第37話
「ローズ様!!」
「聖騎士長!!」
ローゼベルトが膝をついた瞬間、周囲にいた聖騎士達が慌てて近寄ってきた。
そんな中、ローゼベルトは私が折ってしまった聖剣をまじまじとみつめていた。
「まさか......この私の聖剣を折るなんて。流石"魔王"ね。」
「すまない。折るつもりは......」
「いいえ。大丈夫ですわ♡それに私、嬉しいんですのよ?」
ローゼベルトは私に向き合うと、しみじみと語り始めた。
「今まで"聖騎士最強"と謳われていた私が敵わない存在が現れるなんて。思ってもみなくってよ?」
「いや、十分お前は強い。ローズ。いや、ローゼベルト。私はここでお前を称賛させてもらう。自分の強さに誇りを持つといい」
「レヴィちゃん......」
ローゼベルトは私の名を口にすると、バッと両腕を伸ばして構え始めた。
何なのだろうと私が疑問を持っていると、ローゼベルトはまたハチャメチャな事を言い出した。
「レヴィちゃん、もう一度抱きしめてもよろしくて?」
「......何故そうなる」
「だってぇ!!」
ローゼベルトが私めがけて飛びかかろうとした瞬間、エリオスが私を抱き寄せた。
「ローゼベルト。レヴィに抱き着くのは禁止だ」
「あら。殿下ってば独占欲がお強くって♡」
「なんとでも言うがいいさ。......さて、レヴィ」
「? なんだ」
......何故だろう。エリオスのオーラが黒く淀んでいる。
私はそれが何故だか恐ろしく感じてしまった。だが、私は魔王だ。
意地でも怯んだりはしない......!!
「さっきから僕達のこと忘れているようだけれど?」
「......そんなことは、ない」
「今、少し考えたじゃないか」
「......お前は私のなんなんだ?母親か? お目付け役か? 違うであろう??」
私がそう強く出ると、エリオスは少し悲しそうな顔をした。
......やめろ。私はそう言う顔をされるとどうしたらよいのか分からなくなってしまうのだ。
ええい!もうどうにでもなってしまえ!!
「エリオス。お前のことだから私のことを心配してくれたのであろう? だが、私は魔王だ。聖騎士であろうが、人間に負ける事は無い。......勇者でもあるお前が一番よく知っているはずだ。私はお前が私の一番の理解者であると思っているぞ?」
「!! レヴィ......」
よし。これでエリオスの機嫌は戻るはずだ。
一安心一安心。
「レヴィ様」
......そうであった。こちらにはもう一人、小言を言う人間がいたのであった。
「強さ試しをするなとは言いません。しかし、ここは神聖な聖騎士の訓練場。......そこで魔力をこんなに出せたのには驚きですが、あまり強い魔力を使わないでくださいね?」
「......だから、私は少ししか......」
「い・い・で・す・ね?」
「......はい」
もはや一番恐ろしいのは聖女であるセラフィンなのでは? と思う今日この頃なのであった。




