第56話
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「レヴィ!!」
「レヴィ様!!」
「......うるさい害虫どもだな。まったくレヴァイア様もどうしてこんな奴らをお傍に置いたのか......」
ゼノンは「シャドウ」と唱えると、エリオスとセラフィンを拘束した。
そして、崩れ落ちたレヴィの身体を抱き上げると、うっとりとした表情で見つめた。
「あぁ。久しぶりに触れることが出来た。そのお顔を間近で見ることが出来た。......何という幸せでしょうか......」
ゼノンはそのまま玉座の間を後にする。
後ろでエリオスとセラフィンが叫んでいるがお構いなしだ。
「さぁ、これで二人きりになれますね」
ゆっくりと玉座の間の扉が閉じられていった。
***
なんだろう。
温かく、柔らかい何かに包まれている。
......これは布団か?
私は目を開けると、見慣れない天井が目に入った。
......そうだ。私はゼノンによって眠らされたのだった。
そして見たあの夢。
遠い昔のレヴァイアとゼノンの記憶。
「私達は、愛し合っていた......?」
「えぇ。そうですよ? そしてこれからも、ね」
「......ゼノン」
「寝心地はいかがですか? 貴方のためにあつらえた最上級のものです」
「......寝心地はいいが、目覚めは最悪だ」
私は正直な感想を述べると、ゼノンは驚いた顔をして私を見つめた。
何をそんなに驚くことがあろうか。
「レヴァイア様......」
「触るな!!」
私はゼノンを拒絶した。
するとゼノンは私の上に馬乗りになった。
そして私の両手を頭上で拘束し、顔を近づけてきた。
首筋にチクリとした痛みが走る。
私はキッっと睨みを向けた。
「何故私を拒絶するのです? 言ったではありませんか。記憶をなくそうとも私を愛すると。あの約束は嘘だったのですか?」
「......お前は、わざと人間と魔族を争うように仕向けたのだろう? ......そこまでして何故私を欲する?」
ゼノンは私から手を離すと、「クックック」と小さく笑いながら上体を起こす。
......その目には狂気が滲み出ていた。
「何故? 何故ですって? 貴方が皆の"創世神"だったからですよ!! 私は、私だけのものにしたかったっていうのに!!」
「......そんな事の為だけに?」
「......"そんな事"? ですって?! 貴方は! 私だけに愛されていればよかったのです!!」
ゼノンは再び私に触れようとした。
しかし、私は二度も同じ過ちを繰り返すほど愚かではない。
「――青炎!!」
「!! ぐっ!! なんだ、この力は!!」
「......これが創世神の力だ」
私はベッドから身を起こす。
青白い炎が、私の体を包み込んでいく。
かつて世界を創り、生命を生み出した力。
そして――。
今の私自身を守るための力。
「私を誰かの所有物にするために、創世神は存在するのではない」
「レヴァイア......様......」
「私はもう、お前に従わない」
ゼノンの力が弱まった。
――逃げるなら、今しかない。
私は思い切りゼノンに蹴りを入れる。
「ぐっ!!」
ゼノンの身体が吹き飛ぶ。
その隙に私はベッドから飛び降り、駆け出して行った。
「待て!! レヴァイア!!」
「嫌だ!! 断る!!」
私は振り返ることなく走る。
――いち早くエリオス達の元へ行くために。




