスエリアでつい買いすぎたり、UNOやトランプが始まったり、いつもよりちょっとだけテンションが高かったり。


そんな、「まだ目的地に着いてないのに楽しい」高校生達の空気を書いてみました。


「遠足って感じだなー」


神谷が身を乗り出す。


「バスで出発ってなんかいいね!」


なおきが頷く!



あめは、なんとなく窓の外を見ていた。


流れていく景色。


ビルが減って、空が広くなっていく。


それだけで、いつもの毎日が少しだけ遠くなる感じがしてわくわくする。


ーー


「ねえあめ、これ食べる?」


凪がポテチを差し出す。


「食べる!」


袋を開けて、みんなでつまむ。


「俺それ好きなやつ!」


神谷が手を伸ばす。


「取るなって!」


「一枚くらいいいだろ!」


笑いが広がる。


「私グミあるからあげるよ」とあめ


いつもの空気。


でも、少しだけ違う。


学校じゃないっていうだけで、こんなに特別感…クラスのみんなも朝早いと言うのに普段より声も大きい。



ーー


「サービスエリアで20分休憩します!」


「休憩だってー」


「何か買おうよ!」


凪とあめが顔を見合わせる。


「行く」


「なんか小腹空いたよね」


なおきも頷く。


「ほどほどに」


「お弁当もあるからね!」


あめがすぐにツッコむ。




それぞれ男女別で休憩を終えて帰ってきた


…。


バスに戻ってきたなおきの手には牛串と、たこ焼き、唐揚げ…


「なおき君!?それ今から食べるの!?」


あめが二度見する。


「……買いすぎたかも」


「それ、もはやお昼ご飯だよね!」


笑いが爆発する。


「いやでもさ、サービスエリアってさ!」


あめが身を乗り出す。


「分かる!つい食べちゃうやつ!」


「俺もフランクフルト迷った!」


「その代わりアメリカンドッグ買ってるじゃんか」すかさず凪


「いや、理性が……!」


「でも買ったよね?」


「遠足に理性いらないでしょ!」


「あはは」


また笑い。


「私もアメリカンドック買ったよ」

あめも得意げだ!!



そしてーー


「カードゲームやろうぜ!」


神谷が言う。


「待ってました!」


凪がカバンからUNOを取り出す。


「絶対誰か持ってくるよね」


「私を敬えよ!!」

と凪が言う


「一口食べていいよ」とあめはアメリカンドッグを凪の口元に差し出した。



カードを配る音ーー


「最初俺な!」


「それないわ」


「ジャンケンだろ普通!」


わいわいと騒ぎながら、ゲームが始まる。



「はい、ドロー2」


「はぁ!?ちょっと待って!」


「遠足に容赦はないからな」


「厳しすぎる!」


笑い声が重なる。


カードが行き交う。


視線がぶつかる。


テンポがどんどん速くなる。



その中でーー


あめがほんの一瞬だけ手を止めた。


「あれ?なおきくん?今カード勝手に束から出てきたよ?!」


「え?マジック?!」


「…そんなのに気を取られてるから…はい、リバース」


「うわ、またなおきかよ!」


神谷が頭を抱える。


「読み合いだからね」


なおきが笑う。



バスは、山の方へと進んでいく。


窓の外は、もう緑ばかりだった。


空気も、少しだけ澄んで見える。



「なんかさ」


あめが、ぽつりと言う。


「こういう時間、好きかもー」


「わかる」


凪がすぐに返す。


「ずっとこうならいいのにって思うよな!」


神谷が笑う。


「神谷が微笑んでる…」すかさず凪が言う


なおきも、少しだけ目を細めた。

「微笑む神谷…」


「凪、なおき、あめ、時には俺も微笑むぞ」


「あはは!!」


「私なにも言ってないのにー」


「連帯責任な!!」


なんかワイワイして、でも穏やかな時間のテンポが似てて、気を使わない会話ができる友達が即席だったとはいえできた!


この時間が、もうすでに特別だった。



そして。


「着いたぞー!」


先生の声と同時に、

バスの速度がゆっくり落ちていく。


窓の外には、

深い緑が広がっていた。


大きな木々。


山の空気。


木漏れ日。


遠くで鳥の鳴き声まで聞こえる。


「うわ、めっちゃ山じゃん!」


神谷が窓に張りつく。


「空気違くない?」


凪が小さく目を丸くした。


バスが駐車場へ入っていく。


その先にはーー


巨大なフィールドアスレチック。


丸太。


ロープ。


吊り橋。


ネット遊具。


山の地形そのものを使ったコースが、

森の奥まで続いていた。


「やばっ!!」


「テンション上がる!!」


「絶対筋肉痛なるやつだこれ!」


クラス中が一気に騒がしくなる。


なおきも窓の外を見ながら、

少しだけ目を細めた。


「……思ったより本格的だね」


「なおき君、絶対こういうの好きでしょ」


あめが言う。


「いや、普通だよ?」


「その普通、信用できないんだけど」


笑いが起きる。


そしてーー


バスのドアが開いた。


一気に流れ込んでくる、山の澄んだ空気。


「よし、降りるぞー!」


その声と同時に、

みんなが一斉に立ち上がった。


非日常が、いよいよ始まる!!




バス移動って、なんであんなに特別感があるんでしょうね。


普段と同じメンバーなのに、座席と景色が変わるだけで、

空気まで変わる感じ。


そしてサービスエリア。


あれはもう、理性を失う場所だと思っています。


なおき君の買い方、たぶん共感してくれる人いるはず…!


ってか、ミニエルとエルの分も入ってますけどねw


今回から少しずつ、遠足の「楽しい」だけじゃない空気や、ほんの少しの違和感も混ぜ始めています。


青春のわいわい感と、三章らしい不思議感を、一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです!


よければ感想やブックマークなど、応援いただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ