第29話
「レヴィ殿、せっかくだ。四天王らにも人間界を見て回ってもらってはいかがかな?」
「国王......良いのか?」
「もちろん。だが......そのままでは人間達が恐れてしまうか......」
国王は四天王達を見てはそう呟いた。
そこで私は"人間擬態の魔法"を四天王達にかけた。
そこに現れたのは四人の男達。
――全裸ではあるが。
私が全身を見れる鏡を現すと、四天王達はこぞって鏡を取り合った。
「こ、これが人間である私......。魔王様には足下も及ばないが美しい......」
「ルシファー。魔王様以上に美しい存在などいるはずがないであろう!!」
「この姿でなら......魔王様と素晴らしい一夜を......ぐふふ」
「アスモデウス......お前まだ諦めていなかったのか」
四天王達は鏡の自分達に夢中になっている。
......それほど外見は変わったとは思えぬが、とりあえず。
「お前達。服を着ないとまずいぞ」
「「「「あ」」」」
私がそう言いながら頭を抱えていると、メイド達が白いクロスを四枚持ってきて四天王達に羽織らせた。
......それもそうだ。ここは外である。
「で、では城の中に入ろうではないか。レヴィよ。お主の部屋でも構わぬか?」
「あぁ。......こいつらに着せる服を......」
「わかっておる。ここをどこだと思って居る?この国の服は揃っておる」
「......助かる」
そして私達は、私の部屋で着替えを済ませた。
......何故だ?私はメイドに着させられやっと着替えたと言うのに、こやつ等は平然と着替えている。
私の苦戦した"ぼたん"も普通にとめている。
「......お前達、どうして"ぼたん"をとめられる?」
「何を仰いますか!悪魔達の手が足りないときは我々が魔王様の着替えをお手伝いしていたではありませんか!」
「......むぅ」
「魔王様は人間に擬態しないのですか?」
そう言われてみれば、私はもう擬態する必要はないと思っていたのでスルーしていた。
......何故だ。何故そんなに期待に満ちた眼を向ける......?
「......ハァ。わかった。私も擬態すれば良いのだろう?
私はそう言うと自身に擬態魔法をかけた。角が消え、耳は人間のそれになる。
「あぁ。ふだんの魔王様も素敵ですが人間姿の魔王様も......じゅるり。美味し......お美しい」
「それではアリス。服を着せてくれるか?」
私は世話係となったアリスを呼び寄せる。
が、何故かそれを皆が阻止している。
「魔王様!!着替えはこのわたくしめが!!」
「いえ!私が!!」
「一応客人なのだから、ここは僕が......!!」
......四天王達とエリオスが何故だか誰が私の着替えをさせるかを争っている。
私の意思などお構いなしだ。
アリスもおどおどしてしまっている。
......申し訳ない。
「やれやれ。皆さん何を争っているのですかね?」
「セラフィン?」
「さ、今のうちにわたくしがお手伝いします」
「......すまないな」
私はセラフィンに手伝ってもらいながら服を着ていく。
そして着替え終わる頃、アリスがお茶を淹れてくれたので、セラフィンと共に一服していた。
すると勝敗が決まったのか、アスモデウスが勝ち誇ったかのように"お手伝い権"を得たらしい。
「......終わったか?」
「はい!......ってあれ?魔王様、その服は......?」
「?あぁ。セラフィンに着せてもらった」
「そ、そんな......私の"お手伝い権"......」
「ふふ、勝負とは、どうなるか分からない物なのですよ?」
私がしれっというと、私とセラフィン、アリス以外のメンバーが膝をついて嘆き始めたのであった。
「......にしても、お前達。何をそんなに落ち込んでいるのだ?」
「「「「「そこからぁ!!」」」」」




