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素粒子と遺伝子

時任教授と高嶋教授の関係が気になるところだが、そもそも時任教授はなぜ全く研究の分野が異なる高嶋教授と関わるようになったのか、少しずつ紐解かれていく。この後のこの二人の関係が見放せない。

 『このお酒、キティって言ったかしら、凄くスッキリしていて美味しいわね。』と鮮やかなピンク色のお酒を店内のライトに透かしながらその綺麗な色を楽しむように眺めながら言った。

『ところで、稲葉くんは遅れてる様だけど忙しいのかな?』と時任教授は何処か落ち着かない様子で高嶋教授に尋ねた。

『あっ、そういえばお伝えするのを忘れてましたが稲葉先生ですが、ゼミの学生の実験がちょっと手間取っているらしくて今日は夜遅くなるようで、私達二人で進めていてくれってメールが入ってました。』と申し訳なさそうに伝えた。

『そうなんですね、それは残念です。なんかこうして二人でこんなお洒落なバーでいると勘違いされないかちょっと心配ですが、、、。』と言いながらキティのグラスを傾けた。

『大丈夫ですよ先生、ここは会員制なので今日は私達だけしかお客さんはいませんから。それはそうと、前回のときに聞きそびれてしまったのですが、時任先生が遺伝子工学の話にご興味をお持ちになられたのには何か経緯があるのですか。』と急に真面目な表情になり少し覗き込むようにして時任教授に尋ねた。

『遺伝子工学自体は以前から個人的に興味を持ってはいたのですが、最近ニュートリノという素粒子を捕らえる実験装置を試行錯誤で製作していたときに、偶然的に大変興味深いもの出来たのですよ。』と言いながら時任教授はスマホを操作し始めて画像を探し始めた。『これなんですが、、、。』と見つけ出した画像を高嶋教授に見せた。

『はぁ、ちょっと私には良くわからないのですが、、、。』と時任教授のスマホを覗き込みながら言った。高嶋が見た画像は回路図の様なものを写真に撮ったものだった。

『あっ、そうですよね。実はこの装置自体はニュートリノを検知できるものではないのですが、素粒子とはまたちょっと違うものが捕らえられる装置が出来てしまったのですよ。その装置のセンサー部分の回路図の様なものがこれなのですが、この部分を特に見て欲しいのですが、、、。』と言ってその図の一部を拡大して高嶋教授に再び見せると。

『う〜ん、それでもまだ良くわからないのですが、、、でも、この部分が何処か短い遺伝子の様にも見えますよね。』と目を細め、眉間に皺を寄せながら高嶋が答えるとすかさず時任教授が

『そうなんですよ、遺伝子の螺旋構造に似てますよね。二次元で描かれたこの図だとピンと来ないのですが三次元的に表現すると正に遺伝子のような螺旋構造に似ているのです。』といつも冷静な時任教授には珍しく少し興奮気味に話す。すると少しずつ状況が掴めてきた高嶋教授が尋ねた。

『その捕らえている何かとは何なのですか?』

『実は現状はまだ何なのかはわかっていないんですよ。最初は何か電磁波が共振しいるのかと思って周波数スペクトルと言って電磁波の周波数を検知する装置や電波暗室を使って確認したのですが電磁波ではない様なんです。それ以外でとなると磁場、電場、超音波など考えられる物は全てチェックしたのですがどれも該当しない様なんです。』と納得が行っていないような表情で高嶋教授に説明した。

『それで行き詰まった感があったので、藁でもすがる気持ちで形状の似た遺伝子についてちょっと勉強をしてみようと思って稲葉くんに高嶋先生を紹介していただいたのですよ。』と申し訳なさそうに高嶋教授に話した。

『そうだったのですね、凄く興味深いお話ですが、遺伝子工学については素粒子以上にまだ分かっていない部分が多いのでこの時任先生のお話に進展があれば、逆に遺伝子工学や生命の謎に関する解明が進む可能性も秘めてますよね。』とウェルカムどりんくのキティのグラスを開け、モスコミュールをマスターに注文した。

『あっ、時任先生何か食べませんか? ここのスモークサーモンのマリネと明太子のパスタお勧めですよ。』とテーブルにあるメニューを手に取り広げて時任教授に見せるように置いた。

『そうですね、そのスモークサーモンのマリネを頂きましょうか?あと、このロメインレタスのサラダもお願いいたします。』とメニューの他の料理をチェックしながら高嶋教授にお願いした。それを受けて高嶋教授が

『マスター、ロメインレタスのサラダとスモークサーモンのマリネと、あと私明太子のスパゲッティーも食べたいのでお願いします。』とマスターに向けて軽く手を上げながら伝えた。

『時任先生次の飲み物は何か頼みますか?』というと時任教授は直接マスターに

『シュバルツビールを下さい。』と伝えた。

『時任先生、お洒落なビールを選びますね。良く飲まれるのですか?』と興味深そうに尋ねると

『ははは、普段は日本のプレミアムモルツなんですが、去年のドイツで行われた学会に出席したときに店員に勧められて飲んだのがこのシュバルツビールでそれが凄く美味しかった印象があったのですよ。それで、たまたまメニューに有るのを見つけたから飲んでみたかっただけですよ。』とにこやかな表情で話した。『そうなんですか、シュバルツビールって独特の苦味があるじゃないですか?だから私はちょっと苦手なのですが、時任先生は食通なんですね。』と少し意外なことを発見したと言うような表情で言うと、

『いえいえ、人間歳を取ると苦いもに食の好みが変わってくるって言うじゃないですか?正にそれだと思いますよ。』とにこやかな表情からさらに皺を増やし答えた。

『はい、モスコミュールとシュバルツビールそしてスモークサーモンのマリネです。サラダも今お持ちしますね。パスタはこれから作りますので少々お時間ください。』とマスターが手際良く注文したビールと料理をカウンター越しに並べた。

『それで、話を先程の話に戻すのですが、時任先生はその捕らえた物って何か考察されているのですか?』と運ばれてきたモスコミュールに口をつけた。

『そうですね、いくつか仮説があるのですがこれと言った決め手がないんですよね。』と言ってシュバルツビールを一口のみ、染み入るように口に広がる苦味を味わった。

素粒子と遺伝子の関係もそうだが、それ以上に時任教授と高嶋教授の関係が気になるところ。この後どのように話が展開されていくのか乞うご期待。

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