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第22幕 受付嬢


「こっちで間違いないのかい?」

オークション会場へと向かって走るプリンに追走しながら、スケさんはとなりの小さな魔女に尋ねる。


「大丈夫、アタチの記憶力を侮ってもらっては困るのです」

「ふーん」

記憶力に自信がある割には行動が抜けてるよねと、スケさんは思ったがそれは心に留めておくことにした。だがしかしそんなスケさんの思いとは裏腹に、オークション会場の建物はやがて無事プリンたちの眼前に見えてくるのだった。その高級感漂う佇まいは、ちょっと敷居が高くも感じられ、一般人には中に入ることをためらわせるに十分なオーラを放っている。

「さあさあ、遠慮せずに中に入るのです」

「逆にキミはもう少し、遠慮を覚えた方がいいんじゃない?」

「そんなに褒められると照れるのです」

「イヤ、誰も褒めてないから」


そんな軽口をたたきながらエントランスより建物の中へと進んで行くと、すぐにキレイな受付嬢らしき女性が声をかけてきた。

「こんにちは、本日はどういった御用件でしょうか?」

「御用も何も、アタチは仲間を探しに来たのです!」

剣幕でそう語るプリンに対し、受付嬢は困ったなという表情で答える。

「いえ、流石にお友達はオークションでもお求めにはなれません。仲間が欲しい冒険者が集うという、どこぞの酒場でもないですし。そもそも失礼ですが、お友達をお金で求めるというのは感心いたしませんよ。そんな事ではロクな大人になれないと思います」

「違うのです!友達が欲しくて来たのではないのです。すでに友達がここにいるのです!」

子供相手と思ってナメられていると感じたプリンはムキになって反論したが、どうやら相手はそれでも同じ目線での会話に応じようとしていない。

とここで、プリンの暴走にスケさんがストップをかけた。

「いやいや、待ってよプリン。話がおかしい方向に進んでいるよ!まだミス・セプテンバーがここにいるとは限らないんだから」

「ここまでの話の流れでいないハズがないのです!」

「だから一体どういう理屈なのさ!?あー、もうキミが話すとややこしくなるから、ボクと変わって。お姉さん、今日オークションにかけられる品の中に妖精が含まれているのを知ったんだけど、それはボクたちの友達かもしれないんだよ。でもオークションにかけられる前に品物を見ることができるシステムになってると聞いて、ここまで飛んできたんだけど」

「そうでしたか、それは失礼いたしました。確かにそのようなシステムにはなっておりますが、下見準備の打ち切り時刻まであとわずかになっておりますが・・・」

「そんなに時間は取らせないよ、本人確認するだけだから」

「そうですか。でしたら、こちらへどうぞ」


見るからにやる気のないというかテンションの低い受付嬢の手引きで、エントランスから奥の部屋に向かう。その態度はまるでイヤな客に付きまとわれて、したくもない残業にふてくされているOLのようでもあったが、そんなことは気にしていられない。もしも妖精がミス・セプテンバーである可能性を考えたら、一刻の猶予もないからだ。


しかしスケさんの交渉で何とかここまで漕ぎつけることができたが、なぜ期待というのは大抵いつも裏切られるのに、悪い予感に限ってはいつも当たってしまうのだろう。

部屋にまだ入りきってもいないのに、その妖精が怒鳴り声をあげて出迎えた。

「ちょっと、アンタたち一体何してるのよ!」

残念なことに、その声はまごうことなきミス・セプテンバーのものだった。

彼女は植物のツルで編まれた籠に入れられて、勇者の爪のアカの隣りに並べられていた。

「早くここから出しなさい!」

「いったい誰にやられたですか?」

「いやだから!アイツよアイツ、ピンキー・ブラッドのペニーよ!」

「マダムの言ってた三人のひとりだね」

スケさんの言葉にプリンはウンウンとうなずく。

「いやだから、何を悠長なことをしてんのよ!逃げられちゃうでしょ」

「何を悠長だなんて、ボクらはまだペニーの顔も知らないのに。言っても怪盗ってくらいだから、捕まえるのは簡単じゃないよ。そのペニーは一体どんな人物だったの?」

「だから、何を馬鹿なこと言ってんのさ!アンタたちが一緒についてきた、あのオンナがペニーよ!」

「えっ?」

一緒についてきたオンナと言われても、受付嬢以外は誰もいなかったはずだが・・・。

プリンとスケさんがとっさに振り返るが、つい今しがたまで後ろにいた受付嬢の姿が見当たらない。全てを理解したスケさんが、してやられたという表情を浮かべて悔しがる。


「グズグズしてるから、もう逃げられちゃったじゃない!あ~もう、どうせ奪われるんだったら、美少年に心を奪って欲しかったわ!」

「キミのそういう所だけは、絶対にブレないよね。そういう意味じゃ、ホントに感心するよ」

「あのオンナを取り逃がしてバツが悪いからって、褒めてんじゃないわよ!」

「いや厳密には、褒めてないんだけどね」


「そんなことより、早くペニーを捕まえて妖精さんを助け出すのです」

「そうそう、早くしてよね!」

「ちょっと待って、ハナシはそんなに単純じゃないかもしれないよ」

スケさんは困ったなと言いながら、言葉を濁すのだった。



砂山の入り口と出口から別々にトンネルを掘り進めていたら、途中で穴がつながらないことに気付いたので、軌道修正をかけようとしたらバラまかれた伏線が岩のように邪魔をしている。

今まさにそんな状態です。

やりがいがある!(噓)

う~ん、どうしよう(笑)

ドキドキの展開に乞うご期待!

それじゃまた次回


°Note


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