優奈のフェンリル
ここが異世界とわかった。
それで納得している自分が怖いが、優奈の言うことだからと納得しているところがあるのだろう。
「それで優奈は何で俺を呼んだんだ?」
俺の問いに優奈は少しだけ考える。考えるときに唇を触る仕草は2年経った今も継続中のようだ。
「それは、まだ言わないでおくよ。ゴメン」
「いや、いいよ。言えるようになったら言ってくれ」
今のは悪い癖が出たな。
俺は優奈に謝られるとそれ以上何かできなくなる。これは普段なら困らないが、こう言う時は困りもんだな。
「それともう一つ、後ろにいるデカイのは何だ?」
「あ〜この子はねフェンリルのリルちゃんだよ」
優奈がそう言うとリルは『ウォン』と一回だけ吠えた。
歓迎と受け取っていいのだろうか?
「よし、そろそろ行こうか!」
優奈はそう言って立ち上がった。
俺もそれにつられて立ち上がる。
「どこにいくんだ?」
「うんとね、じゃあまず教会に行こうか」
優奈はリルの背中に乗った。
「悠一も乗って!」
「ん」
フェンリルの背中はもふもふで暖かくて乗り心地は最高だった。
「一緒にどこかに行くなんて久しぶりだね!」
「そうだな。まさかフェンリルの背中に乗ってとは思っても見なかったけどな」
「それは違いない」
俺と優奈はお互いの顔を見て笑いあった。
こんな時間がこれからは毎日続いて行くと思ったら笑いを堪えられなくなった。
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