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魔王、勇者と聖女(男)から溺愛される~部下からも言い寄られて困ってます!?~  作者: 朱音小夏


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第60話

「エリオス、セラフィン。帰る前に行かねばならぬ場所がある。」

「行かねばいけない場所?」

「......"闇の教会"だ」

「しかしどうやって......」

「魔石に宿るゼノンの魂が導いてくれるだろう」


 そう言うと、私の言葉に応えるように一筋の光が道を示し始めた。

 ――これをたどると"闇の教会"にたどり着く。

 私達は歩を進めた。


 ***


「ここに闇の教会が......まさか王都の大聖堂にあるとは......。私も気配すら感じられませんでした」

「......どうやら地下にあるようだ」

「一体どうするつもりだい?」

「ゼノンの魂はもう私の手の中だ。いくら信仰しようとも無駄だと言おう」


 ――果たしてそんな簡単に行くか。

 とりあえず私達は大聖堂の地下へと向かって行った。


 地下へ続く階段を下りていくと、目の前には木製の扉があった。

 私達は目を見合わせると、思いっきり扉を開いた。


「動くな!! 大人しく手を頭の後ろで組んめ!!」

「な、なんじゃお前ら......その気配、ゼノン様?!」

「貴様らの信仰するゼノンは、我が手の中だ。」


 すると大柄の男が私目掛け襲おうとする。

 が、この場で一番の長老が声を張り上げた。


「グルー!! よせ!!」

「!! 長老!! けどよう......」

「......貴方様は創世神、レヴァイア様ですな?」

「......あぁ。だがもうその名は捨てた」


 長老は私の手の中にある魔石を見ると、「ゼノン様......」と小さく呟いた。

 そして、私の手を握ると、「ありがとう......ありがとう......」といいながら涙を流した。


「......ゼノン様は最期に愛する人に会えたのですな」

「?! ......知っているのか?」

「えぇ。あなた方が愛し合っていたのはゼノン様の日記に残っておりました」

「......日記?」


 私は思わず顔をひきつらせた。

 ......ゼノンめ。恥ずかしいものを残しおって......

 まぁ、それは置いておこう。


「我々が要求するのは闇の教会の解散だ。信仰するゼノンが亡き今、ここの存在は無用であろう?」

「......しかし、貴方の手にはゼノン様の魂が入った魔石があるではありませんか。」

「......これは私の物だ。渡すわけにはいかん」

「何故です?! それさえあれば私達は信仰し続けられる!!」

「この魔石は私がエリオスに貰った大事なものだ!! 渡してなるものか!!」


 ――一瞬静寂に包まれた。

 セラフィンはクスクスと笑っている。


「あ、いや!! 違う!! このゼノンを守るのは中立の審判である私の役目でだな!!」

「レビオラ様、もう遅いですよ。貴方様、完全に惚気ています。それに見てください。あれがかつて貴方様を倒そうとした勇者その人です」

「レビオラ~!! 僕があげた物だから大事にしててくれたの?! 嬉しいなぁ!!」


 私達がそんなやり取りをしていると、ゼノンの信仰者たちはそそくさと逃げようとしていた。

 しかし、私はそれを見逃すわけがなく――。


「シャドウ!!」

「ぐあっ!!」


 騒ぎを聞きつけた憲兵達へ信仰者達を引き渡した。

 ――どうやらこの地下の存在は闇の教会信者しか知らなかったようだ。


「これで不穏分子は排除、だな」

「えぇ。それでは城に帰りましょうか」

「ま、待ってレヴィ......レビオラ!! そんなにそれ大事にしてくれてたの?!」

「うるさい!! 知らん!!」

「レビオラ~!!」


 セラフィンは「私は当て馬でしたね」と黒い笑みを浮かべ、「まぁ、奪えるのなら奪いますが」と物騒なことを呟いていたことを私達は知らなかった。


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