第22話
翌日、セラフィンは月一の"聖女の定例視察"へ行くと言うので、私は同行を申し出た。
セラフィンは少し考えた後、了承してくれた。
......私はそれに安堵すると、人間に擬態しようとした。
しかし、何故かセラフィンからは「魔王の姿のままでお願いします」と言われたのだった。
「......何故だ?この姿のままでは人間は怯えてしまうであろう?」
「今回の視察、本来なら私の方からレヴィ様に一緒に来てもらおうとお願いするつもりだったのです」
「そ、そうなのか?」
「人間と魔族の共存。"聖女"わたくしと、"魔王"であるレヴィ様。貴方様が共にあることを示すのが、一番の方法ではありませんか?」
「......たしかに、そうだな」
セラフィンの言葉に同意すると私は一応エリオスに声をかけに行く事にした。
......昨日のようになられては困るからな。
「エリオス、ちょっといいか?」
「レヴィ!!君の方から来てくれるなんて!どうかしたのかい??」
......何故だろう。
訪れただけで大型犬のように喜ばれるとは思わなかった。
なんだか言いづらいぞ。
「......これからセラフィンと共に城下町に行こうと思うのだが」
「それは"聖女の定例視察"のことかな?うん。いいんじゃないかな」
「......意外だな。」
「また、駄々をこねるとでも思ったかい?」
ご名答。昨日の今日だったから、私はてっきり......。
「昨日の一件で魔族に対する人間達の考えは変わったと思う。だから安心していってくるといいよ。ただ......」
「ただ?」
「今度、また僕と"デート"に行ってほしい。......ダメ、かい?」
とんでもない事を言われるかと思ったが、そんな事か。
「いいぞ?それをお前が望むなら」
「......ありがとう。それじゃあ、気を付けて行ってきてね」
エリオスの執務室を後にし城の正門へと行くと、馬車が一台停まっていた。
そしてその前に、セラフィンが佇んでいた。
セラフィンは私の姿を見ると、手を振って迎えてくれた。
「お待ちしておりました。エリオス様はなんと?」
「あぁ。安心して行ってくるように、と」
「あら。意外です」
......やはりセラフィンもそう思ったか。
エリオスは初めて対峙した時とはまるで別人のように思える。
それだけ私に対して"信頼"を持っていてくれていると思ってもいいのであろうか?
私はと言うと、人間に対しての興味が尽きない。
エリオスやセラフィ、ルナリアを見ていると、なんだか微笑ましく、楽しい気持ちになる。
まるで魔界で四天王達を相手にしている時の様な感覚に近い。
――だから、もっともっと、この世界のことが知りたい。
魔族だけでない。人間やこの世界そのもののことも。
私はそんな思いを胸に抱きながら、セラフィンと共に城下町へ向かう馬車に乗り込んだ。




