第18話 森の守り人
「木が、凄い」
「いや、どうした? 語彙が、完全に死んでるけど」
「凄いじゃん! この森!」
ハルが頬を膨らませて怒る。怖さよりも可愛さの目立つソレは、不思議と笑みが浮かんでくる。
「ハル、ここにはエルフが住むような森なんだ。木々の一本一本が何十年、何百年と生きてる」
シンはそう言いながら、目の前の木に触れる。すると魔力が可視化され、虹が浮かび上がる。
「うわぁ、綺麗…!」
「だろ? 前にエルフの友達に教えてもらったんだ」
シンは木から手を離し、先に行こうとする。その時に笛が鳴る。甲高いようで、下に響くその笛の音は、エルフ特有の笛だった。それも、緊急を知らせるものだ。
「何かあったみたいだ」
「シン、行こうよ!」
ハルが真っ直ぐとシンの目を見る。
「ああ、こっちから聞こえたな。走るぞ」
そう言い、ハルと一緒に走り出す。この数日。シンはハルに訓練をつけていた。体力づくりや遠くからの狙撃を目的とした、弓術。その他諸々を教えていた。
ハルは元々魔族なので、種族としての身体能力で、たった数日でも十分に体力がつき、走れるようになった。そのため、すぐに笛の鳴った場所へ辿り着くことが出来た。
「これは、魔獣の大群?」
「ああ、ただ普通の群れよりたちが悪いな」
「え?」
「基本魔獣は同種族と暮らす。こんなに種類がぐちゃぐちゃになることなんて自然界ではまず無い。つまり」
「人為的…」
「そういうことだ。ハルは、狙撃でエルフ達の援護を頼む。俺は前線に上がる」
そう言うとシンは地面を蹴り、巨木を登って行く。ハルはその光景を見て、シンに重力が無いんだと納得する。
シンは巨木を駆け上がると、今度は枝を伝い、前方に素早く進んで行く。下でエルフと魔獣の大群が戦っているのが見える。やはり種族がバラバラで、ゴブリンにオーク、ブルーハウンドと呼ばれる犬型の魔獣。そしてオークの頭となる、
「オーガもいるのか、しかも二体。厄介だな」
シンはエルフのいる前線に辿り着くと、そのまま、前方に進み、エルフのいなくなった前線の先に向かう。
「【一刀 千・雷光斬】」
バチバチッと、雷の属性魔法をベースにした複合魔法が、魔装を発動させたシンを包み込み、次々とシンの持つ剣に集まる。
片手で剣を持ち、身体を捻る。そして回転する要領で斬撃を放った。
放たれた斬撃は千の刃に変わり、木々に当たることなく、全て魔獣につきささり、切断した。結果シンが地面に着地する頃には、数百はいた魔獣の群れが死滅しており、残りは前線の魔獣だけになる。
「よし、早く戻ろう」
シンが魔装を発動させたまま、走り出そうとした時、巨大な丸太が頭上をかすめる。見てから回避したシンは、食らったら致命的だと悟り、攻撃を回避したのか、二体のオーガを見据えた。
「首を吹っ飛ばしてやるよ。お兄さん」




