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第19話 鬼殺し




 巨木が邪魔で、スピードが活かせない。木を蹴り、オーガの攻撃を避けて考える。

 シンの攻撃はどれも、自身の速度に、魔装で強化した武器の威力をのせて、最大限の威力が発揮する。今では精々、十分の一も威力が出ていないだろう。そして、


「回復持ち、魔法を使えるオーガって珍し過ぎるだろ」


 一体ずつ、正確に斬撃を与えていたシンだったが、あと少しのところで、回復されてしまう。魔力切れを狙うのは非現実的なので、完全に殺しきるには、二体まとめて倒さないといけない。


(さて、どうしたものか)


 シンは笑みを浮かべる。その背後には黒いオーラを放ち、オーガを威嚇する。これは魔法ではなく、シンが生死をかけた戦いの中で編み出した、相手の戦意を絶つ方法だった。

 黒い怪物が、オーガを飲み込もうと、口を大きく開ける。もちろん、実際には存在してない、ただ、シンを目の前にすると突如として、ソレは襲いかかる。


「ウオオオォオッ!!!!」


 オーガの放つ咆哮が、木々を木霊して、至る所から聞こえて来る。その咆哮は自分自身にもダメージを与えており、二体のオーガの耳から血が垂れていた。


「なるほどね。聴覚を潰して、五感を減らすことにより、俺の威嚇を和らげたと」


 耳から手を離し、シンは一人呟く。


「頭良すぎだろ、こいつら。黒幕がいるのかい?」


 シンは、剣を持っていない左手を地面につけ、身を屈める。その姿はどこか野性味があり、獣のようだった。


「そんならまずは、一体。確実に殺す」


 そう言うと、ドゴンッという轟音と共に、シンが消える。それと同時に、シンと一直線上にいたオーガの喉に、ポッカリと風穴が開く。

 オーガが悲鳴を上げて、喉元を両手で押さえる。ドロッとした血液が、指と指の隙間から音を立てて吹き出す。もう一体が回復魔法を使うが遅かったのか、顔から地面に倒れる。


「二体同時にが無理なら、一体ずつ、確実に仕留めてやるよ」


 バチバチバチ、雷を纏ったシンが、雷鳴を轟かせる。シンがした事は単純な事だった。一直線なら最高速が出せる。その速度で斬りつけた。ただそれだけだった。


「グウゥゥ!!」


 残ったオーガが警戒して動き回る。シンは先程と同じように、轟音を響かせ、一直線に突き進む。


「……まぁ、流石に避けるよな」


 木に甚大なダメージを与えた剣を、軽く抜き取り、もう一度同じように構える。オーガは察したのか、ニヤケづらを晒し、動き回る。

 そう、シンには現在、この戦法でなければ回復持ちのオーガに、致命的な一撃を与えられない。


「……」


 ドンッ、先程までよりも鋭い音が、空気を揺らす。オーガは避けるが、一直線上にあった木々が薙ぎ倒される。

 もう一度轟音。そしてもう一度。


「グアアァア!!!」


 オーガが武器を振り上げる。確かに、一直線上に飛ぶだけなら、数回見てしまえば慣れて来る。


「読めた! とでも言ってんのか? 残念だけど、俺を飛ばし続けさせた時点で、お前は負けてるんだよ」


 ドンッと、オーガが武器を振り下げた瞬間。轟音がし、シンの姿が消える。一瞬の閃光。そして、またもや轟音。


 空気が揺れ、空気を伝って地面も揺れる。それほどに大きな音がし、オーガのいた場所に、クレーターができる。砂煙の立ち込める中、シンはその中心で、オーガの首に座っていた。


「はぁ、木を倒して足場にするのは、ちょっと心が痛かったな。すみませんでした」


 シンはそう言うと立ち上がり、今頃、エルフ側の勝利で終わったであろう前線にハルを迎えに行った。

 握っていた剣は、光を超える速度に耐えきれず粉々になる。


「出費が、凄い」


 シンには、まだまだ余裕があった。






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