第50話
寝てばかりいたせいか、少し食べただけで腹がいっぱいになってしまった。
......作ってくれたシェフに申し訳がない。
「レヴィ。無理に全部食べなくていいよ? しばらく食べてなかったんだから」
「そうですよ。久々の食事なのですから」
「......にいさま、ルナがのこすとおこるのに」
「ルナは元気だろう? レヴィはずっと眠っていたんだ。分かっておくれ?」
ルナリアはぶすっとしていたが、エリオスが宥めると納得したようであった。
? ルナリアが私に向かって何かを言おうとしている。
何であろう?
「あのね、あのね! レヴィがたべれるようにくだものをたくさん用意してもらってあったの......」
「......果物、ですか。それなら食べられそうです」
せっかくルナリアが用意してくれたのだ。
レディの好意を無駄にするなど、紳士の名が廃る。
すると、とんでもない量の果物が運ばれてきた。
......流石にこんなには食べられないぞ。
「ルナ! こんなに用意して......。食べきれるわけがないだろう」
「だって......レヴィ、ずっとねてたから、おなかすいてるとおもって......」
「ルナリア王女、ありがとうございます。食べれるだけ食べさせてもらいますね」
そう言うと、私はリンゴを一切れ手に取った。
リンゴは魔界と全く一緒だ。
「うん。美味しいです。ありがとうございます。ルナリア王女」
「!! よかったわ!! にいさまとセラフィンもたべてね!!」
私の言葉にルナリアは満足したようだった。
リンゴをもう一切れ取ろうとしたその時だった。
――目の前が真っ暗になり意識が飛ぶ感覚に襲われた。
そしてそのまま床に倒れ込む。
「レヴィ?! どうしたんだい?!」
「待ってくださいエリオス様! 無理に揺さぶらないで!!」
......皆の声が遠くに聞こえる。
あぁ、心配かけてばかりだな。
そのうちに私の身体を青炎が包みこんだ。
「これは、"創世神の青炎"!!」
「だ、大丈夫なのか?!」
「人間には害はありません。しかし......一体なぜ急に......とりあえず、青炎を収めます」
「そんなことが出来るのかい?!」
「......一か八かですが。......――《サンクトゥス・セレニタス》。静まりなさい。創世神の御力よ」
暴走していた青炎がセラフィンによって収められた。
私はセラフィンの力の温かさに包まれながら、意識を手放した。
***
「レヴァイア様!! こ、これを......」
「? コレは?」
「私の魔力で創ったガラスの薔薇です!!」
男が手渡したものは、日に当てると七色の光に輝いてとても綺麗であった。
私はその美しさに心を奪われた。
「ありがとうございます、"ゼノン"。大切にしますね」
「は、はい!! 光栄です!!」
私は笑顔でその薔薇を受け取った。
――しかし。
その瞬間、何故だか胸がざわついた。
ガラスの薔薇を見つめる。
――綺麗だ。
とても綺麗なのに、何故かとても怖い。
――そこで、視界が途切れた。




