第49話
ルナリアの腹の虫が鳴いたということで、私達は食事をすることにした。
......と言うか、私自身も眠ってばかりいて腹が空いていた。
ルナリアよ、言い訳に使ってしまいすまない。
「レヴィ様、今日はお酒は禁止ですからね?」
「む。何故だ? 私の楽しみだというのに」
「......眠ってばかりいたのだから、身体に悪いだろう?」
セラフィンだけでなく、エリオスまでもが、まるで母親のように言い聞かせてくる。
......酒は私の楽しみだというのに。
そんな私の元に注がれたのはワインと変わりのない色をした液体。
「む?これはワインではないのか?」
「これは"ぶどうジュース"だよ。ワインもぶどうからできているからアルコールの入っていないワインと言ってもいいかもね」
「ふむ。人間界には面白いものがあるのだな。? ルナリア王女のそれは?」
「これは"オレンジジュース"よ! あまずっぱくて、おいしいの!」
"オレンジ"。そう言えば、セラフィンと行った聖母の家の子供に貰ったな。
......皮ごと食べて笑われたのはいい思い出だ。
「エリオス。私にもルナリア王女と同じオレンジジュースを」
「え? ワインの代わりにぶどうジュースを用意したんだけれど......」
「ぶどうジュースも美味だが、私もオレンジジュースを飲んでみたい」
私は探求心が強いのだ。
気になる物は試してみなければ気が済まない。
「......では、すまないがレヴィにもオレンジジュースを。」
エリオスがメイドにそう言うと、目新しい橙色の液体がグラスに注がれた。
香りを嗅いでみたが、ぶどうジュースとはまた違った酸味のある香りである。
試しに一口、口に含む。
「......どうだい? 初めてのオレンジジュースの感想は?」
「ん......。以前聖母の家で子供らに貰ったオレンジと同じ味がする」
あの時は皮ごと食べたため、苦みも少しあったが、これは口当たりがいい。
飲み物に気を取られているうちにメインの料理が運ばれてきた。
いつもは私に合わせてくれていたのか、肉料理ばかりだったが、今日は違うようだ。
「? これは魚、か?」
「そうだよ? 何か変だったかい?」
「いや......魔界の魚とはかなり違うので驚いただけだ」
まず、魔界の魚は一皿に一匹乗るようなサイズではない。
それに驚いてしまった。
「......血が滴っていない魚は珍しいな」
「魔界の魚は一体どんなものなの......」
エリオスにツッコまれてしまったが私は何も変わった事を言った覚えはない。
ただ事実を述べたまでだ。
すると、しびれを切らせたルナリアが声を上げた。
「もう! ルナはおなかがすきました!! はやくたべましょう!!」
「すまない、ルナリア王女。あまりに珍しいものばかりで......」
「......まかいのごはんとはちがうかもしれないけど、ルナはあたたかいうちにたべたいわ!!」
――小さなレディを待たせてしまうの良くないな。
私達はルナリアの一声に従い、食事を始めたのであった。




