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第31幕 ファンキー侍☆ちょんまげ乱舞


「ひとぉ~つ、人の情けも知らぬ守銭奴しゅせんどたちにぃ・・・」

荷物の搬送用と思わしき滑車に乗って、お面をかぶった着物姿の女がスポットライトに照らし出された。

「ふたぁ~つ、憤怒の鉄拳くらわせようと」

「みい~っつ、みだらな考えもよぎるけど、そこは許して。カッコ笑い。そんな悪党共を斬って捨てちゃう☆ホトトギス!」


コスプレ着物姿の女が被っているお面をみて、スケさんが興奮気味につぶやく。

「あっ、スモモ姫侍だ!」

「なんじゃ、それは?」

「勧善懲悪の時代劇アニメだよ。子供向けアニメでプリンのお気に入りなんだ」

興奮気味に語るスケさんをみて、いやスケさんのお気に入りなんじゃないのか?とチョビンは思ったが敢えてそこは触れずにおいた。

「で、それは面白いのか?」

「決め台詞のホトトギスが最高なんだよ!ホーホケキョ」

「イヤそれは、ウグイスじゃ・・・。子供向けでウソはいかんじゃろう」

「えっ、そうなの!?」

「ホトトギスの鳴き声はテッペンカケタカじゃし」

「えっ、そうなんだ!?」

スケさんはあきらかに動揺して、ショックを隠しきれないでいる。

しかしそんなスケさんの気持ちを置き去りにして、スモモ姫侍のお面の女は華麗なポーズを決めて話を進める。


「アンタたちの汚いことをして稼いだお金は、まとめてこの私が頂いたわ!そこで自分たちの罪を後悔するがいい!」

「というかその声は、あなた怪盗ピンキー・ブラッドのペニーですね!?警備員出てきなさい!」

「ペニー?誰よそれ、知らないわ!それにムダよ、警備員には眠ってもらったから」

「な、何ですと!あっ、本当ではありませんか。それに皆さんからお預かりしている参加費までもなくなっているっ!?くぅっ、忌々しい!」

まるで台本を棒読みしているかのように、安っぽいセリフが飛び交う。そしてそんなメナードと自称スモモ姫侍の掛け合いを聞いていた観客たちからシラケたムードが漂い始めた。

「なあ・・・、何なんだこの三文芝居みたいな漫才は?」

「もしかして・・・、イヤまさかとは思うけどこんな子供だましみたいな茶番で、皆から集めた10万ゴールドを盗むつもりじゃないよね?これだけの人数分だから相当な金額だと思うけど」

「もしかして、盗んだのはペニーだから自分は関係ない。自分も被害者だから金は返さないって理屈なんじゃないですか?」

「絶対あの二人、裏で繋がってるダス」


「誰かあの悪党を掴まえてください!」

「フフン、無駄よ!もうこんな所に用はないからオサラバだし」

心からの叫びを演出するメナードだが、ペニー・・・いやスモモ姫侍はすでにトンズラをかます準備に入っていた。

「それじゃアデュー☆」

しかしそう言いながらも、彼女は立ち止まったまま動かない。

「ん?アレ?アデュー・・・」

何かがおかしい。頂くものも頂いたので、さっさと立ち去りたいのに体が言うことを聞かない。まるで足に根が生えたかのように足裏が床にくっついているので、視線を足元にスライドさせてみて自分に何が起こっているのかを理解した。

「なんじゃこりゃ~!」

よく見たらスモモ姫侍の腰から下が石化している。そしてその背後から近づいてくる人影があった。


「ふっふっふ、年貢の納め時なのです!観念するがいいのです」

「あっ、あんなところにプリンだ!」

スケさんが消えていたご主人の姿に気付いて叫ぶ。


「そんなバカな!?あんたは確かに眠っていたハズ」

「チッチッチ、甘いのです。アタチは眠りに落ちたフリをして、密かにアンチスリープの呪文を唱えてタヌキ寝入りを続けたまま隙を窺っていたのです。そしたら見事に隙だらけのケツがプルンと目の前にあったので、さっきパンナコッタ・ワールドで掴まえてた石化トカゲを張り付けてやったのです!」

「あ、あの時の!まだ持ってたのか」

スケさんが感心しきりと言った様子でつぶやく。

そしてそう言いながらプリンがスモモ姫侍のお面を引っぺがすと、その下からペニーの素顔が現れた。青ざめたその表情に、同じようにもう一人脂汗を浮かべる人物がいる。そうメナードである。

メナードはプリンが取り返したお金を凝視しながらすり寄ってきた。

「よ、よくぞやってくれました」

「ダマらっしゃいなのです!」

「ひっ・・・」

「このお金はアタチがペニーから奪った、つまりアタチのものなのです。このお金を奪われたのはペニーとそっちの問題だから、アタチは関与しないのです」

ともすれば他の客たちからブーイングが起こってもおかしくない状況であったが、同じような理屈でメナードに苦しめられた者が少なくなかったのであろう、客席からは歓声が巻き起こり場内は完全にプリンの味方だった。


「わ、私もあなた方と同じ被害者ですよ!」

「ちょ、ちょっとメナード!助けて!」

被害者を演じるメナードと、それを打ち消すペニーの言葉が同時に重なる。

そして場内からはブーイングが巨大なうねりとなって響く。

「金返せ!金返せ!」

今にも暴動が起きてもおかしくない緊迫感にメナードは根負けして、とうとう金庫から金を取り出して全員に預かり金を返却することで混乱を収めたのだった。


他の客が去って静寂に包まれるオークション会場。

「どうにか、そのお金を返して頂くわけにはいきませんか?」

半分石化したペニーとメナードを取り囲むプリンたち一行を前にして、メナードは絞り出すような声で懇願する。とんでもない悪党ではあるが、ここまで憔悴した姿をみると可哀そうにも思えてくるから不思議だ。それが作戦なのであろうことは十分理解しているが、そういう意味でもペニーよりも一枚上手の役者ということか。

「ならば取引しましょう」

「取引でございますか?」

ヨンズの提案にメナードの瞳の奥がキラリと光る。やはりこの男は懲りてない。

「あなたは灰色の貴公子についての情報を知っていると言ったそうですね?その情報と引き換えにお金を返すというのはいかがでしょう」

メナードは考えを巡らせているような素振りを見せているが、本当のことは分からない。悩んでいるフリで条件を自分にとって有利に運ぼうとしているのかもしれないし、はたまた噓でこの場を切り抜けようとしているのかもしれないからだ。どちらにしても油断がならない事は確かであろう。

「わかりま・・・」

「その必要はないでしょう」

思案の末にメナードがわかりましたと答えかけた時、別の人物によってその言葉は遮られる。


「あなたは・・・」

突如現れたその人物にスケさんは見覚えがあるのだった。





鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス


信長、秀吉、家康の性格?を表す句として有名なホトトギスですが

よく考えたら鳴き声を知らないなあと思い、ユーチューブで調べて聞いてみたら

田舎にあるウチの近所でも鳴いてました

というか、昨日も鳴いてるの聞きました(笑)


いやー知らんかった。勉強になりました。

って、どうでもいいですね(笑)

そんな今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか


ではまた次回です



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