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魔王、勇者と聖女(男)から溺愛される~部下からも言い寄られて困ってます!?~  作者: 朱音小夏


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第40話

 ***


 ――深い深い闇の中。

 ここはどこだ?

 何も見えない、聞こえない。

 ただただ広まる暗闇を私は漂っていた。


「......これは?」


 足元を覗き込むと、そこに映っていたのは私、いや、"私に似た誰か"だった。

 長い黒髪であることに変わりはないが、瞳は金色に輝き、白い衣服を纏い、その背には青白い炎を翼のように広げている。

 ――その頭には魔族の象徴である角は存在しない。


「......誰だ、お前は」


 私の問いかけにその人物は微笑みを浮かべた。


『ようやくここまで辿り着いたのですね』

「......!!」


 その声は自分のものと全く同じものだった。

 ......それなのに、胸が強く締め付けられる。


「......お前は、誰だ?」

『私は、貴方自身です』

「......私、だと?」

『正確に言えば――貴方がかつて捨てた名前』


 すると空間が歪んだ気がした。

 それに伴い頭痛が起きた。

 ――そして、一つの名が頭に浮かんできた。


「――レヴァイア」


 私がそう呟くと、大量の光景が情報として流れ込んできた。

 ――まだ何も存在していない空間

 大地を創り、海をはり、空を広げる。

 そして――そこに生命を与えた。


「......これを私が」

『そう。貴方が創り上げた。......しかし』


 次の瞬間、過激な映像が流れ込んできた。

 人間と魔族が殺し合い、血を流している。

 世界は炎に包まれ、何も知らない赤子は泣き続けている。

 そして、たくさんの数えきれない命が失われていった。


『貴方は世界を愛しすぎた』

「......全ては私の責任だ。人間と魔族が争うようになったのも」


 レヴァイアは首を横に振った。


『貴方は悪くはない。......ただ、種族の違いが、隔たりとなってしまっただけ』

「それでも、私は争いをなくすべきだったんだ。......あまりにも苦しくなって、自ら創世神であることを捨てた。......私は逃げたのだ」


 私は過去の、"レヴァイア"である自分を責めた。


「......あの時代、私が逃げずに"神として"対処していれば、今も人間と魔族は争うことはなかったのだ。......全ては私が孤独でいることに耐え切れなかったから」

『ですが、貴方は自らを魔の道に身を投じた。......それは責任を感じてのことだった』

「......許されたかった!! この世界を創ってしまったことを!!」

『まだ間に合います。今からでもこの世界の秩序を守っていきませんか?』


 レヴァイアはそういうと私を暗い地面の中へと引きずり込んだ。

 ――不思議とその空間は苦しくはなかった。

 レヴァイアは私を抱きしめると、私の中に吸い込まれていくように消えていった。


『さぁ、これからは神も魔王も関係ない、"一人の命"としてあの世界を見ていこうではありませんか』

「......あぁ、そうだな」


 すると、空間は温かい光に包まれた。



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