第32話
......なんだか違和感を覚える人間だ。
「聖騎士長よ!せ・い・き・し・ちょ・う!!お分かり?!」
「......なるほど」
「それだけ?!」
私は彼?ローゼベルトを見るとセラフィンには足元には及ばないが、強い聖力を感じる。
私が黙ったままでいるとローゼベルトは私を上から下まで観察してきていた。
「......貴方、まさか聖女様を襲いに魔界から来た魔族なのかしら?!」
「いや、私は......」
「聖女様!こちらにいらしてくださいまし!!大変危険ですわ!!」
「......ローズ、暴走はよしてください。前に説明したはずです。『魔王様を迎え入れる』と」
「......まさかこの子がそうなのですか......?」
......この“子”?私をそのように言うのは初めての人間だ。
「......こんな」
「?」
「こんな可愛らしいのが魔王だとおっしゃるのですか?!」
「「可愛らしい?」」
......そう言われれば。
「人間からはよく言われるな。"可愛い"と」
「レヴィ?!」
「......なんて事でしょうか......」
「まああああああっ!!」
ローゼベルトは目を見開きながら、私の両肩を突然掴んだ。
「?!」
「ちょっと!この子なんて無自覚なのかしら?!エリオス王子!貴方、この子をどうするおつもり?!」
「ど、どうと言われても......」
......あのエリオスが困惑している。大変だ。
「ローゼベルト殿。少し落ち着いては......」
「あら!魔王ちゃん?私のことは"ローズ"っておっしゃって?」
「......魔王ちゃん?」
初めて言われる愛称に戸惑いを隠せない......
「魔王ちゃんは人間界に来てどのくらいなのかしら?」
「まだまだ、日は浅いな」
「じゃあ、今は人間界を勉強中かしら?よろしければわたくしが教えてあげましょうか?」
「なんと。それは助かる」
私が素直に頷くと――
「......あら」
ローゼベルトは目を輝かせた。
「貴方、素直で可愛らしいわねぇ♡」
「......また、可愛いと言われた」
私は思わず不機嫌になってしまう。
「......私は魔王だぞ。可愛いと言われても困る」
「そこよ!!」
「?」
「そのギャップが最高なのよぉー!!」
ローゼベルトはいきなり私を抱きしめたて、頬擦りをしてきた。
......なんだかじょりじょりして痛いぞ。
「んー。私の"コレクション"にしたいほど愛らしいわぁ!」
「......セラフィン、彼の言う"コレクション"とは一体何のことだい?......嫌な予感がするのだけれど」
「......彼は"美しいもの"を集めるのが趣味なのです。......一度目をつけられたら最後、ですね。......まさか魔族でもありだとは思いませんでしたが......」
おい、そこ。なにを恐ろしい話をしているんだ?!
――どうでもいいからとりあえず
「た、助けてくれ......」




