表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/40

第29話 追跡者




 広い大地。そうとしか表現できないそんな場所に、シンとハルはいた。次の目的地は、特に決めておらず、近くの街に向かっていた。


「日差しが、強くなってきたな。水飲まなくて大丈夫か?」


「さっき飲んだから大丈夫だよ」


 ハルはローブを掴み、パタパタとあおいでいる。熱気がローブの中から出て行き、空気が循環する。


「そうか。あ、見えたぞ」


 シンがそう言うと、目の前に小さく、街の様なモノが見えた。立派な門は黄土色をしており、門には何かの紋章が見える。


「ふぅ、やっとだね。疲れたよ」


 ハルが一息吐きながら、シンのローブに掴まる。

 シンとハルが歩き出し、暫くすると目の前から冒険者だろうか、二人の男女が現れた。

 男は剣を腰に携え、女は杖を手に持っている。シンには、彼らの着る服に見覚えがあった。


「…ハル。絶対にフードをとるなよ。」


 シンに言われて、ハルは頷く。理由は聞かない。それ程の信頼関係が二人には備わっていた。


「……ご苦労様です」


 シンはすれ違い様に言い、頭を下げた。前から歩いて来た二人組は、王属魔導騎士団の団員なのだろう。その制服を着ている。

 身分の上に該当する彼らには、お辞儀をするのが、王都での一般常識だった。


「ご苦労様です。暑いので、気をつけて下さいね?」


 女性が笑いかけて言う。男性の方は何か、疑う様な表情を浮かべている。


(魔導騎士。勇者と魔王の娘を追っているだろう組織。そうでなくとも、なるべく接触は避けたい。顔は見えてない。大丈夫の筈だ)


「それでは失礼します」


 シンは少し口調を変えて、ハルと共に歩き出す。するとその時、


「フード外すっす。お二人さん」


 男性が声をかけて来る。日差しが大地を照らし、陽炎が見える。


「……なぜ、ですか?」


「俺たちは人を追ってるっす。特徴は、ヒト族の男と魔族の娘。こんな暑い日に、ローブは無理があるっすよ、ツノを隠す為とはいえ」


(頭が切れるな、コイツ)


 シンは後方の街を確認する。今立つ所からの距離は、ざっと1キロメートルぐらい。全力で走れば秒もかからない。そう考えていると、男は続ける。


「“神速の勇者”知ってますよね。俺は、憧れてるんっすよ。そして速さだけなら、」


 男は全身に魔力を纏う。


「並んだ––」


 魔導騎士の男が動く直前。シンはハルを抱え、後方へと一歩飛ぶ。

 悟られるが仕方ない。そもそも、シンの顔は割れているが、ハルの顔はまだ割れていないのだ。今シンがやるべき事は、


(ハルを全力で守る。以上)


「やっぱり。フウマ、援護は要らない。返って足手まといになる。シンさんを引き剥がすから、魔族の娘を捕まえろ!!」


「分かりました! レネル先輩、スクラフトで落ち合いましょう」


 そう言ってフウマと呼ばれた女性は、シンの後方にある街を指差す。

 シンはローブを脱ぎ、剣を抜いた。


「ハル、走って街の中に入るんだ。数分なら二人まとめて時間を稼げる。その後は、俺が教えたように、落ち着いて行動しろ」


「うん!!」


 「行け!!」シンがそう叫ぶと、ハルは街に向かって走り出す。フウマも後を追おうとするが、シンが剣で牽制する。シンの目は、ハルをしっかりと捉え、期待していた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ