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第27幕 ドレスコードは適切に

「その金、俺が何とかしてやらんでもないぞ。ただし一つ条件があるが」

「えっ!?」


黒勇者の申し出に固まる一同。だがなにやらイヤな裏があるように思えてならなかった。

しかしここで人の話を聞かないプリンの本領が存分に発揮されることとなる。


「てか、おっちゃんは誰なのです!」

「この人は黒勇者のヌンペッチィ・・・。ゔんっ、いやヌンペッチさんです」

ヨンズは一応、まだ黒勇者を気遣って期待に沿うよう配慮していた。

「そう俺の名はヌンペッチ。間違ってもヌンペッチィとは呼ばないことだ!」

「わかったなのです。ペッチのオッサン」

「・・・いや確かにヌンペッチィと呼ぶなとは言ったが、ペッチじゃまるでポチみたいで、それはそれでちょっとどうかと思うぞ」

ピクピクと引きつった表情の黒勇者の心の声を代弁するとすれば、大は小を兼ねないが小さくすればいいというものでもなく、ソコは何と言うかさじ加減とでもいうの?もうちょっと頑張ってみてもいいんじゃない?ちょっとばかりヌンを足せばいいだけじゃん?といったところであったが、いつものようにというか、ご存知のようにそんな気持ちはさらりとスルーされるのだった。


「じゃあ、ぺっちのオッサンが払ってくれるので、チョビンのじいちゃんは支払い属性を卒業なのですよ」

「おお!ワシはもう金を出さんでいいのか!?」

「イヤ俺の名前はヌンペッチ・・・。そして払ってやるのには条件が・・・」

「そうと決まれば、こうしちゃいられないのです!早くいかないと妖精さんが売られてしまうのです!」

「いやちょっと待って、条件が!」

「ぺっち、何をグズグズしているのです!」

「・・・はい」

こうなると後はもう、いつものお決まり"なし崩し"である。

だが新しい財布を手に入れたプリンが意気揚々とオークション会場へ向かおうとするのをアカハナが引き留める。


「おいおい、お前たちその格好で行くつもりか?」

「この格好じゃなければ、どの格好なのです」

「ここのオークション会場には、カジノの客以外にオークションだけのために上流階級の人間も集まるんじゃ。無名のお前たちがそんな恰好で参加したら、ナメられて値が吊り上げられてしまうぞい」

「そんなものなのですか?」

「オークションっちゅうのは、このライバルはこの程度しか金を出さんだろうとか、あの相手をあまり困らせたら後々厄介だからこの辺で手を引こうとか、駆け引きの連続じゃからな。まあ中には金持ちがゲーム感覚で場をかき乱して楽しむようなロクでもないのもおるが」

「ほう、なるほど」

他のメンバーはたいして気にしてない様子だったが、ヨンズだけが真剣に聞いている。

「人は見かけによらないとか、人を見かけで判断するなとか言うが、見かけで得られる情報っちゅうのは、正直なところ言われるほど少なくはない。それに相手を自分よりも上と見るか下と見るかは、判断材料がなければ見かけで推測するしかないんじゃから」

「周囲から下と見られたら、深いところまで追い込まれるという事か」

「そういうことじゃ。それに場に適した服装っちゅうんもあるしな」

「そりゃナメられちゃ大変なのです!こうなりゃ、いっちょ服を新調するしかないのです」


―その後―

オークションの会場に向かう前にプリンたちは服を買い替える。

プリンは可愛い赤と黒を基調としたワンピースのドレスでスケさんにも首に赤いリボン。

ヨンズは若草色のジャケット姿とオシャレなお兄さん風スタイル。

グリンは白シャツにグレーの半パンをサスペンダーで吊り上げ赤い蝶ネクタイ姿が、坊ちゃんですかと言いたくなるほど似合わないが、本人はどうやらご満悦の様子なのでそっとしておこう。

そしてもっとも華麗な変身をみせたのがチョビンだった。白のタキシードにカツラも装着して伊達メガネを付けることで、どこぞの老紳士かと言わんがばかりの変貌ぶりだった。

(後どうでもいいが、アカハナも便乗で黒いスーツを仕立てていた)


「お支払いは、いかがいたしましょう?」

「・・・キャッシュで」

店員の問いかけに、ヌンペッチが消え入りそうな声で答えていたのは言うまでもない。



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