ただの班決めのはずだった…
新学期。
クラス替えをして、まだ少しだけ距離感のある教室。
そんな中で行われる、オリエンテーションの班決めという高校イベント。
でも案外、こういう何気ない時間から、人との距離って変わっていくのかもしれません。
今回は、あめ・凪・神谷・なおきの四人が、少しずつ友達になっていく始まりの話です。
始業式から数日ほどが経った
ひと通り授業ごとに発生するミッションの定番、自己紹介もひと段落して、教室には少しだけ眠たくなるような空気が流れていた。
「はーい、オリエンテーションの班、決めてくださーい」
担任のその一言で、教室が一気にざわつく。
「あめ!」
凪が声をかけた。
あめが振り返る。
「一緒の班でいいよね?」
「うん、よろしく!」
即答。
誰とでも仲良く話せるあめだが、凪には特に心を許せるし何より楽なのだ
「あと2人かぁー」
あめは机に肘をつく。
「どうする?」
そのとき、
「やべ、俺どうしようかな…」
少し離れたところから声がした。
サッカー部の神谷って子だった。
腕を組みながら、きょろきょろしている。
「去年クラス一緒だった奴らもう固まってるし…」
あめと凪は察した!
「ねえ、神谷」
凪が神谷に声をかける。
「ん?」
「よかったらさ、うちの班来ない?」
「え、マジ?」
一瞬で食いつく。
「いいの?」
「いいよ、いいよ」
「助かるわ〜」
神谷はそのまま、こっちに歩いてくる。
それを見た凪が、くすっと笑った。
「あ、あめ!神谷さぁ、私と同じ中学だったんだよ」
「サッカー部で、めっちゃ陽キャで通ってた!うるさいけど」
「うるさいはないだろ!」
即ツッコミ。
あめ達の空気が、少しだけ和らぐ。
「いや、普通にうるさかったから」
「盛り上げてただけだろ!」
「同じこと」
「違うわ!」
凪と神谷に、
あめは思わず笑ってしまう。
(こういう人なんだな)
「じゃああと1人だね」
凪が言う。
あめは周りを見渡す。
そのとき目に入ったのはー
少し離れた席。
頬杖をついて、
どこかどうでもよさそうな顔をしている男子。
(東雲直希くん)
周りの盛り上がりとは、少し違う温度。
でも、
(なんかこの雰囲気、気になるんだよなぁ)
あめは立ち上がる。
「ねえ、東雲くん」
なおきが顔を上げる。
「もしよかったらさぁ」
「え、僕?」
ぱっと表情が変わる。
「いいの?!」
食いつき早い。
「…うん、いいよ?」
「あはは、やった、ありがとう!」
ちょっと嬉しそうに笑うなおき。
さっきまでの雰囲気とのギャップに、あめは少し驚く。
(なにこの人、ちょっと面白い)
「じゃあ決まりな!」
神谷が勝手にまとめる。
「あめ、凪、俺、なおき」
「バランスよくね?」
「何がバランス?」
「なんとなく!」
「ってか、私以外初めて喋って全員呼び捨てとは!神谷恐るべしだわ」
「急接近ってやつ!?」
「雑!」
「でも、なんかそれでいい気がする!」
なおきが、少し笑いながら言った。
「こういう勢いの班って、案外楽しかったりするし」
「それ言えてる!」
「よろしくー」
「よろしく!」
「よろしくね」
軽い空気の中で、班が決まる。
そのとき。
窓の外で風が吹いた。
もうほとんど散り終わった桜の花びらが、ふわっと舞い上がった
ただの班決め。
ただの遠足。
でも、このメンバーが思っていたよりずっと騒がしくて、思っていたよりずっと楽しくて、
少しだけ特別な友達になる事をこのときはまだ、誰も知らなかった。
ここから、この四人の空気感が少しずつ出来上がっていきます。
最初はただの即席班。でも、一緒に笑ったり、出かけたり、
何気ない時間を重ねるうちに、きっと特別な関係になっていくんだろうなと思っています。
神谷の距離感の速さ、凪のツッコミ、あめの人を見る柔らかさ、そしてなおきのちょっと不思議な空気。
書いていて、すごく青春してるなぁと思いました。
次回はいよいよオリエンテーション!
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明日も20時10分に投稿します!!




