第51話
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「ゼノン......そうか。あのガラスの薔薇を私に教えたのは、お前か......」
私は目覚めると、ゼノンを想い涙した。
――レヴァイアを想い、自ら対の深淵で生きていくことを決めた彼を......。
呆然としていると部屋の扉がコンコンと音を立てた。
「レヴィ? 目覚めたかい? ......レヴィ?!」
「あぁ、エリオス......」
「どうして泣いているんだい? ......辛い夢でも見たかい?」
私の髪を優しく撫で始めたエリオスは、私が話し始めるのをゆっくりと待った。
私は今見た夢の話をゆっくりとし始めた。
「レヴァイアには、強く想ってくれている相手がいた。それが"深淵王 ゼノン・アビス"。」
「......思い出したんだね、ゼノンのことを」
「......あぁ。私はなんて大切なことを忘れていたのか......」
あの夢を見てから、走馬灯のようにゼノンとの思い出が流れ込んできた。
――レヴァイアはゼノンと想い合っていたのだ。
そのせいで、ゼノンは自ら深淵に落ちることを選んだ。
「......レヴァイアはゼノンを愛していた。だからこそ......彼を一人にしてしまった」
「うん」
「けれども、人間と魔族が争うようになり、それに耐え切れず無意識に彼を求めた。そして魔の道へ堕ちた」
――レヴァイアが魔の道に堕ちたのは孤独に耐え切れなかったからだけではない。
愛したゼノンの元へ行きたかったのだ。
しかし、魔の道に堕ちた時にはレヴァイアの記憶は消え、私は"魔王 レヴィ・ノクス"として生まれ変わったのだ。
「レヴィ。君はどうしたい?」
「え?」
エリオスの突然の問いに、私は迷っていた。
――どうしたいか、か。
そんなの、答えは一つに決まっている。
「私は......私はゼノンに会いたい!!」
「......そうか。それが君の気持ちか」
「あぁ。......許されることなら、彼の元に......?! エリオス?!」
「......ダメだ。絶対に。君は魔界でなくこの人間界で、陽の光を浴びてこそ......」
エリオスは私をベッドに押し倒すと、ブツブツと呟き始めた。
――ダメだ。このままではエリオスが闇にまみれてしまう。
そう思った私は、そっとエリオスを抱きしめた。
「エリオス。私は人間を愛している。それは魔族にも言えることだ」
「しかし、僕は......僕だけを見てほしい」
「エリオス。私はもう私の為に魔に堕ちる者を見たくない。......それにお前は"勇者"だろう? 人々を光の道に導く存在だ。だから......」
私の言葉を遮り、エリオスは私に口づけてきた。
――酷く苦しい口づけだ。
「レヴィ......どうしたら僕のモノになってくれる? 君を閉じ込めたらいいのかな? この国の辺境に閉じ込めて......」
「エリオス!!」
「!!」
私は青炎をエリオスの胸に当てた。
すると、だんだんとエリオスの力が弱くなってきた。
「レヴィ様!!」
「セラフィンか。......エリオスを頼む」
「一体何が......?」
「......感情が暴走したみたいだ。青炎で制御したが......」
しかし、急すぎる感情の暴走。
――勇者であるエリオスがそう簡単に暴走するはずがない。
そう考えていると、エリオスの首筋に黒い蜘蛛の巣のような模様が浮かんでいるのが目に入った。
――どうやら何者かが一枚かんでいる。
その模様がそれを物語っていた。




