第40話
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――深い深い闇の中。
ここはどこだ?
何も見えない、聞こえない。
ただただ広まる暗闇を私は漂っていた。
「......これは?」
足元を覗き込むと、そこに映っていたのは私、いや、"私に似た誰か"だった。
長い黒髪であることに変わりはないが、瞳は金色に輝き、白い衣服を纏い、その背には青白い炎を翼のように広げている。
――その頭には魔族の象徴である角は存在しない。
「......誰だ、お前は」
私の問いかけにその人物は微笑みを浮かべた。
『ようやくここまで辿り着いたのですね』
「......!!」
その声は自分のものと全く同じものだった。
......それなのに、胸が強く締め付けられる。
「......お前は、誰だ?」
『私は、貴方自身です』
「......私、だと?」
『正確に言えば――貴方がかつて捨てた名前』
すると空間が歪んだ気がした。
それに伴い頭痛が起きた。
――そして、一つの名が頭に浮かんできた。
「――レヴァイア」
私がそう呟くと、大量の光景が情報として流れ込んできた。
――まだ何も存在していない空間
大地を創り、海をはり、空を広げる。
そして――そこに生命を与えた。
「......これを私が」
『そう。貴方が創り上げた。......しかし』
次の瞬間、過激な映像が流れ込んできた。
人間と魔族が殺し合い、血を流している。
世界は炎に包まれ、何も知らない赤子は泣き続けている。
そして、たくさんの数えきれない命が失われていった。
『貴方は世界を愛しすぎた』
「......全ては私の責任だ。人間と魔族が争うようになったのも」
レヴァイアは首を横に振った。
『貴方は悪くはない。......ただ、種族の違いが、隔たりとなってしまっただけ』
「それでも、私は争いをなくすべきだったんだ。......あまりにも苦しくなって、自ら創世神であることを捨てた。......私は逃げたのだ」
私は過去の、"レヴァイア"である自分を責めた。
「......あの時代、私が逃げずに"神として"対処していれば、今も人間と魔族は争うことはなかったのだ。......全ては私が孤独でいることに耐え切れなかったから」
『ですが、貴方は自らを魔の道に身を投じた。......それは責任を感じてのことだった』
「......許されたかった!! この世界を創ってしまったことを!!」
『まだ間に合います。今からでもこの世界の秩序を守っていきませんか?』
レヴァイアはそういうと私を暗い地面の中へと引きずり込んだ。
――不思議とその空間は苦しくはなかった。
レヴァイアは私を抱きしめると、私の中に吸い込まれていくように消えていった。
『さぁ、これからは神も魔王も関係ない、"一人の命"としてあの世界を見ていこうではありませんか』
「......あぁ、そうだな」
すると、空間は温かい光に包まれた。




