第24話
私はしばらく子供達と戯れていると、とある少女がとんでもない事を言ってきた。
「ねえねえ!魔王様は聖女様の"お嫁さん"なの?」
「......"お嫁さん"?」
聞きなれない言葉に、私は首を傾げた。
「なんだ、それは?」
「え?」
少女は目をまん丸くして私を見つめた。
「魔王様、お嫁さんを知らないの??」
「あぁ」
「お嫁さんはね、一緒に暮らす人のことよ!」
「......それを言うとエリオスとも暮らしているが......」
「じゃあ、魔王様は二人のお嫁さんなのね!」
私は少女の言葉を聞き、しばし考える
「......そうだな。それならば"お嫁さん"だな」
「素敵ね!!お嫁さんはね、女の子のあこがれなのよ!!」
「......ん?"女の子の"?」
「そうよ!好きな人と結婚して、一緒に暮らすの!!」
「......少女よ。私は男だぞ?それに、"結婚"とはなんだ?」
「?でも、お嫁さんでしょう??」
「......む」
どうやら話がかみ合っていない。
するとそんなやり取りを聞いていたセラフィンが、クスクスと笑いながら私達の元へとやって来た。
「わたくしは是非、レヴィ様にお嫁さんになってもらいたいのですがね?」
「......セラフィン。お前まで何を言い出す」
「それほどまでに貴方を大切に想っていると言う事なのですよ?」
「......大切に想う?」
「えぇ」
セラフィンはそう言うと、悪戯っぽく微笑み――私の額に口づけを落とした。
それを見ていた少女らは、顔を真っ赤にして「きゃー」っとはしゃぎ始めた。
「――っ?!セラフィン、一体何を......?!」
「きゃー!!」
「聖女様がプロポーズをしたわ!!」
「魔王様、お嫁さんになるのー!?」
途端に子供達から黄色い歓声が上がった。
「......今度はなんなんだ?"ぷろぽーず"??」
「プロポーズとは、想い人に求婚すること......つまり、愛を伝えることですよ」
「......求婚?」
またしても聞きなれない言葉である。
どうやら、人間界には私の知らない言葉がまだまだたくさんあるらしい。
「セラフィン。決してこの話はエリオスには......」
「えぇ。分かっております」
セラフィンは口元に指を当て、意味深に微笑んだ。
「わたくし達だけの秘密、ですね?」
「......あぁ」
私は素直に頷いた。
――しかし。この場にエリオスがいなくて、本当によかった。
何故だかそんな直感が働いた。
......きっといたらいたで、この光景を見て、昨日以上に大騒ぎになっていたに違いない。
それはそうと――この孤児院にいる子供達は恐れ知らずだったり、ませていたり......。
人間の子供と言うのは案外侮れないものだな。
そんなことを思いながら、私は再び子供達に囲まれるのであった。




