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魔王、勇者と聖女(男)から溺愛される~部下からも言い寄られて困ってます!?~  作者: 朱音小夏


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55/62

第55話

 ***


「レヴァイア様――!!」

「! ゼノン!! 毎日毎日来て......飽きないのですか?」

「あはは。僕が来たくて来ているんです!! それとも......僕じゃあ貴方の期待に沿えませんか?」

「......意地悪です」


 私はそう言うと、ふいっとそっぽを向く。

 ゼノンはそんな私を愛おしそうに眺めている。

 ――あぁ。この男は本当に......


「......愛おしい」

「え? 今なんとおっしゃいましたか?!」

「!! な、何でもありません!!」


 私はゼノンと共にいると感情の制御が効かなくなる。

 ――これが恋、か。

 人間相手になんて感情を抱いてしまったのだろうか。


「......レヴァイア様。前に渡した"ガラスの薔薇"はお持ちですか?」

「!! ......なくすわけないだろう? お前が魔術で創ったものだぞ? それも......初めて、だったんだろう?」

「あれ? バレちゃいました?」

「お前のことだ。何度もやり直したのだろうが......ふふっ。力の入り具合がブレブレだ」


 私がそう言うと、ゼノンは照れ臭そうに顔を赤くした。

 ――もう、この男は......。


「本当に......勘弁してくれ......」

「れ、レヴァイア様? 一体どうしたのですか?」

「お前は、私の感情をどれだけ弄べば気が済むのだ......?」

「弄ぶだなんて!! とんでもありませんよ!! ......むしろあそばれてるのは僕の方......」


 ゼノンは何か言ったが、聞き取ることが出来なかった。




 ***


「まさか。こんなことになるとは......」

「ん? 私は嬉しいですよ? ......愛するあなたと一つになれたのですから」

「~~!!」

「あ、また青炎出てますよ? 分かりやすいなぁ」

「うるさいうるさい!! 私はもう寝る!!」


 そう言って私はゼノンに背を向けた。

 ゼノンはそんな私を愛おしそうに抱きしめてくる。

 ......人の肌のぬくもりが、こんなにも温かいと、私はこの時初めて知った。




 ***


「最近人間と魔族の争いが尽きないような気がする......」

「それは......そうですね」

「私は争わせるために世界を創ったのではない!! それなのに......どうして......」


 私はこの時気がつかなかった。

 ゼノンが私を抱きしめながらほくそ笑んでいることに。




 ***


「もうこの世界はダメだ。私の力でも抑えることが出来ない程に不浄に包まれている」

「......レヴァイア様。命じてください」

「......え?」

「僕が、いえ。"私"が深淵に行き争いの種を封じてみせます」

「!! そんな危険な!! それに深淵に行けば二度と......」


 私はゼノンに会えなくなってしまうことに恐れを抱いた。

 ――それほどまでに、私はゼノンを愛してしまったのだ。

 この争いは、私が一人の人間に熱を入れ込んだから起きたのであろう。


「ゼノン......お前が深淵に行くというなら......私は魔に堕ちよう」

「それは......」

「二度と会えなくても、魂はそばに。......記憶は消えてしまうが、それでもお前のそばにいたい」

「......愛していますレヴァイア様」

「私もだ。ゼノン」


 ――こうして私達は共に闇の中に身を投じた。

 ここまでがゼノンの作戦とは知らずに。


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