訝しげな関係
前回からだいぶ時間が空いてしまいましたが、再び描き始めます。
ここから話は新たな展開を迎えます。
完全に酔い潰れてしまった翔子の腕を自分の肩に回して支えるようによろめきながらも店を後にしてすぐ、自力で歩けない翔子の重さに耐えきれず地面の上に崩れるように座り込んでしまった。
『翔子ちゃん、大丈夫? って言っても大丈夫じゃないようね、、、。あぁ〜どうしよう、、、。』
翔子と大地は店を出て直ぐの地べたに体育座りをするように並んで座っている、翔子は顔を膝に埋めて完全に酔い潰れてしまっている。大地はそんな翔子の様子を伺いながらも周りを見回しタクシーを探していた。
『駅まで行けばタクシーが捕まえられるとおもうんだけど、、、。二人じゃ歩くの難しいし、一人残して行くわけにもいかないしなぁ。』と考えていると、斜向かいの路地を入った先にHOTELの文字が目に入った。『ラブホテルかぁ、、、いや、だめだ。』頭を振りながら思い浮かんだイメージを振り払った瞬間、そのホテルの中へ入っていく見慣れた顔の二人を見かけた。
『あれ? いまの高嶋教授だったんじゃないか?もう一人は高嶋の教授の影になってたからよく見えなかったけど、、、。でも、時任教授に似ていたような、、、、。えっ、やっぱりそう言う関係だったったってこと?』といいながら、再び翔子の腕を自分の肩に回し彼女を支えながらホテルの方へ歩き出した。翔子もその動きに連れて一瞬気を取り戻し大地に凭れ掛かりながらも誘導されるがままに歩き出した。
『翔子、ごめん分かる? このままじゃ動けないからしばらくあそこで休憩しよう。』と話しかけるが翔子も理解しているのかはっきりしない様子ではあるもののコクリと頷いた。二人はそのまま薄暗い入口を入ると無人の受付らしき所まで進んだ。
『入ると決めたはいいが、ラブホテルなんて初めて入るから勝手がわからないなぁ、、、。ここから部屋を選べってことか? 本当に休むだけだから一番安くて無難な部屋にするか。一先ず休憩で、、、。』と少々戸惑いながらも無人の受付でチェックインを済ませ部屋に入った。『なんだ、もっと派手な部屋を想像したけど、意外と地味なんだなぁ。あ、でも風呂場がガラス張りで丸見えじゃねぇか。これを見るとやっぱりラブホってかんじだなぁ。』と頭の中で呟きながら何とか翔子をベットの上に寝かせほっと一息をついた。『それにしてもさっきのは本当に高嶋教授と時任教授だったのかなぁ。なんか興味本位で追いかけてしまったけど、落ち着いて考えてみると一体俺は何をしたかったんだ? 』と少し気を取り直してベットの横の椅子に座ると仰向けに寝ていた翔子が悩まし気な声を出しながら大地に背を向けるように寝返った。すると黒い膝上のスカートがはだけ、健康的な肉付きの白い太腿があらわになり、黒い下着までも見える状態になった。その様子を見た第一は思わず生唾を飲み込みしばらくフリーズしたように動かなくなった。いや、動かなかったと言うよりはその瞬間に頭の中を駆け回った葛藤に支配され動けなかったと言う表現の方が適切だった。
『うわぁ、マジか。とういか間近。なんて冗談言ってる場合じゃない。普段は特別気にしてはいなかったけど、これほど自制心が試される状況なんていままで経験したことがなかったからなぁ。』と心の中で呟きながら翔子に布団を掛けるが、ずっと見ていたい、触ってみたい、という不純な気持ちと戦っていた。
さて、そんな二人がこの様な状況に陥ってしまう2時間前のラブホテルから程近い会員制のバーに場面を移す。
『とても素敵なバーをご存知なんですね、まさか登坂駅の近くにこんなお洒落なバーがあるなんて全然想像できませんでしたよ。良く使われるのですか?』と時任教授が高嶋教授に問いかけた。時任教授は遺伝子工学に興味があり、旧友の稲葉教授に仲介をお願いして高嶋教授との対談を取り付けたのだった。今回の対談は実は2回目で前回は稲葉教授も含めて明光大学の稲葉教授の研究室にて行われていたのだが、今回は高嶋教授からの要望で雰囲気を変え彼女が良く使うこの会員制のバーにて行うこととなったのだった。
『すごく素敵ですよね、去年の冬に友達と来た時に直ぐに気に入ってその場で会員にならせていただいたんです。本当は毎日でも来たいのですがなかなか都合も付かず、月に1、2回ってところですかね。ほら、マスターも素敵な方でしょ?』と言ってマスターの方へと視線を移すと40代半ばのマスターはカウンターの中でグラスを拭きながら、軽く会釈をした。こじんまりとしたバーには5席のカウンター席のみで店内はウォールナット調の重厚な色彩で落ち着いた雰囲気を醸し出す。マスターの背後の棚には多くの洋酒の瓶が並んでいた。
『そうなんですね、私も研究室が近くだったら会員にさせていただきたかったですね。』と店内を見廻しているとマスターが『時任教授でしたら名誉会員になっていただいていつでも来て頂いても大丈夫ですよ。もちろん会費は要りません。』と二人の為にウェルカムドリンクの用意をしながら言った。
『そうですか、それは嬉しいですね。では御言葉に甘えさせていただこうかな。でも本当に良いのですか?』と心配そうに聞き返すとすぐ様、『もちろん大丈夫ですよ。こちらもノーベル賞を受賞された方が来て頂けるだけで光栄です。』と言ってウェルカムドリンクの鮮やかな赤いカクテルを二人の前に並べた。
『ほぉ、これは綺麗な色ですね、ほのかに生姜の様な香りがしますがなんと言う飲み物でしょうか?』と小ぶりのグラスに注がれたカクテルを顔の高さ程に持ち上げてマスターに尋ねると『これはキティーと言って時任教授が仰った通り、赤ワインをジンジャーエールで割ったカクテルになります。ちなみにこのジンジャーエールは当店オリジナルのものでして、市販のものより生姜が強めになっていて赤ワインの渋さを緩和してよりサッパリした飲口になるようにしております。』と少々得意げな表情を浮かべてマスターが説明した。
『前置きはこれぐらいにして、早く乾杯しましょう。』と高嶋教授が急かす様にグラスをかざし、二人は乾杯と軽くグラスを当て合った。
こと後、大地と翔子はどうなるのか?また時任教授と高嶋教授は本当にそういう関係だったのか、次回作に期待。




