第39話
コンコン、と扉を叩く音がする。
私はヴァルクに扉を開けさせると、セラフィンが姿を見せた。
「遅くなって申し訳ありません」
「いや。大丈夫だ。それで、一体なんなのだ? "創世神の青い炎"とは?」
セラフィンは持っていた蝋燭を机の上に置く。
そして、ベッドに腰掛けた私の向かい側に椅子を持っていき、腰を掛けた。
「正式名称は"創世神の青炎"。世界を正しい状態に戻す炎です。」
「......世界を正しい状態に?」
「えぇ。邪気や瘴気を祓うのはもちろん、生命そのものを創造することも可能です」
......まさか、そのような大それた力がこの身に宿っていたとは。
――私は初めて自分自身が恐ろしく感じた。
「......レヴィ様?」
「セラフィン......私は一体どうすべきだ? そのような力があっても私には使い方が分からない」
気づけば身体は震え、呼吸が荒くなってくる。
――感情が乱れたからか、またしても"青炎"が揺らめき立った。
「魔王様!!」
「ヴァルク殿、落ち着いてください」
「しかし......!!」
私に近寄ろうとしたヴァルクをセラフィンは制した。
そしてセラフィンは立ち上がると、私を抱きしめた。
......感情が、落ち着いてくる。
温かい力が身体に入ってくるのを感じる。
「落ち着きましたか?」
「あ、あぁ。すまない。......今のは?」
「聖女の"聖なる力"です。これは生命と浄化の力です」
「......青炎とは」
「似て非なる力です」
セラフィンはまたしても難しい事を言ってのけた。
青炎は聖なる力とは異なる力。
「だから言ったではありませんか。貴方様こそが"創世神"であると」
「......私は魔王だぞ?」
「えぇ。でもそれはレヴィ様が自ら望んだこと。......ですが貴方様の中にある記憶はまだ断片的なもの。完全に思い出すことが出来れば......」
「......私は半端な存在だな」
私はそうポツリと呟くと、意識を集中して手のひらに青炎を出現させた。
セラフィンはもちろん、ヴァルクまでもが驚いている。
「れ、レヴィ様?! 一体何を......」
「私は"私自身を創造する"!!」
そう言うと、私は青炎を口から飲み込んだ。
――あぁ。なんて熱い。意識が遠のく。
「レヴィ様?! しっかり!!レヴィ様!!」
「セラフィン?! レヴィの部屋で一体何の騒ぎを......」
「エリオス様!! レヴィ様を聖堂へ!! 早く!!」
「わ、分かった!!」
セラフィン。そう焦るな。
これも記憶を取り戻すために必要なことなのだ。
――さぁ、青炎よ。私の失われし記憶を見せてくれ。
そうして私は深い眠りにつくのであった。
――次目覚めた時には全てを取り戻せていたらと祈りながら。




