思いがけない展開
大地の親友である翔の彼女への思いが少しずつこぼれ出す。
今回の話でまた新たな展開を予感させる、今回はSFとはあまり関係ないですが、
このキッカケが今後のストーリーに大きな意味をだしてくる。
6限の授業が終わり、一人で歩く大地の前にはほとんど建物に隠れてしまった太陽が翔の前で空を赤く染めていた。すると、大地の後ろから聴こえてくる駆け足の足音が段々と大きくなって来たので振り返ると翔子が走って大地の所へ走って来る姿が見えた。
大地と目があった翔子は嬉しそうに大きく手を振って大地に駆け寄った。
『めずらしのね、大地君が一人で帰るなんて。私も今日は一人なんだ。』と呼吸を整えるように大地の横に並んで歩きながら大地と話し出した。
『大地くん、今日このあと予定は?』と横から大地の顔を覗き込むように聞いてきた。
『今日はただ帰るだけだけど、、、、。何かあるの?』となぜそんなことを尋ねられたのか飲み込めずに戸惑ったように聞き返した。
『ねぇ、ちょっと何処かで飲まない?』と今までお酒を飲んでいるのを見たことがない翔子からそんな言葉が出てきてびっくりしたような顔で大地が尋ねる。
『飲むって、翔子ちゃんお酒飲めないでしょ?なんかあったの?』
『べ、別にないもないけど、、、。ちょっと飲んでみようかなぁって思っただけだよ。』と翔子は良い言い訳が見つからなかったからなのか、大地から目をそらして空を見上げるように言った。
『ほら、やっぱり何かあったんじゃない? まぁ、どっちでもいいけど。いいよ何処に行く?そうだ、今日翔が居酒屋でバイトしているからそこでも行こうか?』
『えっ。翔のところ? う、うん。今日は別のところ行かない?』と何処か慌てた感じで翔子が答えるので大地が何かを察した。
『わかった、翔子ちゃん翔と喧嘩でもしなんじゃない?』と今度は大地が翔子の顔を覗き込むように聞くと翔子はあえて顔をそらすように言う。
『えっ、別にそんなことないよ。今日はちょっと大地くんと二人きりになりたい気分なだけなの。だめ?』と相変わらず目を合わせないようにしながら話す。大地は本心ではないと感じつつも翔子に言われたことが心に引っかかったのかちょっとドキッとした感情を翔子に察せられないように翔子の顔を伺ったが、翔子はしばらく徐々に赤から青紫に変わりつつ西の空を眺めていて気づく様子は全くなかった。
『そういえば、同じクラスの向井美月って子がバーテンダーのバイトしているお店が隣の駅の登坂駅にあるんだけも、そこにでも言ってみる?あ、でも今日彼女がバイトしているかは分からないけどね。』と言うと、翔子は何か感じるものがあったのか大地の方を何処か茶化すような顔つきで
『おっ、いいねぇそこ行こ。』と言って少し足早になった。
各駅停車しか止まらない生明駅ではひょんな成り行きで翔子と二人きりになってしまった大地は、翔子にたいして意識しすぎてぎこちない会話だったが、2本の通過を見送って20分程して来た各駅停車に乗りこんだ頃には少しづつ会話が弾むようになり登坂駅にあるバーに向かった。駅の正面から続いているメイン通りを歩いて2分ほどのところにあるバーに入った二人はカウンターが埋まっていたので丁度空いていた二人席に座った。すると、カウンターの中でショートカットで化粧映えする小柄な女性がシェイカーを振っているのを見つけた大地は手を振って合図をすると、その女性は手を止めずに笑顔で返事をして作っていたドリンクの仕上げをしていた。
『え、あの子?向井さんっだっけ?すごく可愛いし綺麗な子だね。うちの大学にあんな綺麗の子がいたんだぁ。へぇ〜大地も隅におけないねぇ。』とニヤついて大地の顔を覗き込むと、言い訳をするように否定していると美月が大地たちのテーブルに来て挨拶をした。
『いらっしゃい。大地くん久しぶりだね来てくれたの、初めて来てくれてから全然来てくれないから一生来てくれないのかとおもっちゃったよ。』と冗談めいたあとにそっと大地の耳元に顔をよせて
『可愛い子だね。大地くんも隅に置けないね。』と小さい声で言うと大地は慌てて。
『違うって、友達だよ、友達。彼女、翔子って言うんだけど、、、ほら同じクラスに翔っているだろ、あいつの彼女だよ。』と言うとそれに被せるように。
『そうなんです、今日はちょっと相談に乗ってもらおうと思って無理言って付き合ってもらっただけだから、安心してくださいね。』というとすかさず大地が。
『いやいやいや、安心してくださいって言うのも変だから、俺と美月も友達だから、、、。そうそう、おれハイネケンもらえる、それで翔子は、、、。』と話題を替えようと飲み物の注文を始めると翔子は
『あっ、私お酒あんまり飲んだことないんですけど、今日はちょっと挑戦してみようとおもってて、そんな私に合ったカクテルってなにかおすすめ有りますか?』と言うと。
『そうですねぇ。アプリコットフィズっていうのがそれほど強くなくて甘くて飲みやすいかも、私の好きなカクテルの一つでもあるんですよ。』と言うと。
『そうしたら、私それを一つ下さい。』
『じゃぁそれと、あとおつまみで、あのポテチとかポッキーとかのやつ、、、。』
『あぁ、スナック盛り合わせね。かしこまりました、少々お待ちくださいね。』と美月は慣れた手つきでオーダーを書き込むと笑顔で一礼ををしてカウンターの中へと戻って行った。
『翔子ちゃん、今まで全く飲んだことないんだよねぇ。大丈夫かなぁ、まぁ様子見ながらゆっくり飲めば大丈夫かなぁ。』心配そうに大地が言うと。
『アプリコットフィズだって、なんか美味しそうだね。ふーん、バーテンダーの女の子ってなんかかっこいいよねぇ。大地くんってああ言う子がタイプなんだぁ。』
『だからぁ〜。あぁなんかもうめんどくさくなって来たからもういいや。』とお店の選択を間違えたと思う大地であった。
翔子は一体大地に何を相談したいのか、はたして今後の展開は?




