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置いていかれた過去より今‥エル、指を鳴らす!

いつも読んでいただきありがとうございます。


今回は少しだけ、エルの“時間”に触れる回です。

1700年という長さは、数字で見ると途方もないけれど、

その中身はきっと、置いていかれた記憶の積み重ねなのかもしれません。


なおきは、まだそれを全部は知らない。

でも知らないなりに、向き合おうとする。


そんな回になっています。


どうか最後まで見守っていただけたら嬉しいです。

「わぁ……! きれい……!」


焼きたてのパンケーキが運ばれ、甘い香りが広がる。

エルはきらきらした目でフォークを握った。


――が。


「なんで膝の上に乗ってるの?」


いつの間にか、なおきの膝の上にちょこんと座っている。


「だってここ、私の席だもん。天才的なお席だよ?」


悪びれない笑顔。


「僕は1700歳のおばあちゃんの子どもを授かったのか?」


冗談のつもりだった。


でも。


「……おばあちゃん?」


フォークが、かつん、と皿に当たる。


「見た目は子どもで、中身はおばあちゃんで……なおきとじゃ……変、かな?」


小さく、笑おうとする。


でも目は笑っていない。


なおきは、そこでやっと気づく。


――ああ、これ冗談で触れていい話じゃなかった。


エルは長い時間を生きてきた。


自分よりずっと、ずっと。


「軽率だった。ごめん」


しゃがんで目を合わせる。


誤魔化すことができない



「僕、エルの時間を知らないのに、勝手に軽く言った」


エルの瞳が揺れる。


「……長く生きるって、置いていかれる側になるってことなんだよ」


ぽつり。


「慣れてる、んだけどね‥」


その言葉が、胸に刺さる。



なおきは少しだけ考えて、素直に言う。


「僕だって正直、怖くないって言ったら嘘になるよ」


エルが顔を上げる。


「でもさ」


少しだけ照れくさそうに笑う。


「人間と堕天使が家族になるって、ちょっと面白くない?」


「親子かも、兄弟かも……夫婦かも」


「呼び方はその時考えればいい」


エルの目が丸くなる。


「離れる時が来るかもしれない。でも」


「そのときエルが“悪くなかったな”って思える今を、たくさん作りたい」


静寂。


ぽろり、と涙が落ちる。


「……そんな未来、あっていいの?」


「あるよ」


即答ではない。


一拍置いてから、強く。


「ある」


「先の後悔で今を諦めるのはもったいない」


「僕も努力する」


「思い出す場所、いっぱい作ろう?!」


エルは裾をぎゅっと握る。


「私といても……後悔しない?」


「するわけない」


少しだけ困ったように笑う。


「むしろ、いない方が後悔すると思う」


エルが息を呑む。


「堕天使だもん」


少しむくれる。


でも声は柔らかい。


「でも……元は天使、か」


小さく笑う。


「じゃあ、私がなおきを幸せにしなきゃだ。元天使の最初のお仕事」


「もう十分幸せだけど」


なおきは少し身を乗り出す。


「もう少し欲張ってもいい?」


エルは照れながら目を伏せる。



「天界では欲は抑えるものだった。でも……誰かが欲しいって言ってくれるの、嫌いじゃない」


「家族なんだから、遠慮いらないよ」


距離が自然と縮まる。


エルはぴったりくっつく。


「それより恥ずかしくないの?」


「家族なのに?」


きょとん。


「くっついてないと落ち着かないもん」


少し意地悪く見上げる。


「本当はお姉さんなんでしょ? 1700歳」


青い瞳がいたずらっぽく光る。


「いいこと、してあげるよ?」


ぱちん、と指を鳴らす。


淡い光が包む。


ーー光が消えた瞬間、


僕は息を忘れた…


そこに立っていたのは


少女ではなく、“お姉さん”姿のエルだった



この回は「家族って何だろう」というテーマを、

少し真面目に書いてみました。


血のつながりでも、種族でも、時間の長さでもなく、

“今を一緒に選ぶこと”が家族なのかもしれない。


エルの“お姉さん姿”は、

強がりでもあり、覚悟でもあり、少しのいたずら心でもあります。


次話では、その変化がどう影響していくのか――。


よければ感想やブックマーク、していただけると嬉しいです!


今ならなんと第一号になれますよww誰もファン居ないので‥


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