第33話
「ろ、ローズ。いい加減苦しいのだが......」
「あら!私としたことが。魔王ちゃんごめんなさいね?」
「......その"魔王ちゃん"と言うのはやめてくれないか?なんだかむずがゆくなる」
「んー......、それなら"レヴィちゃん"でいいかしら?」
......またしても"ちゃん"付け......。
どうやらそこは譲れないらしい。
「ローゼベルト。君、いい加減レヴィのそばから離れてくれないかい?」
それは私も思っていた所だ。
現に今、私の腕をガッチリとホールドして離そうとはしていない。
......振り解きたくても思った以上に力が強い。
流石は聖騎士長なだけはある。
「嫌ですわ殿下。こんなに愛らしい存在をを手放せだなんて......無理な相談ですわ♡」
「......ローズ。エリオス様の言う通り、レヴィ様を離しなさい」
「......聖女様までぇ。仕方ありませんわ。愛しの聖女様が仰るのなら......」
なんだかとても残念そうなのは気のせいであろうか?
ローゼベルトが私を離したのを見て、エリオスがすかさず私を抱き寄せた。
......何故皆私を抱くのだろうか......?
「......皆して私を抱くのはよしてくれないか?暑くて仕方がない」
「そんなこと言わないで。僕だってレヴィを抱きしめたい。ダメ、かな?」
......くぅ。そんなに子犬の様な視線で見つめないでくれ......。
私はそのような視線にどうも弱いらしい。
「し、仕方ないから、少しだけだぞ?」
「!ありがとう、レヴィ!!」
エリオスはそう言うと私の頬に口づけを落とした。
「?!エリオス?!一体何を......」
「しばらくこうして触れ合えていない気がしたからね。......嫌だったかい?」
「い、嫌ではないのだが......」
どうしようか。私は人間界に来てから他人との距離感がバグってしまっている気がする。
嫌かと問われれば、決してそのようなことはない。
......一体どうしたと言うのだろうか??
「あら?レヴィちゃん、顔真っ赤よ?大丈夫?」
「へぁ?!」
「......なんて声を出しているんだいレヴィ」
ローゼベルトの言葉に思わず間抜けな声が出てしまった。
......恥ずかしい限りだ。
そんなことを思っていると、ローゼベルトが戻ってこないのを心配した聖騎士達がわらわらと集まって来た。
「ローズ様!ご無事ですか?!......そこにいるのは魔族ではありませんか!この神聖な城に何故このような者が......!!」
「だから、聖女様が仰っていたでしょう?『魔王様を迎え入れる』と。それに、レヴィちゃんは私のお気に入りよ!......今後、勝手な判断でレヴィちゃんを傷つけるような真似をしたら......分かるわね?」
「!......申し訳ございません!!」
流石は聖騎士長だな。
先程とは纏っているオーラが全然違う。
この国の平和は彼らによって守られているのだと思うと、何故だか安心してしまったのであった。




