第3話
使いのカラスが私の元へとやって来た。そして告げる。
"王族一行がやって来た"と。
私は時空の鏡を使い王族一行の姿を見た。
......まさか王まで出向いてくるとは。
しかも、見慣れない白いベールに包まれた男が一人、騎士達に守られるように馬に乗っている。
「魔王様。いかがなさいますか?」
「良い。このまま魔王城へと通せ」
私は時空の鏡を通して魔力を送る。
王族一行が無事魔王城にたどり着くための道標となる結界を。
一行は突如現れた結界に驚きを隠せないでいたが、白いベールの男が一声上げると、歩みを進めるのであった。
私はその様子にホッと一息つく。
そしてしばらくすると、アスモデウスが王族一行を迎え入れる様子が映し出される。
......そして今私がいる玉座の大広間の扉がギギギと重たい音を立てて開かれた。
「ようこそ、セレスティア王国王族一行よ。それで?ここまで来たと言う事は、王子だけでなく王も同盟に同意してくれたと思っても構わないのかな?」
「......あぁ。エリオスから話しは聞いた。......本当に信じて構わないのだな?」
「あぁ。もし約束が違われた時は、この首、喜んで差し出そう」
「ま、魔王様......?!何もそこまで......」
「ルシファー、これは命を懸けた同盟だ。それくらいの事をしなければいけないだろう」
私がそう言った時だった。
例の白いベールに包まれていた男が私の元へと歩み寄ってきた。
ベールに包まれてはいるが、その下には輝かしい白髪と闇夜にも輝くであろう金色の瞳が見え隠れしていた。
そして、私を上から下まで見つめると、手をかざして白い光を放った。
その眩しさに、思わず立ち上がりマントで顔を伏せてしまう。
光が鎮まると彼は「失礼いたしました」と頭を下げそのまま私の足元に跪くと、思ってもみない言葉を放った。
「魔王様。いきなりのご無礼申し訳ございませんでした。わたくしはセレスティア王国の聖女、セラフィン・クローデルと申します。貴方様の魂を見せていただいたところ、穢れのない美しい魂とお見受けいたしました」
......私の魂が"穢れのない、美しいもの"、だと?
魔王をやっているというのにそれは無いんじゃないか?
しかし、その結果に満足したのは私の可愛いい四天王達であった。
「当たり前であろう!魔王様はこのルシファーが心酔するほどの美しいお方なのだぞ!」
「そうだ!清らかすぎてなかなか手出しできないくらいなのだ!」
「この美しさ、穢れのなさが美味しい血を生み出しているのだ......」
「......何度私だけの物にしたいと何度思った事か......あぁ、魔王様ぁ」
......聞かなかったことにしたいほどの恥ずかしい台詞数々。
これにはセレスティア国王も笑い声をあげていた。
「魔王よ。良き部下に恵まれたな。......貴殿を信じることとしよう。貴殿にはこれから我が国の我が城で暮らしてもらう事となるがよろしいか?」
「......あぁ。元よりその約束だからな。ただ一人だけ供を連れて行かせてもらう。......ヴァルク」
「ハッ!我が王の仰せのままに」
「......お前達、留守は頼んだ」
私がそう言い玉座を降り、時空を歪めセレスティア王国への道を作ると、王族一行からは感嘆の声が漏れ、一方で四天王達からは悲鳴にも似た叫び声が聞こえた。
......私のいなくなった魔界がどうなるか不安がないとは言わないが、私は信じている。
この四人なら魔界を任せられる、と。




