第26話
――エリオスが聖剣を出し、セラフィンに切りかかる。
セラフィンはそれを防御魔法を展開し、その一撃を受け止めた。
......一体どうしてこんな事になってしまったのか。
「......セラフィン。つまり君はレヴィに愛を伝えたんだね?」
「えぇ。そういう事になりますね」
「なら僕も今ここで伝えるよ。......レヴィへの愛を」
「待てエリオス。何故お前までそんな話をする?」
肝心の私を置いて、エリオスとセラフィンの二人の間で話がどんどん進んで行ってしまう。
「ならば僕と君、どちらがレヴィにふさわしいか勝負をしようじゃないか」
「......望むところです!!」
「恨みっこなしの勝負だ!!」
そう言うと、二人は何故だか戦闘を始めてしまった。
――勇者と聖女が戦闘をするなど前代未聞ではないであろうか......?
「待て、二人とも!!なぜそこまでする?!」
すると二人はピタリと立ち止まり、大声で宣言してきた。
「「君のことが好きだから!!」」
「......?」
わけが分からなかった。
好意を持ってくれるのは嬉しいが......だからと言って戦闘をするまでのことなのだろうか?
「あ、分かったぞ。つまり――」
私は二人の顔を互いに見つめ、ぽんっと手を叩いた。
「二人とも私と戦いたいと言う事だな!!」
「「違う!!」」
「......む」
何故だ。何故、二人とも声をそろえて否定する?
「......では、何故二人は戦うのだ?」
「そ、それは......」
「レヴィを取られたくはないからで......」
「レヴィ様にふさわしいのが、どちらかを見極める必要があるのです」
私はますます意味が分からなくなってしまった。
――私が好きなのであれば。
「ならば、二人とも私と共にいれば良いのではないか?」
「「......え?」
「私にとって二人は人間界で初めてできた大切な"友"だ。二人とも私のそばにいれば争う必要などないであろう?」
「......」
「......」
二人は黙り顔を見合わせる。
そして――
「......レヴィ」
「なんだ?」
私は自分の思いついた名案に、我ながら満足していた。
すると二人は揃って深いため息をつく。
「君は本当に......」
「?」
「「鈍すぎる!!」」
「な!何故だ?!」
私は二人に怒鳴られ、思わず後ずさる。
「これほどの名案ではないか?!」
「そう言う問題じゃないんだよ!!」
「......レヴィ様。どうやらわたくしたちは貴方様に人間界の"恋愛"というものを教える必要がありそうですね」
「......"恋愛"?」
「......え?もしかしてだけど......」
エリオスとセラフィンは顔を見合わせ――。
「「そこから?!」」
「......?」
またしても初めて聞く言葉が出てきた。
......どうやら人間界にはまだまだ私が知らなくてはならない事がたくさんあるらしい。




