第33話 幼馴染みの憂鬱
王都レドニア。ヒト族の王が治める国。人口の8割をヒト族で占め、特に魔族は一切いない。いるとしても、罪人としてが殆どだ。
その王都の大通りを、シャーロットは歩いている。シャーロットはこの街を歩くたびに、複雑な心境になる。
「シャーロットさん、こんにちは」
「こんにちは。今日も元気ですね」
顔なじみの店主に挨拶を返す。どこにでも、一人はいる、優しいおばさん。そんな印象を受けている。
(ここに住んでいる皆んなは、凄く良い人なのに、なんで貴族は……)
シャーロットはため息を吐きながら、目的地を目指す。賑わいが大きくなり、見えてきたのは、王城だった。白く清潔感溢れた外壁に、金でできた王国の紋章。立派、本当にそれ以外の言葉が出てこない。
「シャーロット・ライトです」
「…はい。お待ちしておりました。王の間へお進みください」
守衛に身分証を見せ、城の中へ進む。城内も、外観とは違った意味で立派だった。赤を基調としたデザインで、ドアや花瓶を飾る台は艶やかな木を使用している。シンプルだが、それ故に全てが高級品だと分かる。
「…だからパーティーを組ませるべきだと言ったのです!! 勇者が脅威となっては遅いのです!!」
何やら、王の間から大声が聞こえる。シャーロットには聞き慣れた、いや、聞きたくない声だった。
「勇者が魔王を討伐した直後。その瞬間に殺してしまえば、この国は––」
「失礼します」
「…シャーロット。すまんな、客人が来た。下がれ、フォートン」
「……承知しました」
そう言ってフォートンはドアに向かって歩く。その際にシャーロットを睨んでくるが、シャーロットは見向きもしない。フォートンが出て行くと、王がため息をつく。
「すまんなぁ、シャーロット。ワシはシンを信じておるのだが、大臣達がなぁ」
優しい声音で話すのは、レドニア王国第27代目国王、フルガスト・レドニア。ヒト族の王だ。
「いえ、それは知っていますよ。それで、お話とは?」
シャーロットは早速本題を切り出した。呼ばれた理由。即ち、王からの命令だ。
「そうだな。シンの事だが、レネルとフウマに捜索を任せただろ? それでは足りん。もっと増やすべきだと思うのだ」
「それは、確保を目的とするということですか?」
「……ああ、そうじゃ。お主には辛かろうが、シンは魔族、それも魔王の娘を庇っておる。…頼んだぞ」
「…はい。承知しました」
シャーロットは王の間から出ると、唇を噛む。
(なんで、頼ってくれないのよ……バカ)
シャーロットは、魔導騎士団の本部へ向かった。




