表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/40

第26話 会話




 ハルは、森を滑るようにして走る、一人の男を見つけた。シンの言っていた、シュラウデンと言う男だろうと、ハルは確信する。


「待って!!」


 ハルが大きな声で呼び止めると、前から走ってきていた男が止まる。顔には呆れたような表情を浮かべ、ハルを睨んでいる。


「シュラウデンですか?」


「はぁ、またかよ。そうだよ、シュラウデン。追放されたシュラウデンだよ」


 やけになった様子で、シュラウデンは、ローブのフードをとり払う。短い金髪が長い耳をより一層目立たせている。目は蒼く、エルフだと理解できる。


「追放された貴方が、何故森の中にいるのですか?」


 ハルは里を出る直前のことを思い出す。

 シンから魔獣の群れが、人為的であると伝えられ、驚くと共に、妙に納得できた。その後、シンはシュラウデンを捕まえると言い、ハルに保険として、里への近道に、いてもらったのだ。


(結果としては、良かったのかな?)


 ハルは弓を構え、シュラウデンを見やる。表情は面倒くさそうに歪んでおり、舌打ちが聞こえてくる。


「復讐だよ。俺を追放した里と、里の長のエンデルに向けた復讐だよ!!」


 そう言うとシュラウデンは、地面に手を掠めながら走り出す。シュラウデンの触れた地面から、突如として牙の生えた植物が現れる。


「なっ、」


 ハルは驚きながらも、弓で正確にシュラウデンを捉える。植物の間から覗くと、シュラウデンは里へ向かっている。どうやら里へ直接この植物をばら撒く気なのだろう。


「止まって!! 射るよ!!」


 ハルが叫んでも、シュラウデンは止まらない。それどころか、走るスピードを上げてくる。


「っ! はぁ、」


 ハルは矢を放つ。口を開けた植物の隙間から、矢がシュラウデンの太ももを貫通する。次いで矢を放つ。今度はシュラウデンの動かした右手を貫き、地面に押しつけた。


「あ、がっ、クソ!!」


 悪態をつくシュラウデンとは裏腹に、植物たちが枯れ始める。音を立てて崩れた植物を踏まないように、ハルはシュラウデンに近づく。


「お前に何が分かる!? さっきの奴もそうだ!! “クビ無し”を仕掛けなければ俺を殺していた!! 俺には、壊さないといけないんだ!!」


 ハルは必死なシュラウデンの表情に、どこか父の面影を感じた。何故かは分からない。それでも、感じてしまったのだ。


「……じゃあ、話そうよ。その為に、言葉はあるんだもん」


「お前、なんなんだよ。こんな事され––」


「なら、死ぬだけだよ?」


 シュラウデンは悟った。今、自分の命を握っているのは、目の前に立ち、自分を見下ろしているこの紅い瞳をした少女なのだと。

 シュラウデンはその紅に吸い込まれそうになる。


「あれは、つい最近なんだ––」


 シュラウデンは、ハルを見つめて、自分の過去を話し始めた


 




















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ